クリステンセンらにより「性能の劣った製品が市場のシェアを奪う事例」が報告された。 (=破壊的イノベーション) 例えば、 HDDにおいては容量の少ない製品が容量の多い製品を駆逐した。

  • Clayton M. Christensen, Joseph L. Bower (1996) “Customer power, strategic investment, and the failure of leading firms.” Strategic Management Journal

image イノベーションのジレンマ p.10 から引用

nishio 既存製品と同一の技術に基づく、より低性能な商品を市場に投入することでイノベーションが起きることがある。それを破壊的イノベーションと呼ぶ。

技術の進歩による性能の改善は、往々にして市場が求める性能を追い越す。追い越す前は「性能Xを高めることが顧客価値だ」と考えられ、実際に性能Xの高い製品が市場で高く評価される。しかしひとたび追い越してしまうと、最早性能Xの高さは顧客訴求力を持たなくなり、顧客は性能Xの多寡ではなく、別の性能Yを重視して商品を選ぶようになる。

  • nishio
    • 既存の商品に比べて価格の安さというメリットと、性能の低さというデメリットを兼ね備えた商品が、技術の進歩によって「性能は低いけど自分のニーズにはこれで十分だ」という状態になり、既存商品の市場を奪う。
    • メリットを「価格の安さ」に限定しなければこういう例もありかな。スクリプト言語は既存のCとかに比べて「手軽さ」というメリットと「速度の遅さ」というデメリットを兼ね備えていて、登場当時は速度の遅さが問題で大部分のニーズに対して適切ではなかった。しかし技術の進歩によってコンピュータが速くなったので「Cとかに比べてかなり遅い」というデメリットは変わっていないにもかかわらず「自分のニーズにはこれで十分だよね」ということでシェアが大きく増えた。
    • なぜ企業が顧客のニーズを超えて継続的改良にコストを割いてしまうのかというと、顧客のニーズがあることがわかっているためそれにコストを割くという意思決定が容易だから。しかしそれを繰り返していると、既存顧客の要望を受け入れる形でどんどん高性能化して、過剰品質になってしまい、安くて品質の低いものに駆逐されるわけだ。

image 玉田俊平太氏による、漸進的イノベーション革新的イノベーション破壊的イノベーション、の図解。出典

  • 個人的にはこの「漸進的イノベーション」を「イノベーション」に含めることには違和感があるが「技術の進み方にこの三通りがある」という視点は有用だと思う

2014-06-15 組織学会発表 スライド 論文(4p)

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