輪郭法
- 読み: りんかくほう
- 英語: delineography
- 種類: 造語(両面造語)
一言要約
世界を「ある人が自分の視点から切り取った部分(=輪郭)」とその関係の組み合わせとして捉え、それを記録・共有するための方法論。デライト/デルンの背景にある考え方。
詳細
宇田川氏が17歳(2002年頃)にひらめいた構想で、デルン/デライトの実装的基礎となっている。「〜法」とあるが法律ではなく、「弁証法」と同じ「考え方・手続き」の意。
中心となる発想は次の通り:
- 我々が認知しうる物事の関連性を 徹底的に抽象化 することで、あらゆる物事を一つの原理で捉えられるようにする。
- そのとき情報の単位は「輪郭」となり、輪郭同士は階層関係(引き入れ)と自由なリンク関係(輪括)の二種で結ばれる。
- 重要なのは、グラフを 俯瞰しないこと。グラフのある頂点に一人称視点を置く(「ストリートビューで見ているような感じ」)。これが FPN と呼ばれる発想に直結する。
- 同じ「中身」を視点によって異なる入れ物(輪郭)で参照しうる立体階層構造、これが 輪郭構造。
ひらめいたきっかけとして本人は、シャワーを浴びながら排水溝に流れる水を眺めていた17歳のときの「身体的体験」を挙げている。言語による静的思考とは無関係に世界は動いていくという感覚と、「言語的構造の背景で世界の動的な実相を静的に捉えている『輪郭的構造』の発見」が同時に起きたという。
語源は delineation(輪郭を描くこと)+ -graphy。delineation は「描出」の英訳としても使われる。
先行概念
「複数の親を持てる階層構造」「ネットワーク状の概念表現」「視点に依存する構造」は、知識表現の分野で長く論じられてきた。
- Semantic Networks(Quillian, 1968): 概念をノード、関係をエッジで表す古典的な知識表現。AI 黎明期から存在する。
- Concept Maps(Novak, 1972): 概念をノード化し、命題で結ぶ教育用の図的表現。
- Topic Maps(ISO/IEC 13250, 2000): トピックに scope という機構を持ち、「同じ名前のトピックが文脈で別物として共存できる」。輪郭法の「同名輪郭が複数」とほぼ同じ発想を制度化済み。デルン構想(2002)の2年前。
- DAG(有向非巡回グラフ): 「複数の親を持つ階層」はグラフ理論で DAG として確立されており、ファイルシステムでも
inodeのハードリンクなど実装は古い。 - Memex(Bush, 1945): 関連付け(associative trail)を歩く個人知識装置の最初期ビジョン。宇田川氏の「神経目線」と発想が極めて近い。
- Tinderbox(Eastgate Systems, 2003-): ハイパーテキスト+ノートとして、階層と自由リンクの両方を扱えるツール。デルン構想の翌年にリリース、並行的。
宇田川氏の独自性として残る部分:
- これらの先行概念の 組み合わせを「輪郭」という一つの単位で統一 したこと。
- 「一人称視点でグラフを歩く」UI(三景)として実装したこと。
- 「視点」を概念モデルに明示的に組み込んだ語彙(FPN、神経目線)。
関連用語
ソース
- villagepump-デライト.2hop.md (Page: 輪郭法, デライト)