Plurality の地図

コリン・メギル(Colin Megill)ってどんな人?

大勢の意見を、短い意見への「賛成・反対」の投票から地図にする道具 Polis を作った一人です。Polis は台湾の vTaiwan で使われ、書籍『Plurality』でも話し合いを技術で助ける代表例として出てきます。

ネットの掲示板で大勢が議論すると、たいてい言い争いになります。台湾の Uber をめぐる話し合いでは、そうならずに合意点が見つかった、とよく語られます。そのとき使われた道具「Polis」を作ったのが、この人たちです。

ひとことで言うと

コリン・メギル(Colin Megill)は、Polis(ポリス、pol.is) の創業者の一人です[1][2]。Polis では、たくさんの人がオンラインで短い意見を出し、互いの意見に「賛成・反対」を押します。それだけで、似た意見のまとまり(グループ)と、グループをまたいで支持される意見が見えてきます。台湾の市民参加の場 vTaiwan で使われたことで知られています[3]。

2014 年の紹介記事で、メギルは Polis の CEO として登場しました。アラブの春と 2007 年の金融危機のころから、ウェブの技術で人々が集団として動くのを助けられないかと考えていた、と話しています。共同創業者は元 Amazon の開発者マイク・ビョーケグレンで、クリス・スモールがアルゴリズムの面で早くから加わりました[1]。

Plurality とのかかわり

本の脚注に名前があります。 本の 5-4 章「拡張熟議」は、vTaiwan が使うオープンソースの道具として Polis を紹介しています。その脚注に、メギルが共著者の Polis の論文(2021 年)が挙がっています。本でメギル本人の名前が出るのはこの脚注です[4]。

台湾での講演。 2016 年 5 月、台北の g0v Summit で「pol.is in Taiwan」と題して講演し、Uber 規制の議論など vTaiwan での使われ方を説明しました[5]。そこでは、台湾で最初の Polis の会話を始めたのは g0v の 高嘉良(clkao) だった、とも話しています[5]。

タンとの対話。 2018 年 4 月には、オードリー・タン らとのオンラインの対話に加わりました[6]。同じ年、MIT Technology Review は、酒のネット販売のルールづくりが何年も行き詰まっていたのが、vTaiwan(Polis はその道具の一つ)で話し合うと「ほとんどすぐに解けた」、というメギルの言葉を紹介しています[3]。

その後の活動。 Polis のオープンソースの仕事を非営利で引き継ぐ団体 The Computational Democracy Project が、2018 年にできました[7]。2023 年には、OpenAI の「Democratic Inputs to AI」という助成プログラムの審査の諮問委員に名前があります[8]。

主な考え

言い争いではなく、合意を見える化する。 Polis では、返信で言い争うのではなく、短い意見に賛成・反対・パスで投票します。その投票から、意見のグループと、グループをまたいで支持される意見を示します。本の 5-4 章はこの設計を、話し合いを包み込むように進める進行役の工夫を、注意の向け方と画面の作りに落とし込んだもの、と説明しています[4]。

Polis と Community Notes は同じ仲間。 メギルらの 2022 年の論文は、Polis と、X(旧 Twitter)の Community Notes(当時の名前は Birdwatch)を、どちらも「立場の違うグループから広く支持される発言を浮かび上がらせる」並べ方の仕組みだとして並べました。そのうえで、この考えを広げて世論の地図を作る仕組みを提案しています[9]。→ ブリッジング

AI は話し合いを大きくできるが、危うさもある。 2023 年には AI 企業 Anthropic の研究者らと、大規模言語モデル(LLM)を Polis の要約や投稿の管理、投票の予測に使う可能性とリスクを論じた論文を書きました。人が確かめる仕組みを残す必要がある、と論じています[10]。同じ系統の道具に Talk to the City があります。

もっと知りたい人へ

  1. 書籍『Plurality』5-4「Augmented Deliberation」の Polis の段落(英語・本。日本語版は「拡張熟議」)— https://www.plurality.net/v/chapters/5-4/eng/
  2. 『ブロードリスニング』本 11.2「Polis の誕生」(日本語・本)— https://broadlisteningbook.com/
  3. MIT Technology Review「The simple but ingenious system Taiwan uses to crowdsource its laws」(英語・記事、2018)— https://www.technologyreview.com/2018/08/21/240284/the-simple-but-ingenious-system-taiwan-uses-to-crowdsource-its-laws/
  4. 「pol.is in Taiwan」(英語・講演の書き起こし、2016)— https://medium.com/polis-blog/pol-is-in-taiwan-da7570d372b5
  5. 「Polis: Scaling Deliberation by Mapping High Dimensional Opinion Spaces」(英語・論文、2021)— https://doi.org/10.6035/recerca.5516
  6. 「"Coherent Mode" for the World's Public Square」(英語・論文、2022)— https://arxiv.org/abs/2211.12571

出典

  1. GeekWire「Startup Spotlight: Polis」(2014-04-18)— http://www.geekwire.com/2014/startup-spotlight-polis/
  2. 英語版ウィキペディア「Pol.is」— https://en.wikipedia.org/wiki/Pol.is [CC BY-SA 4.0]
  3. MIT Technology Review「The simple but ingenious system Taiwan uses to crowdsource its laws」(2018-08-21)— https://www.technologyreview.com/2018/08/21/240284/the-simple-but-ingenious-system-taiwan-uses-to-crowdsource-its-laws/ [MIT]
  4. 『Plurality』5-4「Augmented Deliberation」— https://www.plurality.net/v/chapters/5-4/eng/ [CC0]
  5. Colin Megill「pol.is in Taiwan」(2016-05-14)— https://medium.com/polis-blog/pol-is-in-taiwan-da7570d372b5
  6. Conversation with Tom Atlee and Colin Megill(2018-04-06)— https://github.com/audreyt/transcript/blob/main/2018-04-06-Conversation-with-Tom-Atlee-and-Colin-Megill.md [CC0]
  7. The Computational Democracy Project「About」— https://compdemocracy.org/about/
  8. OpenAI「Democratic Inputs to AI」(2023-05-25)— https://openai.com/index/democratic-inputs-to-ai/
  9. Megill, Barry, Small「"Coherent Mode" for the World's Public Square」(2022)— https://arxiv.org/abs/2211.12571 [CC BY-NC-ND 4.0]
  10. 「Opportunities and Risks of LLMs for Scalable Deliberation with Polis」(2023)— https://arxiv.org/abs/2306.11932 [CC BY-NC-ND 4.0]

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