ユージン・ジェンドリンの体験過程と意味の創造において、メタファーの概念は第III章「感じられた意味の働き方」で7つの働き方の1つとして紹介されている。 平行的な機能的関係/創造的な機能的関係にわけた後者の一つである。
「メタファー」の訳語として「隠喩」が使われているが、ユージン・ジェンドリンの議論は「人生は旅のようなものだ」であっても「人生は旅だ」でも同様に成り立つので、直喩と隠喩の区別は必要ない。ここでは「メタファー」を使う。あえて日本語に訳すなら「たとえること」あたりが適当だと思う。
「感じられた意味」も同様に「フェルトセンス」と呼ぶことにする。
メタファーは新しい意味を作り出す
- 普通のシンボルは習慣的なフェルトセンスに直接関わる
- メタファーは使われたシンボルの習慣的なフェルトセンスに直接関わらない
- その習慣的なフェルトセンスを、新しい経験領域に当てはめる
- これによって新しい意味や、経験の新しい用具を作り出す(ほぼ原文ママ)
- 「赤いバラ」というシンボルは文字通りのことをシンボル化している
- 古い意味のシンボル化
- ここで「私の恋人は赤いバラのよう」と言うと、ここで新しい意味のシンボル化が起きる
- このプロセスで何が起きているか?
- ここの説明で前半の「再認」と「直接照合」を使う
- 述部のシンボル(赤いバラ)の古いフェルトセンスは「再認」によって呼び出される
- 別の領域の経験も、主部のシンボル(私の恋人)によって呼び出される、これもフェルトセンス
- どちらもこれまでそれ以上分化されたり「解明」されたりしなかった「フェルトセンスの塊」「未分化な塊」
- この二つの固まりの照合によって塊の新しい面が現れる
この後の「隠喩と理解はどうすれば区別できるのか」と言うあたりも面白いけど別の機会に書く
目次 - A: 認知における感 じられた意味の平行的な機能的関係 - 1.直接照合 (DIRECT REFERENCE) - 2.再認(RECOGNITION) - 3 解明 (EXPLICAT10N) - B: 創造的な機能的関係(“特定”“非平行的”) - 1.隠喩 (METAPHOR) - 2理解 (COMPREHENS10N) - 3関連 (RELEVANCE) - 4.言い回し(CIRCUMLOCUT10N)