灘校土曜講座2021の質疑 正確な書き起こしではなく読み返した時にわかりやすいように加筆・編集してます

Q: 先生の今の人生を100点満点で採点するとしたら何点? A: 100点満点で何点かを聞いたらあなたは何が得られます? Q: もう100点と考えているのか、それなりに良いものと考えているのか、それほど良くないと思ってるのかが知りたい A: なるほど。今後の人生でやりたいこともある、今までの人生でやり損なったこともある。

  • 今までの人生でやり損なったことのことを今考えてもなんの得にもならないからカウントしない
  • 今後の人生でやりたいことは今後やっていく「未来」のことだから「今の人生が何点?」と聞かれるとカウントされない
  • となると残ったものとして「今の人生は何点?」と聞かれたら、まあそりゃ100点だよなぁと思う
  • 他の人に聞いた時にそれぞれの人がどういう基準で点数をつけるのか人によって異なると思うので単純比較はできないと思う
  • 僕は今の人生に満足していて、今後この人生でやりたいことをやっていくぞと思ってる状態
  • (追記)これ、そもそも「人生を100点満点で採点する」というところが不適切な気がします
    • 人生を暗黙に「100点満点のテスト」のイメージで捉えてるわけなのだけど、その比喩が適切でないように思う
    • 例えば今財布の中身を見て「この財布の中身は100点満点で何点ですか?」と問われても困る
    • 過去に使ったお金を使わなければもっと金額があったかも知れないけどその議論は何も産まないので無益
    • 100点満点だとした場合に財布にこれ以降お金が入らないわけでもない
    • 一般化すると世の中に「100点満点のテスト」に例えることが適切でないものがいくつもある
      • 適切でない理由の一つは「上限がないから」
      • もう一つの理由は「改善できないから」かな?
        • 数学の問題の場合、解けたかどうかで点数をつけて、繰り返しテストを受けて点数が向上すれば理解度が上がっていると判断できるわけだが、人生は一回しかないので点数をつけても意味がない。

みなさんこういう時に質問が出ないのが当たり前だと思ってるかもしれないけど、それは「観測範囲が限られている」「自分の周囲の平均が正しいとは限らない」ってやつですよ

  • 論理的に考えると損してるよね、現在進行形で。
  • 自分の興味があることを質問した方が、自分が興味を持てる情報が得られる確率は上がるのだから、当然質問した方が得なんです
  • こういう時に能動的に活動した人がチャンスを手にいれるわけです

Q: 受験数学の勉強中で社会に出てから役に立つスキルはありますか? A: うん、めっちゃありますよ。

  • 世の中には「数学なんて役に立たない」なんて言う人がいるけど、あれは全部「数学を役に立たせられない程度の知識の人」が役に立たせられてないだけ
  • みなさんが今培っている数学の力はめっちゃ有用です
  • なぜかというと陳腐化しにくいから
  • 例えば今流行ってるプログラミング言語を覚えたとして、20年後にはプログラミング言語の流行は変わっているから、言語の知識そのものは陳腐化する
  • 数学は20年経っても腐らない、だからコストパフォーマンスがめっちゃいい
  • みなさん論理的思考力高めだからここにいると思うんですけど、論理的思考能力をちゃんと活用すれば、それも社会を生きていく上でめっちゃ有益
  • なので、すごい武器を持ってるんですよ。良い武器を持ってるのに蛸壺に閉じこもって選択肢を知らないまま損するともったいないから、世の中を広く見て「別の軸」を持った方がいいよと言いたかった、受験数学はめっちゃ役に立ちます。
  • (追記)プログラミング言語の知識は陳腐化する、という話の補足
    • 20年前僕が19歳の時に使っていたのはVisual Basicで、未踏ユースに採択されてからDelphiとJavaを使った。JavaはJavaAppletというブラウザ上でグラフィカルなものを動かす仕組みを使って可視化をするために使った。
    • JavaAppletはその後Flashに駆逐され、そのFlashはHTML5に駆逐された、だから「それらのプログラミング言語の知識そのもの」は陳腐化した。これを「抽象度の低い知識は陳腐化しやすい」と呼ぶことにしよう。
    • 一方で「高次元のデータをどうやって2次元の画面に表示するか」「2次元の画面をクリックした時に、高次元空間上の点とどうやって対応づけるのか」などの経験は使うプログラミング言語が変わっても変わらず使える。これを「抽象度の高い知識は陳腐化しにくい」と呼ぶことにしよう。
    • これをさらに抽象度上げると「ベクトル」「行列」という数学的知識に帰着する。「高次元のベクトル・行列」という概念を扱うことに慣れていたことは、自然言語処理が「意味とは数百次元のベクトルだ」って時代になっても有用だったし、ニューラルネットのブームでも有用。
    • 抽象的な知識が「役に立たない」と言われることがあるのは、それ単体で役に立つとは限らないから
      • 「役に立つ」とはしばしば「具体的な問題を解決する」であって、抽象度の高い問題を抽象度の低い「具体的問題」のところまで下ろしていく作業が必要
    • エンジニアの知的生産術 p.44 (1.5.3) パターン本から学ぶ
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    • 灘校土曜講座2014 p.133, 134
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    • 抽象的な知識だけを「根無し草の知識」とか「頂上だけ取ってきて床に置かれた箱」にしてしまうと役立てることが難しくなる

