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ディヴィヤ・シッダールト(Divya Siddarth)ってどんな人?

AI の行き先を、一部の企業や専門家だけでなく一般の人々の話し合いで決めるための仕組みを作っている研究者・実践家です。非営利団体 Collective Intelligence Project(CIP)の共同創設者で、ワイルやタンとの共著が多く、書籍『Plurality』も彼女の論文を引いています。

AI をどう作り、どう使うかは、誰が決めるべきなのでしょうか。開発する会社でしょうか、政府の専門家でしょうか。この問いに「私たちみんなで決める仕組みを作ろう」と答えて動いているのが、この人です。

ひとことで言うと

ディヴィヤ・シッダールト(Divya Siddarth)は、AI の作り方や使い方を、一般の人々の話し合いで決めるための仕組みを作っている研究者・実践家です。非営利団体 Collective Intelligence Project(CIP、集合知プロジェクト)の共同創設者で、事務局長を務めています[1]。

TED の講演で本人は、共同創設者のサフロン・ホアン(Saffron Huang)とともに Google DeepMind と Microsoft の職を辞め、強い影響力を持つ技術を民主的に治める新しいやり方を作る団体として CIP を始めた、と話しています[2]。

Plurality とのかかわり

本が引く論文。 『Plurality』は、シッダールトの共著論文を複数の章の脚注で挙げています。マシュー・プルウィット、ワイルとの「スーパーモジュラリティ」の論文(4-3 章・5-0 章)と、シュレイ・ジェイン、ワイルとの「Plural Publics」(4-2 章)です[3][4][5]。

ワイル・タンとの共著。 ワイル、タンらと「Prosocial Media」(2025 年、2026 年に「Community by Design」として改訂)を書きました[6]。2024 年には、ワイル、アン=マリー・スローターと連名で、バラジ・スリニヴァサンの『The Network State』を批判し、「ネットワーク国家ではなくネットワーク社会を」と提案しています[1]。

タンとの協働。 タンは、自分が CIP の上級研究フェローであると開示しています[7]。2025 年 8 月には、ポッドキャストで二人が対談しました[8]。

台湾とのつながり。 本の 2-2 章は、台湾が AI の基盤モデルの規制と舵取りに市民が参加する取り組み(alignment assemblies)を先導した、と書いています[9]。

主な考え

AI と民主主義は互いを助けられる。 TED 講演でシッダールトは、民主主義は AI にとっての障害ではなく解決の手段であり、AI と民主主義は互いを補い合える、と主張しました。例に挙げたのが、AI 企業の Anthropic と組んだ「Collective Constitutional AI」です。一般から集めた意見をもとに、AI が従う「憲法」を作る実験でした[2][10]。

「第四の道」を探す。 CIP の白書は、AI の進め方には三つの道があると整理します。安全を犠牲に進歩をとる資本主義的な加速、参加を犠牲に安全をとる権威的なテクノクラシー、進歩を犠牲に参加をとる皆での停滞です。白書は、そのどれでもなく、参加・安全・進歩の三つを満たす集合知の仕組みを「第四の道」として掲げています[11]。本の 三つの道 と似た構図ですが、これは CIP 自身の枠組みです。

知能は一人のものではない。 2022 年の講演で、いまの AI は知能を一人で完結するものと取り違えているが、人間の知能は人と人の関係の中にある、と述べました[12]。

アラインメント・アセンブリー。 2023 年 5 月、AI の方針を市民の話し合いで決める集会「Alignment Assemblies」を始めると宣言しました[13]。→ Alignment Assemblies

スーパーモジュラ財。 一人ずつ届けるより、大勢にまとめて届けるほうが安く効果的になるものがあります。2024 年の論文は、こうした財は資本主義が得意とする世界に合わず、「公か私か」の二分法を越えた、みんなで供給し治める仕組みが要る、と論じています[3]。→ スーパーモジュラリティ

人間であることの証明。 2020 年には、一人が何人ものふりをする不正を防ぐために、人どうしの確認を使う手法をまとめた論文を共著しました[14]。→ 人間であることの証明

もっと知りたい人へ

  1. TED「How AI and democracy can fix each other」(英語・講演、2023)— https://www.ted.com/talks/divya_siddarth_how_ai_and_democracy_can_fix_each_other
  2. Possible「Audrey Tang and Divya Siddarth on outfitting democracy for the AI era」(英語・ポッドキャスト、2025-08-13)— https://www.possible.fm/podcasts/audreydivya/
  3. 「We should all get to decide what to do about AI」(英語・ブログ、2023-05-23)— https://www.cip.org/blog/alignment
  4. 「We need network societies, not network states」(英語・ブログ、2024-05-20)— https://www.cip.org/blog/network-societies
  5. 「Collective Constitutional AI」(英語・論文、2024)— https://arxiv.org/abs/2406.07814
  6. 「Beyond Public and Private: Collective Provision Under Conditions of Supermodularity」(英語・論文、2024)— https://cip.org/supermodular

出典

  1. Siddarth, Weyl, Slaughter「We need network societies, not network states」(2024-05-20)— https://www.cip.org/blog/network-societies
  2. Divya Siddarth「How AI and democracy can fix each other」(TED)— https://www.ted.com/talks/divya_siddarth_how_ai_and_democracy_can_fix_each_other [CC BY-NC-ND 4.0]
  3. Siddarth, Prewitt, Weyl「Beyond Public and Private: Collective Provision Under Conditions of Supermodularity」(2024)— https://cip.org/supermodular
  4. 『Plurality』4-3「Commerce and Trust」、5-0「Collaborative Technology and Democracy」脚注 — https://github.com/pluralitybook/plurality
  5. 『Plurality』4-2「Association and ⿻ Publics」脚注 — https://www.plurality.net/v/chapters/4-2/eng/ [CC0]
  6. Weyl ほか「Prosocial Media / Community by Design」(2025)— https://arxiv.org/abs/2502.10834
  7. civic.ai「Sources and further reading」— https://civic.ai/ [CC0]
  8. Possible ポッドキャスト(2025-08-13)— https://www.possible.fm/podcasts/audreydivya/
  9. 『Plurality』2-2「The Life of a Digital Democracy」— https://www.plurality.net/v/chapters/2-2/eng/ [CC0]
  10. 「Collective Constitutional AI」(FAccT 2024)— https://arxiv.org/abs/2406.07814 [CC BY 4.0]
  11. Collective Intelligence Project 白書(2023)— https://www.cip.org/
  12. Divya Siddarth「The Case for Collective Intelligence」(iWORD 2022)— https://www.cip.org/blog/iwordci
  13. CIP「We should all get to decide what to do about AI」(2023-05-23)— https://www.cip.org/blog/alignment
  14. Siddarth ほか「Who Watches the Watchmen?」(2020)— https://arxiv.org/abs/2008.05300

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