image エンジニアのための学ぶ技術2015-10-27 BPStudy 98 サイボウズ・ラボ西尾泰和

image 自己紹介2サイボウズ・ラボ次世代のグループウェアの基盤となる技術を研究開発

image 3グループウェアって何?

image 4 Group + Software

image Douglas Engelbart 5 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Douglas_Engelbart_in_2008.jpg

image Douglas Engelbart 6マウスGUIハイパーテキストグループウェアhttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:Douglas_Engelbart_in_2008.jpg

image Augmenting Human Intellect 7ソフトウェアによって人間の能力を増強する”Augmenting Human Intellect: A Conceptual Framework” (1962)

image Augmenting Group Intellect 8ソフトウェアによって集団の能力を増強する=グループウェア

image 人間コンピュータ

image 人間+コンピュータ=増強された人間人間

image 人間+コンピュータ=増強された人間人間

image ソフトウェアを売るということこれが顧客価値

image Augmenting Human Intellect 13ソフトウェアによって人間の能力を増強する”Augmenting Human Intellect: A Conceptual Framework” (1962)

image 人間増強の四要素•1:人工物(Artifacts) •2:言語(Language) •3:方法論(Methodology) •4:教育(Training)

image 人間増強の四要素•1:人工物(Artifacts) ←ソフトウェアなど•2:言語(Language) •3:方法論(Methodology) •4:教育(Training)

image 増強方法はソフトだけではない•ソフトウェア(人工物)を作り出すことだけが増強の方法ではない•思考の助けになるような言葉を作り出す•「やり方」を言語化・体系化する•そしてそれらの使い方を教育する

image 人間増強の四要素•1:人工物(Artifacts) •2:言語(Language) •3:方法論(Methodology) •4:教育(Training)←13を使うスキルの教育↑どんなよいソフトを作っても使い方が理解されなければ役に立たない

image 筆者のソフト以外のアプローチ•京都大学サマーデザインスクール•「学び方のデザイン」灘校土曜講座•「エンジニアの学び方」技術評論社•PyCon JPキーノート講演•「続・エンジニアの学び方」サイボウズ式•サイボウズラボユース公開講座(準備中)

image 19 Q:「学ぶ」プロセスの最初の一歩は何か?

image 20新しいことを学ぶためには盲点に気づく必要がある自分が知らないこと、かつ「知らない」ということに気づいていなかったこと

image 先入観なく現実を観察し、自分の理解とのズレを探す21

image エンジニア向けの具体例22エラーメッセージをちゃんと読む「きっとこうだ」と決めつけるのではなく確認のコードを書くどこが遅いかプロファイル取ってから高速化マニュアルを読め(たとえ英語でも)自分の理解(=思い込み)と現実のズレに注目

image 先入観なく見るのは難しい23 ←見えていない

image 多くの視点を得ることで24先入観を減らす“他人”の視点が有用

image これは正しいか?知識多い人が教え少ない人が教わる知識多い知識少ない

image 知識の少ない人からでも学ぶことができるA B

image ×自分以外から一方通行で学ぶ「自分に教えられることはない」という思い込みが作った心の壁

image ○互いに知識を交換して学ぶ

image 多くの視点を得ることで29先入観を減らす“他人”の視点が有用

image 先入観なく現実を観察し、自分の理解とのズレを探す30

image 31それが盲点を見つけ学ぶために必要なこと

image これを妨げるバッドパターン32「聞くだけ人間」と「言うだけ人間」個人の問題ではなく「『教わる役』『教える役』の固定化」という構造的問題。これを解消するにはどうすればいいか?

image まず「聞くだけ人間」を考える33「勉強会などで話す側に回ろう」耳にタコ実行する人は少ない自分が何を教えられるかがわからない→最初の一歩が踏み出せない

image 34何を学ぶか

image 35抽象的な知識ほど応用範囲が広い

image 36具体的問題の答えを覚える→その問題が解けるだけ解き方(抽象的方法論)を学ぶ→新しい問題を解ける

image 37抽象的な方法論を具体的な問題を解かずに学べるだろうか?

image 自分の経験から抽象化を繰り返して理解を育てる38

image 経験という「根」と結びつかないと応用できる知識にならない39根無し草の知識根のある知識応用

image 40経験

image 41「自分が経験したこと」は自分が世界で一番詳しい

image よくある例42発表者「失敗が怖い、間違えるのが怖い」→教科書を丸写しして発表→質問されても「そう教科書に書いてあった」としか答えられない→質疑が盛り上がらない失敗を避けようとしたことによってより大きな失敗が引き起こさてれいる

image 間違えることを避けようとしない43 •自分が「教える役」だと思っていると、間違えることは失敗だと思うのかもしれない•でも「教えあう」が目的なのだから、間違いじゃないかとつっこまれて議論をするそのプロセス自体が有益なもの•教科書などの「外部の権威」を自分の発表の正当化に使うとそのプロセスが回らなくなる

image 経験がメインディッシュ44自分はこういう経験をした(事実) (オプション)教科書にはこう書いていた(事実)自分はこう理解した(解釈) →これなら聞いている人に自分の解釈を言える余地がある

image 45理解の検証について

image 自分の中で育てた「理解」が応用できる知識かどうかはどうすればわかるのか? 46

image 47「理解した」は仮説にすぎない

image 仮説は実験して検証しよう48検証:思った通りの結果になった?

image エンジニア向けの具体例49プログラミング言語を学ぶ時: A:マニュアルを読んで理解した!終わり! B:マニュアルを読んで理解した気がしたので確認のためのプログラムを実装してみた!

