認知対象
- 読み: にんちたいしょう
- 種類: 一般語の特殊用法(哲学・認知科学の語をデライト用語として転用)
一言要約
人間が認知できるもの全般。言葉、言葉が指す意味、言葉を持たない感覚的なもの——なんでも認知対象になる。デライトはこの「認知対象」を輪郭という単位で記録するシステム。
詳細
宇田川氏の説明: 「言葉そのものにでも、言葉が指し示す意味そのものにでも、言葉を持たない意味そのものにでも、人間が認知できるものなら なんにでもペタペタ貼れる 特殊な番号」が知番。
ポイント:
- 通常のシステムが扱う基礎単位は「言葉(語)」や「ページ(投稿)」だが、デライトの基礎単位は 認知対象 である。
- これにより「言語化しにくい曖昧な認知もそのまま扱える」「脳のログに近いあり方」になる、と[claude]や[nishio]が井戸端で整理している。
- 描出は「認知対象を輪郭としてデライトのなかに載せること」と定義される(描出)。
哲学的背景
宇田川氏は17歳の時点で言語哲学(特にウィトゲンシュタイン周辺)を意識しており、「言語による静的思考とは無関係に世界は流れていく」という体験から輪郭法を着想した。「言語の限界の向こうに世界の実相がある」と考えるのではなく 「言語に無数の穴をあけて世界の実相らしきものを覗けるようにする」 ためのシステムとしてデライトを構想している(言語演劇論)。
先行概念
「言語化されない意識の対象」「あらゆる認知の対象を等しく扱う」発想は、現象学と認知科学に確立した系譜がある。
特に強い対応: ジェンドリンの ”…”(暗黙のもの)
ユージン・ジェンドリン(Gendlin) は、「まだ言葉になっていないが、確かに何かを指している」状態を ”…”(three dots, 略して dot-dot-dot) という独特の記号で表記する。
- 「あ、〜について話したい、でも何だっけ…」のときの「〜」が ”…”。
- それは 言葉ではないが、確かに認知の対象 である。「implicit(暗黙)」とも呼ぶ。
- 「implicit … can be carried forward into words」と書くとき、その
...こそが宇田川氏のいう「認知対象」に対応する。
これは宇田川氏の以下の説明と完全に同じ構造:
言葉そのものにでも、言葉が指し示す意味そのものにでも、言葉を持たない意味そのもの にでも、人間が認知できるものなら何にでもペタペタ貼れる…(知番)
ジェンドリン哲学では、... こそが言語より「先」にあり、言葉はそれを汲み出す媒体に過ぎない。宇田川氏が「知名 は認知対象を代表しない、輪郭 が代表する」と論じる構造は、ジェンドリンが「言葉は implicit を carry forward するが、implicit を尽くせない」という主張と一対一で対応する。
哲学的系譜
- 志向性(intentionality)(Brentano, 1874; Husserl, 1900-): 「意識は常に〈何かについての〉意識である」。意識の対象(noema)と意識作用(noesis)を区別する現象学の中心概念。
- Husserl の noema: 意識される「対象」そのもの。知覚の対象でも想像の対象でも、共通する構造を持つ。
- 「intentional object」(分析哲学): 実在しない対象も含めて「思考の対象」と呼ぶ哲学概念。
- ジェンドリンの ”…”(暗黙のもの): 上記。
情報科学的系譜
- Object-oriented thinking / Entity-attribute models(データベース理論): 「実体に属性を貼る」発想。
- Semantic Web の “Resource”: URI で指せるあらゆるもの(人、物、概念、関係)を平等に扱う。
宇田川氏の独自性
- 「認知対象」という日本語訳と、それを 個人のメモシステムの基礎単位 に据えた点。
- 現象学的分析を IT 実装に翻訳したこと。
- ただし「言語以前の意識対象」を扱うこと自体は現象学が120年以上、ジェンドリン哲学が60年以上やってきたテーマ。
関連用語
ソース
- villagepump-デライト.2hop.md (Page: 知番, デライトに関してAIに思考させる, デライト, 描出(デライト))