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中国軍人が観る「人に優しい」新たな戦争 知能化戦争
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紹介: 「超限戦」に続く新しい中国の戦争概念がここにある。
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龐宏亮 (ホウ コウリョウ) (著)
- 国防大学国家安全学院副教授、戦略学博士、大校(上級大佐に相当)、中国国防大学第 3期優秀中青年教育研究基幹要員、中国人工知能学会会員、テレビ番組『講武堂』特別ゲスト。2004 年に学術書『智能化戦争』を出版。15 の軍事プロジェクトを主宰あるいは参与。軍内外の重要刊行物に 20 余編の論文を発表。
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「将来的に戦争は兵器の強度や性能を争うものではなく、アルゴリズムを戦わせるものになる」
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核攻撃による報復で人がたくさん死ぬことが今まで戦争を抑止してきた
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無人兵器が主流になれば、戦争で人が死ななくなる
- 戦闘人員が捕虜になったり死んだりしない
- 戦争の政治的コストが下がる
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かつては兵隊一人一人が情報処理の単位であった
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長距離リアルタイムの情報伝達手段が生まれて中央司令と密に情報をやり取りして一体として動く形に変わった
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センサーの向上などで収集される情報量が増えた
- 通信帯域の問題
- 中央に集めても人間の処理能力では追いつかない問題
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人間の情報処理をソフトウェアが支援するようになる
- アルゴリズムの能力差によって一人の人間が同時に扱える無人機の数が増えたり、判断材料に使えるデータの量が増えたりする
- この時代において「兵器の能力差」はアルゴリズムの能力差がそのほとんどを占めるようになる
死傷ゼロの時代
- 1999年のコソボ紛争では米軍側の死傷者は0だった
- 死傷ゼロの考えが広まる
- 生身の人間で敵国のロボットと戦って死傷者を出すことは政治的コストが高いから
- 「戦争は機会同士が行うもの」
- 征服や占領は死傷が出やすい
- 政治的目的を達成する上で占領が必要か?
- 敵の意思を直接挫く方が低コスト
- 例: ビン・ラディンの殺害
- シナリオ:遠隔暗殺
- 無人機によって証拠を残さず暗殺をする
- 輿論戦
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遠隔暗殺作戦は政策の策定者、計画執行者、軍事指揮官などに直接働きかけ、戦略目的を迅速に達成し、関係者に迅速かつ強烈な衝撃を与える。これによって遠隔暗殺作戦は高い威嚇力をもつことになるが、この方法は対象国の反発や怒りを招き、国内政策がさらに急進的になる可能性もある。こうした不利な状況を招かないために、作戦の実行者は世論戦を用いて現政権の指導者の正統性を毀損し、国民が軽蔑するようになってから遠隔暗殺作戦を行うのが一般的である。
スワーム作戦
- 大量の小型無人機による作戦
- 従来の防衛システムを回避しやすい
- 個体が破壊されても群れを維持しやすい
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大国同士が戦争になると核兵器による報復がヤバいのは今も変わらないので、遠隔暗殺シナリオみたいにバレないように殺すことになる
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SNSで都合のいい世論をつくることに「[輿論戦]」なんて名前がついているのが興味深い
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戦争の主体が「国家」だと仮定しているけど、例えばGoogleくらいの資金と技術力があれば国家と同様に遠隔暗殺能力を持ちうるので戦争の主体は企業になりうる
- SNSを使った世論戦なんかはむしろ軍よりも得意なのではないか
2年前に中国のロボコンを見てドローンの射撃性能がロボコンの優勝の決め手なのを技術革新が評価されてかっこいいなと思ってたのだが、その技術革新が軍事力に直結してるんだなぁとこの本を読んで思った
- 軍民融合政策