Plurality の地図

西尾泰和ってどんな人?

サイボウズ・ラボの研究者です。書籍『Plurality』英語版の編集に協力し、日本語版の出版プロジェクトのリーダーを務めました。安野貴博の都知事選の技術支援や、大勢の声を AI で整理する「広聴AI」の開発にも関わっています。

日本語版の『PLURALITY』がどうやって生まれたのかをたどると、この名前に行き当たります。日本で「ブロードリスニング」と呼ばれる取り組みの現場にも、この人がいます。

なお、この記事は、このサイトの運営者本人についての記事です。本人がかかわる話題と、その書き方については「このサイトについて」を見てください。

ひとことで言うと

西尾泰和(にしお ひろかず、NISHIO Hirokazu)は、サイボウズ・ラボ(Cybozu Labs)の研究者です[1]。『Plurality』英語版の編集に協力した一人で、日本語版の出版プロジェクトのリーダーを務めました[2][3]。日本では、ブロードリスニング(大勢の声を AI で整理して届ける技術)の実践と開発にも関わっています[4][5]。

一般社団法人未踏のプロフィールによれば、奈良先端科学技術大学院大学で博士(理学)を取り、2007 年からサイボウズ・ラボで働いています[6]。2002 年度には IPA の未踏ユースでスーパークリエータに認定され、のちに若い人向けの「未踏ジュニア」の立ち上げに加わりました[7][1]。→ 未踏

Plurality とのかかわり

英語版の編集。 本の貢献者の一覧(⿻ クレジット)で、「編集(Editing)」の区分に名前が載っています[2]。

日本語版が出るまで。 本人はサイボウズ式の取材に、次のように話しています。2023 年のイベント「PLURALITY TOKYO 2023」で初めてこの考えを知った。英語版が GitHub(ネット上の共同作業の場)で書かれているのを知り、日本語の機械翻訳を作り始めた。社内の発表会で話したことがサイボウズ式ブックスに伝わり、出版につながった[3]。日本語版の翻訳者は山形浩生で[8]、和訳の原稿は CC0(著作権放棄)で公開されています[9]。

読者の集まり。 2024 年 7 月の講演で、日本語の公開の Wiki で 44 人が集まって知識のネットワークを作っていると紹介しました[10]。

日本での実践

安野貴博の都知事選(2024 年)。 西尾はブロードリスニング本の中で、安野貴博 の技術サポーターとして参加したと書いています。2 人は未踏ジュニアのメンターどうしで、2024 年 5 月に安野から Plurality について聞きたいと連絡がありました。西尾が安野を関治之に紹介し、三人の打ち合わせで関が Talk to the City を紹介した、という経緯を記しています[4]。→ 安野貴博の都知事選

広聴AI の開発。 デジタル民主主義2030 の 広聴AI では、2025 年 2 月から 2026 年 2 月までの全コミット(変更の記録)2,756 件のうち 354 件を担った主な開発者として記録されています[5]。

ブロードリスニング本。 実践者たちが共同で書いたブロードリスニングの本の執筆者の一人です[11]。

チームみらい(2025 年〜)。 チームみらい の取り組みに、技術面でボランティアとして関わっています。雇用関係はありません。2025 年の参院選の「しゃべれるマニフェスト」については、ブロードリスニング本の 6.1 節(文責は西尾)と本人のブログで解説しています。その中で本人は、自分はチームみらいのエンジニアチームの一員ではなく、都知事選のときからの「古参サポーター」で、党の意思決定にかかわる立場ではないと書き、GitHub に集まった提案を集めて分類する仕組みを作ったと述べています[15][16]。2025 年 9 月の FAQ では、雇われるつもりはないが、興味のあるテーマにボランティア的に関わることはあり得る、と答えています[17]。

主な考え

ブロードリスニング。 西尾はこれを、一人の発信を大勢に複製して届ける放送(ブロードキャスト)の逆向きだと説明します。集まった大勢の声を整理し、人が受け取れる形にして届ける技術だ、というのです[12]。→ ブロードリスニング

民主主義の川。 2025 年 11 月の講演では、民主主義という川にデジタル技術が流れ込んでいる、というたとえを使いました。これまでの民主主義と、AI が王様のように治める「AI 賢王制」との間に、もっと良いものがあるのではないか。それを探るのがデジタル民主主義の運動だ、と述べています。話は Polis(2012 年〜)から広聴AI までの流れをたどります[13]。→ デジタル民主主義

言葉は公共財。 2024 年 1 月の東京のイベントで、言葉や翻訳をみんなの共有財産(公共財)としてとらえる発表をしました[14]。

どこが議論になっているか

本人が作り手として関わった取り組みには、次のような指摘があります。

しゃべれるマニフェストの振り返り(当事者として)。 西尾自身の振り返りは、提案した人に「受け止められた感」がなかったこと、同じ箇所への修正案がぶつかり合い、政策担当者がすべて読んで意図をくみ取る作業になったこと、GitHub に慣れていない人が議論の場として使い、想定していなかった混乱が起きたことを、課題として挙げています[15][16]。

外からの批判。 ある一般の人の note 記事は、しゃべれるマニフェストの部品の一つ「いどばた」に「元の提案の質が低い」「審査のやり方を改める必要がある」という批判があると紹介し、こうしたオープンソース型の市民参加は、品質管理や説明責任を誰が負うのかがあいまいだと論じています[18]。別の note 記事は、いどばたビジョンは初めて見る人には用途がわかりにくく、パブリックコメントのような雰囲気だと書いています[19]。

使われ続けているか。 ブロードリスニング本の主な著者の中山心太は 2026 年 2 月に、チームみらいはもう Talk to the City も、その後継の広聴AI も使っていない、と書いています[20]。