image 計画行動計画の修正結果の考察

image 仮説実験仮説の修正結果の考察

image 理解行動理解の修正結果の考察

image 先入観なく現実を観察し、自分の理解とのズレを探す53

image 54「PDCAサイクルを回して学ぶ」の最初の一歩は?

image 55「何か発表しよう!」↓「何を発表しよう…」

image 最初の一歩はどう踏み出すのか?理解行動理解の修正結果の考察

image 57書いてから考えよう

image 58関係あるかもしれないことをまずは全部書き出して覚えておく必要をなくす

image 59具体例「発表のネタになるかもしれないものを付箋に50枚書く」

image 60「発表資料を作ろう」は大きくて計測不能なタスクなのでやる気が失われがち「ネタを付箋に50枚書く」は計測可能で隙間時間で実行可能

image 61書いたものを机に広げる

image 62

image 63人間の作業記憶は7個程度書いたものを机に広げれば100個をひと目で見渡せる紙と机(人工物)による作業記憶の増強

image 64ボトムアップでグループを作っていく

image 65

image 66トップダウンに分類すると既存の考え方の枠に情報を押し込めているだけになるボトムアップが重要発表資料作りの今回の例であれば、ストーリーとして関連するものを近くに置く

image 67束ねて表札をつける

image 68

image 69束ねて要約して表札をつけることで見た目の枚数が減り脳の負担が減る

image ボトムアップで集め、束ね、表札チャンクを形成70

image 71図解化と文章化

image 72

image 73図解は自分の理解の全体像を整理するのに向いている→しかし他人に伝わらない

image 74図解は二次元文章は一次元人に話すときも一次元人に伝えたいなら一次元

image 75 ↑文章としてのアウトプット

image 76文章化して他人に伝えフィードバックを得る

image 最初の一歩はどう踏み出すのか?書いてまとめて図解化して文章化人に伝える行動理解の修正フィードバック結果の考察

image 僕にとってこの講義は…書いてまとめて図解化して文章化人に伝える行動理解の修正フィードバック結果の考察

image 「聞くだけ人間」脱出法•他人にアウトプットしてフィードバックから学ぶ。•隙間時間で付箋を50枚書き、ボトムアップで組み立てる。•「自分の経験」にフォーカスする。自分が世界一詳しいテーマだから。

image 今ここまで終わった

image 81「言うだけ人間」の問題

image 「言うだけ人間」の問題82「互いに知識を交換して学ぶ」を目指すうえで聞くだけの人以上に問題なのが言うだけの人過去の成功体験から自信と先入観が生まれる

image 83年末の社内納会で、自分のコンフォートゾーン(自分のぬるま湯)から抜け出てコンフォートゾーンを広げようと、会社メンバーの前で話した2015-10-14 -ビープラウド社長のブログhttp://shacho.beproud.jp/entries/2015/10/14

image 84先入観・考え方の枠 コンフォートゾーン どうやって壊していくのか?

image 枠を壊す流れ85 1.自分には既成の枠がある、と気づく2.自分の枠で判断するのではなく、保留する3.「枠を変えても意味がない」という考えをのりこえる。4.「枠を変えるのが怖い」という恐怖を乗り越える

image エンジニア向けの具体例86エンジニアのNさんは自称「人間と話すより機械と話す方が気が楽」な人。↓中略「インタビュワーをやらないか」という打診が。そんな経験はないし自信もない! →でもやる(枠を変える恐怖の乗り越え)

image 「聞く」方法87聞く方法なんて学んだことない!インタビューに関する本を10冊買って全部付箋化してKJ法してみた重要なコンセプトはさほど多くない。

image 88相手の使う言葉は自分が考える意味で使われているとは限らない

image 89顧客「タイムマシンを作って」エンジニア「そんなことできるわけないだろ」

image 90相手が「タイムマシン」という言葉で表現しようとしているものが自分の考えるタイムマシンと同じだと考えている

image 91冷静に考えたらその前提が事実でないのは明らかなのに自分の枠で現実を歪めている

image 92顧客「タイムマシンを作って」エンジニア「どんなタイムマシンですか?」「そのタイムマシンがあることで何がどうなるとよいのですか?」

image 93前提に敏感になる

image 94二者択一法(選択話法)「Aという商品とBという商品のどちらがお好みですか?」どちらかを買う前提が入っている→暗黙に前提を認めさせる

image 95前提のある質問は答えを引き出しやすいが回答を歪めてしまう

image 96「最近のお悩みは何ですか?」→悩んでいることが前提

image 97「最近興味を持った技術は?」→技術に興味を持ったことが前提

image 98勇気づけることが大事

image 99言葉がなかなか出てこない人話すことに自信がない人話すことを勇気づけてやる気を引き出していく必要がある

image 100「教わる役」「教える役」の固定化を解消するには「教える役」がコンフォートゾーンを抜け出して積極的に「教わる役」をやることが重要なのではないか

image 「言うだけ人間」脱出法101 •「教える役」を抜け出し「教わる役」をプレイする。•前提や単語の意味は自分と相手で違う。自分の枠を相手に押し付けない。•相手が話すことを勇気づけ、やる気を引き出していく。

image ○互いに知識を交換して学ぶ

image 多くの視点を得ることで103先入観を減らす“他人”の視点が有用

image 先入観なく現実を観察し、自分の理解とのズレを探す104

image 105それが盲点を見つけ学ぶために必要なこと

image 僕にとってこの講義は…書いてまとめて図解化して文章化人に伝える行動理解の修正フィードバック結果の考察

image Question & Comment書いてまとめて図解化して文章化人に伝える行動理解の修正フィードバック結果の考察