Q: 知識の重要性についてどう考えるか A: めっちゃ重要だと思います。

  • なぜか?知識のない人にはできないことがあるから
  • 「選択肢があっても、その選択肢を知らなければ選ぶことができない」という話があったけど、選択肢を増やすものは知識なんです
  • 例えば数学の知識がなかったら、ある問題を解きたいときに「これを複素数にしたらできるじゃん」みたいなことに気づけないから解けない
  • 同じように例えばある大学に行きたいとなった時に数学の成績が足りなくて行けないなんてことがある
  • 選択肢を思いつくかどうかや、その選択肢を取ることができるか、は知識が影響してくる
  • 知識こそが最も重要な財産である社会になってきている
    • ドラッカーの「ポスト資本主義社会」って本が面白い
    • 「資本主義社会だ」「お金が一番強い」って思ってるかもしれないが、お金で知識を買うことはできない
    • 知識がある人を雇ったり、学ぶための時間を確保したりするのにはお金が使えるのだけど、肝心の「個人が知識を獲得するプロセス」は個人が学ぶことでしか進まない
    • 一方で知識のある人がお金を確保することは容易になってきている
    • 現金よりも知識が貴重なリソースという話、増島先生のスライドが面白かったので後で参考資料に追加しておく
    • 簡単に言えば「現金は弱いリソース」「知識は強いリソース」ということ
    • そういう風に捉えてる人がいっぱいいる、例えば東大はベンチャー支援に舵を切っている
    • 東大生が専門知識を持ち、起業することでベンチャーファイナンスでお金にするってチャンネルが整備されつつある
    • 今までは獣道みたいなところを少数の強い人が走り抜けてる形だったが、組織としてベンチャーを支援する形になってきつつあるので、道が舗装され高速道路が作られつつある状態
    • 何のための高速道路なのかというと、知識を持っている人に対して、お金が余ってるけど知識がない人がお金を出すことによって、新しい物事を生み出そう、新しいリソースを生み出そう、新しいビジネスを生み出そう、ということが世の中では今起こりつつある状態なわけ
    • なので「知識は圧倒的に重要、お金よりも重要」という感覚を僕は持っている。まだ多数派ではないけど。
    • ドラッカーの「ポスト資本主義社会」は面白いので興味を持った人は読んでみるといいですよ、図書館に入ってなかったら先生に頼んで入れてもらってください。