チームみらいそのものへの批判は、チームみらい の記事にまとめています。

もっと知りたい人へ

  1. 「いちばんやさしいプルラリティ解説」(日本語・記事、2025-08-26)— https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m006279.html
  2. 「⿻Plurality in Japan」(英語・講演動画、2024-07-25)— https://www.youtube.com/watch?v=xM6SUDbqQc0
  3. ブロードリスニング本 4.1 節「安野貴博の取り組み」(日本語・本)— https://github.com/digitaldemocracy2030/broad-listening-book/blob/f69c60c838a91b91668abf109d7093b240610139/04_01_%E5%AE%89%E9%87%8E%E8%B2%B4%E5%8D%9A%E3%81%AE%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF.md
  4. 「デジタル民主主義の川の流れを見る」(日本語・スライド、2025-11-29)— https://docs.google.com/presentation/d/17tgJ8fYFwqrICRxSNpkCM4k_OWR5p1DBGJXiZAdSwy0/
  5. 日本語版の和訳リポジトリ(日本語・本、CC0)— https://github.com/nishio/plurality-japanese
  6. 西尾泰和「チームみらいの社会実験『しゃべれるマニフェスト』から得られた知見」(日本語・記事)— https://note.com/nishiohirokazu/n/nb35e8d526fd4

出典

  1. 西尾泰和「自己紹介」(Cosense)— https://scrapbox.io/nishio/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E7%B4%B9%E4%BB%8B
  2. 『Plurality』貢献者の一覧(⿻ クレジット)— https://www.plurality.net/v/chapters/0-3/eng/ [CC0]
  3. サイボウズ式「いちばんやさしいプルラリティ解説」— https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m006279.html
  4. 『ブロードリスニング』本 4.1「安野貴博の取り組み」— https://github.com/digitaldemocracy2030/broad-listening-book/blob/f69c60c838a91b91668abf109d7093b240610139/04_01_%E5%AE%89%E9%87%8E%E8%B2%B4%E5%8D%9A%E3%81%AE%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF.md [CC BY-NC 4.0]
  5. 『ブロードリスニング』本「DD2030 による広聴 AI の開発活動」— https://github.com/digitaldemocracy2030/broad-listening-book/blob/f69c60c838a91b91668abf109d7093b240610139/10_00_DD2030%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%BA%83%E8%81%B4AI%E3%81%AE%E9%96%8B%E7%99%BA%E6%B4%BB%E5%8B%95.md [CC BY-NC 4.0]
  6. 一般社団法人未踏 理事紹介 — https://www.mitou.org/board_nishio.html
  7. IPA 未踏ユース 2002 年度 スーパークリエータ認定資料 — https://www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/it/qv6pgp000000js0d-att/000050656.pdf
  8. PR TIMES『PLURALITY』日本語版刊行のお知らせ — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000101800.html
  9. 『Plurality』日本語版リポジトリ — https://github.com/nishio/plurality-japanese [CC0]
  10. 西尾泰和「⿻Plurality in Japan」(2024-07-25、スライド)— https://www.dropbox.com/scl/fi/bzmmg6y9rzep2po2rmjt6/Plurality-in-Japan.pdf?rlkey=6s1irpnoiiintiv80lh1vhc9h&dl=0
  11. 『ブロードリスニング』本「本書の読みかた」— https://github.com/digitaldemocracy2030/broad-listening-book/blob/f69c60c838a91b91668abf109d7093b240610139/00_%E6%9C%AC%E6%9B%B8%E3%81%AE%E8%AA%AD%E3%81%BF%E3%81%8B%E3%81%9F.md [CC BY-NC 4.0]
  12. 西尾泰和「大勢の声を聞く技術は人の自由を増やすのか?」(2026-09-13、スライド)— https://www.dropbox.com/scl/fi/m0sl9gyndlpnytoczx6e0/2026_.pdf?rlkey=vittdaeqn0yv8tjytiszk7dp6&dl=0
  13. 西尾泰和「デジタル民主主義の川の流れを見る」(2025-11-29)— https://docs.google.com/presentation/d/17tgJ8fYFwqrICRxSNpkCM4k_OWR5p1DBGJXiZAdSwy0/
  14. 西尾泰和「Words as Public Goods」(2024-01-03、スライド)— https://www.dropbox.com/scl/fi/46shanz5sc768akolksdd/Words-as-Public-Goods.pdf?rlkey=0ko82vwsldx2jzj07zc8i9g3z&dl=0
  15. 『ブロードリスニング』本 6.1「チームみらい」(文責・西尾泰和)— https://github.com/digitaldemocracy2030/broad-listening-book/blob/f69c60c838a91b91668abf109d7093b240610139/06_01_%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%BF%E3%82%89%E3%81%84.md [CC BY-NC 4.0]
  16. 西尾泰和「チームみらいの社会実験『しゃべれるマニフェスト』から得られた知見」(note、2025) — https://note.com/nishiohirokazu/n/nb35e8d526fd4
  17. 西尾泰和「日記2025-09-02」(Cosense、FAQ の引用)— https://scrapbox.io/nishio/%E6%97%A5%E8%A8%982025-09-02
  18. 一般人「『チームみらい』が唱える『Plurality』は看板だけにならないか──理想と現実のすき間」(note、2025-10-11)— https://note.com/ippanjin_2025/n/n299555fb4908
  19. 電気好太郎「デジタル民主主義2030の『いどばたビジョン』って何のツールなの?」(note、2025-06-03) — https://note.com/denkikotaro/n/nf9df91dcb4af
  20. 中山心太の X の投稿(2026-02-07)— https://x.com/tokoroten/status/2020004238718570604

記事の間違いや、知りたいこと(「〜ってなに?」)を受け付けています。送られた内容は公開の issue になります。

この記事の間違いを知らせる ・ 質問する