プラセボ(プラシーボ, 偽薬)という言葉にはネガティブな用法とポジティブな用法がある。

  • プラセボ効果=薬理効果を持たないものを処方しても、薬を飲んでいるという気持ちによって効果が現れる現象

  • ある薬Xに効果があるかどうか?という文脈で

    • Xを飲んだ人に現れた効果と、プラシーボを飲んだ人に現れた効果が大差ない時
    • この文脈での「これはプラセボ効果だ」は「Xに特別な効果はない」というネガティブな用法
  • 行動経済学の文脈で

    • コントロール群と栄養ドリンクを飲んだ群で、アナグラム問題の正解率は双方9/15だった
    • しかし「この栄養ドリンクはクイズ課題によく効く」とパンフレットに書くと12.3/15まで上がる
    • つまり、効果があると信じることによって実際に正解率が上がる
    • この文脈での「これはプラセボ効果だ」は「効果があると思うことによって実際に効果が出る」というポジティブな用法
  • この文脈が食い違ってると

    • 「それはプラセボじゃないの?(効果ないんじゃないの?)」
    • 「うん、プラセボだよ?(効果があるよ?)」
  • というすれ違いが生じる

  • 医療の文脈で、苦しい病気の人に効果のない薬を売る行為は(例えプラセボ効果で病気が治ったとしても)倫理的に良くない

  • 行動経済学的な領域で「自分自身にプラセボを処方する」のは

    • コーヒーを飲む(カフェインに効果があると信じてる人は多いけど、実際に効果を計測してる人はほとんどいない)
    • 25分のタイマーをセットして「これから25分集中するぞ」と言う
    • 手に人と書いて飲むことで緊張避けの効果が発生すると信じる
  • などと同種のものであって、倫理的な問題はない。

  • というわけで、自分の生産性を上げるためには、無害な薬品を「すごく効果のある薬だ」と信じて自分に処方するべき