質問は後でテキストで送ってもらって、テキストで返すのでもいいですよ。

  • ただしテキストの場合、質問に対して「それってどういう意味の質問ですか?ってのがやりにくいから、ミスマッチな回答になってしまう確率は上がりそう

Q: 僕たちが働く10年後もITに強い人材の需要は高いと思いますか? A: 10年後も高いかどうかはわかりません。

  • 僕は高いんじゃないかなと思ってるけど。
  • なぜそう思うかっていうと、少子高齢化社会が高まっていくと働く人数の割に介護しなきゃいけない人間の割合が増えてきて、これも後で参考資料貼っておきますけれども、皆さんの1人当たりの仕事量ってのはどんどん増えていくわけですよ
  • 仕事の量が変わらなかったら辛いわけなんですけど、じゃあどうするかっていうと、電子化とか自動化とかコンピュータを使って効率を良くするわけです。それをしないと皆さんがブラック労働をする羽目になる。
  • なので、そこんとこなんとかする人材のニーズが高まってるわけですよね。と僕は思っているから人口減り続ける今の現状では10年後もIT人材が必要なんじゃないかなと思っています。
  • これが「プログラミングをする必要があるかどうか」って質問だとちょっとわからない。いわゆるNoCode的な、クラウド上でポチポチやることによって物事を解決する選択肢がもっと発展する可能性がある。ただどっちに転んだとしても皆さんの論理的思考能力は絶対いると思うので、鍛えていったらいいと思います。

Q: 具体的にIT学習とはどのようなことでしょうか A: 一言で答えづらい

  • Googleで検索するなり、ITの得意そうな人を友達を見つけるなり、ITの得意そうな人がいるところに行ってみるなりして、物事の観測範囲を広げてください
  • たくさん選択肢があるんです。ものすごくたくさん選択肢がある中で、あなたがやりたいと思うこととそうでないことがある
  • 「これをやりましょう」みたいなカリキュラムがあってそれを100%やったら「IT人材になりました、おめでとう」みたいな話ではなく、たくさんある選択肢の中から、あなた自身がやりたいと思ったことがあればやったらいいし、選択肢見た上でやりたいと思わないんだったらIT学習しなくてもいいと思う。数学力をすごく突き詰めてもいいと思います。
  • 追記
    • カリキュラム的なものが全然ないわけではなく例えばこんなのがある
    • だがIT人材を分母にした時にこのカリキュラムで学んだ人が何割いるのか、たぶん1割もいない
    • 受験数学は境界が定められているが「数学」はもっと広い知識体系であって、すべてを把握している人などいない
    • 同じようにITも広い知識体系で、すべてを把握している人はいない

Q: 「やるか、やらないか」の二択で悩んでる時の「第三の選択肢」とは? A: 「『やるか、やらないか』の二択だ」と思っている時、暗黙に「やることX」を一種類に固定してしまっている。だけども「Xをやることによって実現したいこと」があって、それを実現する手段はXだけではないのでは?こう考えて別の手段Yを思いついたら「Xをやるか、Yをやるか、やらないか」になる

  • (アドリブで具体例を使って説明しようとしたがあまりいい例ではなかったので文字起こししないことにした。いいのを思いついたら追記する)
  • (これは発表者の思考を引き出す良い問い)
  • (関連するキーワードとして誤った二者択一があるけど、このリンク先があまり整理されてない)
  • 今後何か一つを「やろうかな、やるまいかな」と悩んでる時に「本当にこれしか選択肢ないんだろうか、他の選択肢があるんじゃないだろうか」と思考するだけで意思決定の質が改善すると思う

Q: 言葉でアウトプットしていく必要性についてよくわかりました、ただ現時点で自分の質問したいことをうまく言語化するに至らずこのような質問になっています、あまりにも漠然な話になってしまうのですが自分の考えを言語化していくコツのような物はありますでしょうか、、、?取り敢えずボールを投げてみました A:

  • とりあえずボールを投げてみたのはすごく良い
  • そして結果的に伝わったのですごく良い
  • 「よくわかんない、うまく言えないんだけど」と思った時に「よくわかんない、うまく言えないんだけど」と頭の中で思っているよりは、それ自体を紙に書くとよい
  • 頭に浮かんだ言葉をどんどん書き出していくと紙に書いたものは消えないので徐々に蓄積してしていく
    • 徐々に蓄積していくと数が多くなりそれが事後的につながって「言いたかったのは要するにこれだ」となる
  • 「質問したいことをうまく言語化できない」というこの質問の表現、もしかしたら「綺麗に整理された質問が最初からパンと出さなきゃいけない」と思ったのかもしれないけど、そうじゃない。世の中のほとんどのものは100%の完成度で生まれてくるのではなく、最初は酷い状態で生まれてそこから改善されて良くなっていく。 - 599e71a7aff09e000045613a p.104 あたりの話
  • エンジニアの知的生産術のアウトプットに関する章、付箋を使うかどうかより「書いて、消えなくする」が大事
    • p.145
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    • p.204
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Q: やらないといけない事とやりたいこと事が同時にある場合どのようにしてやりたい事にトライしていけばいいと思いますか? A: まずその「やらないといけないこと」が本当に「やらないといけない」のか

  • 例えば「夏休みの宿題をやらないといけない」
    • 夏休みの宿題をやらなかったら本当にまずいですか?
    • 具体的にどんなまずいことが起こるのか?
  • 大学に入って「単位を取らなきゃいけない」
    • 単位を取らないと卒業できない
    • 卒業できないと何が問題?
    • つまり「卒業して学位を得ること」にあなたが価値を感じていて、それを得るための部品として「単位を取る」ための行動をあなたが選択してる
  • 「あなたが単位を取りたいから単位を取るための行動をする」ってのが素直な形のはずなのだけど「やらなければならない」という無条件の規則が天下り的に決まっているかのような勘違いをしてしまう
  • あなたが高校に来るのは「あなたが高校に来たいから来てる」のであって、来たくないなら高校をサボって三宮に行ってカラオケしててもいいわけです。補導されるかもしれないけど。それをやるのはあなたの自由なのです。
    • あなたが選んだ行動の選択肢によってどういう未来が得られるのかは不可知で、補導されるかもしれないし、されないかもしれない、親が怒るかもしれないし、怒らないかもしれない、あなたの選択によって得られた結果を引き受けるのはあなた自身
  • 僕が大学を飛び級して大学院に行ったという観測事実を見て、世の中の人は「すごく真面目に勉強して良い成績だったに違いない」って誤解する。実際はやりたいことばかりやって「やるべきこと」をやらなかったら単位がなくてこのままだと留年するって状態だったがバイト先の社長が「大学を卒業しなくても大学院に入れる、君はそれをやった方が良いと思う」と教えてくれてそれをやっただけ。
    • (追記: これも選択肢の情報を周囲の人が教えてくれて知った事例だね)
  • それもまた人生、みなさんの取捨選択、「やらなければいけない」ではなく、あなたが「やる」か「やらない」か。

フィードバックについて

  • 紙を配布しているが、紙で書いてもスキャンして送ることになるし、デジタルにしましょう。こういうのペーパーレス化していきたいんですよ。
  • Google Classroomでしたっけ?それに質問とか書きたいこととか書いてもらって、先生がまとめてメールで送って、僕がメールで返事したものを先生が貼る?
  • Scrapboxの方は随時更新していくので、さっき参考資料に追加するって言ったものをこの後追加しときます。講演資料も同じページに貼っときますんで。
  • この講演は録画してあるので後でURLを先生に送っときます。世の中タイムシフトの時代なんですよ、同期的にみんな1箇所に集まらなければ経験ができない時代ではなく、時間をずらして体験できるようにどんどんなっていっている。

Q: 能動的な選択肢を選ぶ方がより良い形に繋がることは分かるが、それは「行動して失敗したらもともと」のような考えが根底にあるのであって行動することで「なにもしない」状態よりマイナスになる場合も考えうる時その損得勘定をどのように行えばいいのですか?「すればよかった」「しなければよかった」どちらを避けるべきか知りたいです A: 何もしないとゼロで、何かした時にプラスになる確率もあるしマイナスになる確率もある、つまり確率分布なわけ。この確率分布を行動前に正確に予知することはできない。

