ある種の概念は、どんな言葉で呼んでも、その言葉が普及すると詐欺師によって汚染される。人間の欲と強く関連した概念だからである。

資産」という言葉は「資産を持ちたいが、何が資産であるのかよくわかってない顧客」に対して、資産ではないものを「これが資産ですよ」と説明して売りつけるために使われる。買った人は、自分が愚かさのゆえに損をしたことを認めたくないため、詐欺師の理論の強力な支持者となる。

不労所得」という言葉は「それを得ることには厳しい条件があり、その意味で難しい。もし簡単に得られるのであれば多くの人がそれをやり、『当たり前』のこととされるだろう」と考えることのできない顧客に対して「これをやれば簡単に獲得できますよ」と説明して獲得手段を売るために使われる。その手段を使って不労所得を得た人はゼロではない。しかし誰でもその手段で獲得できるわけではない。

概念を指す言葉が詐欺師によって汚染されることで、その概念自体を嘘くさいと誤認する人がいる。みずから歴史を学ばず、詐欺師による広告だけを見るからである。

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