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別々の場所で生まれた情報が1人の人の中で結合すること(以下、マッチング)が、
- 新しいものが生み出されるきっかけになることがある。
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対人コミュニケーションによって情報がやりとりされるケースに注目すると、
- 対人コミュニケーションを増やした方がマッチング確率は上がる。
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しかし人間の認知能力の限界によって、対人コミュニケーションの量には限界がある
- ref ダンバー数
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人間を頂点、対人コミュニケーションを辺とするグラフで考える。
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一つの頂点が持つことのできる辺は最大Nであるとする。
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組織のメンバーが他のメンバー全員と辺を持つ構造(完全グラフ)では、N+1以上のサイズに成長できない。
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この問題を解決するために生まれたのが階層組織である
- N=10とするなら「中間管理職」という役割の人が、9名の部下と1名の上司との結合を担う
- この構造で、1人の社長、10人の中間管理職、90人の平社員、が結合できる
- 最大パス長は4である
- ここまでの構造では、平社員はまだN-1本の辺を貼る余力を持っている。いくつかの解釈がある。
- 自分の部署内で濃密なネットワークを形成している
- 自分の部署内にそれなりのネットワークを形成して、余力で他部署の人と結合している
- この他部署との結合には一般的には高い価値があると考えられている
- 「部署をまたいだコミュニケーションが大事」という表現
- いくつかの大企業で部活動や部署横断チームが積極的に作られている
- そもそも認知能力は人によって差があるので「張ることができる辺の数」も差がある
- 辺を張る能力に劣った人であっても平社員ならできる
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N=10とする
- 11人のグループではそのグループの外に辺を張れないのでタコツボ化する
- 10人のグループで全結合をした場合、全員1本の余力ができるので、その1本で他のグループに辺を張れる
- 9人のグループなら、2本張ることができる
- 何人のグループが適切か?
- 11人以上のグループでも、完全グラフからすこし間引いてもさほど実害がないはず
- その間引いた分で外部への辺を張ればよい
- 例えば1人の「グループリーダー」が残りの10人と辺を張り、グループ内の情報流通を全部仲介することにする
- 残りの10人は9本の辺を外部に張ることができる
- グループ内の情報流通に1手間増えることや、SPOFが発生するデメリットがある
- 肌感としてはあまり良くない構造に感じるが、その「悪さ」は定量的に示せるか?
- 外のグループへの辺の張り方に何か良い方法があるか?
- 例、10人のグループから10本の辺が出てくるので、これはN=10な1人の人かのように扱うことができる
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忘れてはいけない点
- 神の視点で「こういうネットワーク構造が良い」と決まったとしても、実際にネットワークを構成するのは個々の人間
- 例えば大企業においては階層的な組織構造を強制することができる
- 知識獲得のために他の組織に出向させる事例もある
- しかし個々の人間がどう振舞うかは究極的には個人のインセンティブ次第
- 個々人が自分のインセンティブに基づいて活動することで好ましいネットワーク構造が生まれるように設計したい
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SPOFや囚人のジレンマの発生を避ける
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「共通の友人の紹介」を重視する戦略が、有益なネットワーク構築につながるだろう、という予感を確認したい
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別のシステムとして「毎年追加される人に上下のリンクを発生させる」
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生身の人間からの情報獲得と、書物などからの情報獲得のトレードオフ
- 生身の人間との対話による情報獲得と、講義などのブロードキャスト受信による情報獲得
- SNSの効果