  • ある程度「こうかな?」と思うものはあるだろうけど、それが正解かどうか誰も知りえないわけです。なので、自分が得だと思ったらやってらいいし、損する可能性があってその損に耐えられないのならやらなきゃいい。
  • 行動をしないことを選び続けたらずっとゼロ、一方で世の中には「失敗しても大した損にならない」ってことが沢山ある。例えば研究会に参加してみるのだって、気まずい思いをするとか、そういうマイナスの可能性はあったわけです。あんまり気にしてなかったけどね。
  • でも、マイナスの可能性とプラスの可能性と、どっちが大きいかわからなくて、こう言い幅があるわけです。そしたら、うまくいった場合面白いよねで、うまくいく面白い可能性の高い選択肢のコピーた方がいいんじゃないかな。
  • それでエンジニアの知的生産術のタスクの優先順位をつける話のところにこれに関連した確率分布のグラフがあって、こう分布が幅広いやつと鋭いのがある
  • Aの方は不確実性が高くて裾野の広い分布になっている。Bは不確実性が低くて鋭い分布になっている。
  • 期待値としてはBの方が高いので短期的にはBを選ぶのが合理的に思える。しかし行動によって知識が得られることの効果を考えるとこれが合理的とも言い切れない。
  • どういうことかというと、結果の不確実性が確率分布で表されてる時、この確率分布は天下り的に与えられた固定の分布ではなく、行為者の知識を反映している。Aの裾野が広いのは、Aについての知識が不足していることの現れ。
  • 確実に効果が得られる選択ばかりしていると新しい知識を得る機会が失われる。利用と探索のトレードオフというんですが、知識を得るための行動(探索)と、得られた知識不足から利益を得るための行動(利用)は両立しない。だからうまくバランスを取らないといけないのだけど、現時点の知識に基づいた期待値で行動を選択すると、利用に偏って、探索が疎かになるんです。なので期待値の高さだけでなく結果の不確実さも選択肢を選ぶ上でポジティブに評価しなければならない。
  • 何か価値が確実なものばっかり選んでるとバランスできない、どんどん価値が既にわかっている物を活用する方向ばかり強くなってしまう。だから面白半分というか面白全部で新しいことにチャレンジした方がいい。
  • (ここで言いたいことと違う誤解をされる可能性に気づく)議論の前提を明確化しないですごく雑な話をしてしまいました。マイナスになりそうなことを勇気を持ってやれと言いたいのではないです。世の中には「リスクを取るべきだ」とか言って自分はリスクを取らずに他人に取らせる人は、例えば「仮想通貨買いましょう」とフォロワーにオススメする「いわゆるインフルエンサー」みたいな人がいるけれども、そういう人がどんな理屈で「やるべきだ」と言ったとしても、あなたが「損だ」と思うならやらなくていいんです。
  • なぜかというと、そういうことを言ってくる人の中には、他人が口車に乗せられてその行動をとることによって彼が得になるから言ってるタイプの詐欺師的な人がいっぱいいるから。
  • 大前提として自分の論理的思考能力をしっかり使って、他人の主張を鵜呑みにせずに考え、自分が納得して良いと思うことをやればいい。「リスクを取るべきである」と天下り的規範として押し付けたいわけではない。
  • 話したかったことを整理すると「期待値の高そうな選択肢を選ぶ」これは大前提。しかししばしば「知識獲得の効果を忘れがち」という盲点がある。だから、新しい知識が得られそうなワクワク感を期待値に追加するとバランスが良くなる。
  • もう一つ「大きな損失は発生しないが、大きな利益が発生する可能性がある」というケースの話をしよう。さっきの図では確率分布が左右対称だったけど、現実にはそうではない。
  • 特に数珠繋ぎになっている場合に、まず小さなことをやってみて、それがうまくいかなかったりそうだったらやめて、うまくいったら規模を大きくしてもっとやる。スモールスタートという小さく始めてだんだん大きくしていくスタイル。
  • 少しやってみて、知識が得られて、イマイチだなと思ったらやめられる。だから損失の額は小さい。一方でうまくいった場合のリターンはめっちゃ大きい。そういうやり方もありますね。
  • なので失敗しても大きな損失にならないようなことをいくつかチャレンジしてみたら、そこで得られた知識から、他にいろいろ良い選択ができるようになっていくんじゃないかなと思います。