2018-11-29 BPStudy第135回 イベントページ 第1部 「エンジニアの知的生産術」と体育型授業

拙著「エンジニアの知的生産術」がご好評いただいていますが、書籍は文字のデータが著者から読者へ流れるだけの、一方向のしくみです。 勉強会の講演も、しばしば発表者が喋って、参加者が聞くだけ、という一方向のものになりがちです。 例えば体育の授業で、教師がPowerPointで講義をし生徒がそれを聞くだけで、生徒はスポーツができるようになるでしょうか?そんなわけないですよね。 同様に、「知的生産」というスキルも、一方的に話を聞くだけで身につくはずがありません。今回は、勉強会発表に体育型授業を混ぜ込むという実験を行いたいと思います。

まとめ

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司会:ではそろそろBTSTUDYの135回目を始めたいと思います。今日は第一部はエンジニアの知的生産術というテーマで著者の西尾さんにお話いただきます。二部は斎藤さんに数理最適化というテーマでお話頂きます。第三部はLTになります。では西尾さん宜しくお願いいたします。

西尾:宜しくお願いします。先程ご紹介にあずかりました西尾です。エンジニアの知的生産術と体育型授業というタイトルで発表させて頂きます。

image 今回の予告なのですが実はBTSTUDYに来るのは僕3回目なのです。その3回の過去2回とどれくらいスライドの枚数が違うかという話なのですが、第一回エンジニアのための学ぶ技術が107枚スライドがあったのです。時間枠は同じですよね、確か。2回目の〓00:02:25〓への道は79枚。これは難しい内容だから少しゆっくり話そうと思って80枚スライドを用意してきたわけなのですが、今回のスライドは21枚です。ですので、残りは体育型授業の実験をするというふうな形になっております。これですでに2枚目なのですが、残り19枚。サクサクと進めていきたいと思います。

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エンジニアの知的生産術って何かというと、この本ですけれども8月ぐらいに出ました。エンジニアの知的生産術効率的に学び整理しアウトプットする。こういう本なのですが。書籍って一方通行なのです。

image 本を読む行為って著者がアウトプットした文章を皆さんがインプットする。つまり情報が一方向にしか流れないのです。これってあまり良くないなと僕は思っていまして著者が死んでしまっている場合はもうそれしかしょうがないのですが今回なんと素晴らしい事に著者が生きているのです。これってこのチャンス活用しないのは勿体ないです。著者生きているのです。珍しく。今まで書かれた本全体の中からいうと著者が生きている本は極僅かなわけです。その著者が生きているというメリットを有効活用するためには有効活用していく事が重要だ。著者が生きている本は相互方向のコミュニケーションができる。僕が何か言ってそれに対して皆さんが笑ったというのは僕がもし死んでいたら、僕は見る事ができないわけですけれども。そういう事がお互いに情報をやり取りする事が出来る。これが著者が生きている本の最大のメリットです。なんですが、なのでこういう勉強会の場で話す機会を作りましょうという事でこの会が作られたのですが、勉強会もしばしば一方通行になるのです。

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どういう事かというと聞くだけになってしまう人って割りと多い。僕が一方的に喋って、それを皆さんが一方的に聞くだけみたいな一方通行になってしまう事が多い。これはテレビを見ているような物でテレビの放送を見てテレビに対してフィードバックを返したりってあまりしないわけじゃないですか。そのような形で折角相互方向のコミュニケーションの出来る場を作っているにも関わらず、ここにテレビの画面があって動画を流しているだけと同じような情報の受け取り方をしてしまうと、チャンスを有効活用出来ていなくてとても勿体ないと思うのです。ここで皆さん少し思考実験として考えてみてほしいのですけれど、プログラムを書く事なくプログラミングって習得出来るでしょうか?

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または教科書読むだけでキャッチボールを出来るようになりますか?

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テレビで解説動画みたらキャッチボールできるようになりますか?学校の先生が体育の授業で前でパワーポイントでスライドを用意して、これからキャッチボールのやり方について説明しますと言ってスライドを1時間で60枚くらいパラパラめくって説明したとして、それで誰かキャッチボールを出来るようになるかって言うと、ならないわけです。つまりどういう事かというと、スキルは実践なしには身につかないわけなのです。

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スキルは実践なしには身につかない。そして知的生生産といのは同様にスキルなのでこれは実践する事によってしか身につかないというふうに思っているわけです。

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ちなみにこれスライドが9枚目なので半分くらい終わりました。第一部のまとめなのですがテレビを一方的に見るような形の勉強会ではなくてキャッチボールのような実際に体を動かす、体育的な勉強会の受け方というのをやっていきたいと僕は今回思っているわけです。

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第二部まだもう少し一方的に話が続くのですが、第二部。事前と事後の話をします。 image

事前と事後の概念は僕すごく重要だと思っているのですが伝わりにくいので今回きっちり説明してみようと思っています。

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書籍は著者がまず文章を書きます。顧客である皆さん読者はそれを購入してそれを読みます。つまり顧客が本当に求めているものは何なのかと僕がフィードバックを受ける機会はなく、まず僕がアウトプットをするわけです。それを顧客が作成された物を購入して読む。つまりこれは事前に知的生産が行われている状態。でもアジャイルの知的生産はそうではなくて、顧客との対話を通じて物を作っていきたい。

