知番

  • 読み: ちばん
  • 英語: knumber
  • 種類: 造語

一言要約

「認知対象」(人間が認知できるものなら何でも)に対して振られる番号。輪郭の ID として機能するが、思想的には「輪郭の ID」ではなく 「認知対象そのものに付与された ID」 であるところに独自性がある。

詳細

  • 書式: KNo.F85E/A-5B28 のような形。固定桁を単位に区切り(4桁ずつ)電話番号のように記憶しやすい形にしてある。
  • 認知者(≒投稿者)のIDを含む(例: KNo.3FD3/43313FD3 は久住哲氏のID)。これによりシステムは「私の輪郭か/私以外の輪郭か」を表現できる(アイコン表示の有無など)。
  • WWW における URL のような、ある程度独立した識別子体系として設計されている。「単なる ID」だと輪郭が根なし草になる、認知対象を名前と番号で「ピン留め」する発想。
  • 設計上、ありとあらゆる 認知対象(言葉でも、言葉が指す意味でも、言葉を持たない意味でも)に貼れる特殊な番号、と本人は説明している。
  • 知番は「地番」にもかけており、本人は「脳内地番」「大脳検地」と呼んでいる。
  • 知番を印字したテプラを物品に貼って物品管理にも使える([知番による物品管理])。
  • 「知番がある」ことで、識別性を名前に頼る必要がなくなる ←→ そのぶん名前だけで区別できないのでメモに手間がかかる、というトレードオフ。

なぜ重要か

  • デライトの「同名でも別の輪郭が成立する」設計、属人性、メモの粒度などすべての特徴が、「番号は名前ではなく認知対象に振られる」という発想から派生している。
  • 開発者が「(デライトでなく)デルン開発で最も苦労した部分でもある」と述べる、システムの核。

知番が表現できる「単一性」

久住哲氏の分析([知名、知番、単一性] ページ):

  • 知番は、それ自らのみで単一性を表現できる。例: あるとき見た雨粒(個物)と、雨粒一般(現象)は別の単一性だが、知番はその違いを 無視して 単一性を表現できる。
  • 人間は普通、対象の単一性を認識する時に、顔貌や固有名や肌触りなど多様な特徴を使う。デライト上で対象の単一性を保証するには、それらは要らず、知番だけ で済む。
  • ただし知番は、ユーザーが世界に対して持つ志向(「何を指したいか」)までは表現できない。知番が割り振られた時、自動でその対象が定まるわけではない。志向の側は 知名描写輪括 で表現する。

先行概念

「名前と独立に実体に ID を振る」発想は、知識工学・情報科学の 複数領域で確立された設計原則 である。デルン構想(2002)を基準に時期を整理:

  • 明確な先行(〜2001):
    • データベース理論の代理キー(surrogate key)(1970年代-): 自然キー(実世界の名前)と独立に人工 ID を主キーにする原則。リレーショナル DB 設計の標準。
    • URI(RFC 1630, 1994): 「あらゆるリソースに一意な識別子」という Web の基礎。
    • DOI(1998-): 学術文献の固定 ID。
    • Semantic Web vision(Berners-Lee 1999, “The Semantic Web” Sci Am 2001): URI で「あらゆる物事」を指せるようにするビジョン。
  • 並行発展(2002年以降):
    • Linked Data 4原則(Berners-Lee, 2006): URI を実体識別の核に据える明示化。
    • Wikidata の Q-number(Wikimedia, 2012-): Q42 = Douglas Adams のように、言語非依存の固定 ID で実体を識別。デルン実用化と同年の大規模実装。
    • ORCID(2012-): 研究者の名前と独立な ID。

宇田川氏の独自性は、これを 個人のメモサービスのレベルで全データに徹底適用 したこと、および「認知対象」という用語で哲学的に枠付けたこと、人間が日常的に読み書きする桁数(4桁単位、URL風)に最適化したこと。

設計原則そのものは新規ではない(DB 代理キー以来、約50年)が、構想時期(2002)は Linked Data 原則化(2006)や Wikidata(2012)より早く、Semantic Web vision とほぼ同時期の並行発想 と見るのが公平。

先行概念マッピング

関連用語

ソース