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対話を通じて知的生産をする。対話を通じて生み出していく。そういうのをしたいというわけです。こういうタイプの知的生産はどうなるかというと、参加者は質問をすればするほど自分の興味のある、自分の聞きたい内容についての話が聞ける確率が上がると。ちなみにこれ先に言うのを忘れたのですが今録音をしていまして、今喋っている内容は音声にとってあるのでこれを後で文字起こしをします。そうすると事後的にコンテンツが生まれる。事前に発表資料を作っておいてそれがグァーーっと一方的に1時間喋られて皆さんが一方的に聞いてそれで終わりではなく、この場で皆さんとやり取りした内容が事後的にコンテンツになるというふうな形です。これが事前と事後の切り分けです。

「勉強会がテレビ型」の話と繋げてみましょう。 image テレビ型の一方的に情報が流れるような物になってしまいがちな事の大きな1つの理由はやはり事前にスライドをたくさん準備してしまう事だと思うのです。たくさん準備してしまうと、それを発表時間内に最後まで話さなければいけないというようなプレッシャーが高まってきて、では次の話に進みます、次の話に進みますのようにパッパッパとスライドを切り替えながら用意してきた内容を一方的にバーっとまくしたてるマシーンになるわけです。テレビになるわけです。そういう機械になるわけです。情報をただ垂れ流すだけの機械になってしまうわけです、発表者というのは。でもそれって事前にレールを用意しておいてこの勉強会では1時間の間にこの80枚のスライドを話すぞ!みたいな感じの準備をしてきて、そのレールの上をひたすら走っている状態に過ぎないわけです。これだと新しい物は生まれないです。用意してきたレールの中にずらっと並んでいる情報がテレビのようにザーっと一方的に垂れ流されて皆さんが一方的に聞いて終わりという場になってしまう。どうしてこうなってしまうのか。このようになってしまいがちなのですけれども、どうしてなってしまう?これは誰かを批判しているわけではなく僕の前回2回の講演で80何枚のスライドを用意してきた本人が言うのもなんなのですけれども準備して行きたくなってしまうのです。何故かというと、怖いからです。一言で言うと。

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準備して来ないと怖いのです。何が怖いのかというとレールを用意しておかないと何が起こるかがわからない。

image この不確実さに対して人は恐怖を感じる。発表資料が21枚用意してきましたと言いました。今16枚目です。間もなく発表資料がつきようとしていますが、その発表資料がつきた後、一体僕はどうなってしまうのかと。こういう恐怖感があるわけです。その恐怖感があるわけなのですが、この恐怖って要はコンフォートゾーン心地よい快適な場所にとどまろうとする心の動きなわけです。本当にこのコンフォートゾーンにとどまっていて良いのか。怖いという気持ちを乗り越えてレールを手放した先にしか新しい物が創造される場所っていうのはないのではないか。今回僕が仮にこの書籍の内容をスライドに起こして書籍の内容1冊分がスライド1回分には絶対おさまらない。どこかを切り落として削ぎ落して、ものすごく高速で喋るはめになってしまう80枚のスライドとかを用意してここに来る事も出来たのですが仮にそれをしたとして何か創造されるかと言うとならないです。皆さんここに来て80ページくらいのスライドワーっと流すのを聞くよりも帰って落ち着いて本を読んだ方がきっと皆さんの身につくというような状況になるはずなのです。それをもしやってしまったとして。これをしては意味がないので。では、どうすれば本当に知的生産が出来るのかというと知的生産はアクティビティであって体育であってキャッチボールなのだから、やるしかないのではないですかという。それが今回の発表の話です。

何が怖いという話にもう1回戻るのですけれども特に何が怖いって、質問が出ないと怖いです。 image

後5分くらいで講演が終わって、では質問タイムですあと45分。みたいな形になった場合にシーンとなったら、これはもの凄く怖いわけです。これってテレビのイメージ持っていると、テレビでシーンとなれば放送事故と呼ばれるわけです。だからそれを避けよう思うわけです。テレビで放送事故を避けるためにどうするかというと何か予定していたレールから外れた出来事が起きた場合に大急ぎでそこを詰める。埋め合わせの何かのコンテンツを入れたりして場を繋ぐ、埋めるわけです。でも、テレビ的な勉強会ではなくキャッチボールの勉強会をしたいと言った場合、キャッチボールの例えでいった場合、質問が出ない症状っていうのは一体どういう状況なのか。

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一体どういう状況なのかと言うとボール投げてそのボールがすぐに返って来なかったという状況なのです。これってすぐにボール返ってこないから次のボール投げなきゃ!と言って投げていいと思います?キャッチボールでボール投げて上手くキャッチ出来なかったからアッってなったりとかキャッチは出来たのだけどちょっと待ってまだ投げるのに慣れていないからちょっと待ってモゾモゾとしている所にもう1個次のボール飛んで来たらどうする?それではキャッチボールにならなくてキャッチボール出来るにもならなくて、ただひたすらボールを投げつけまくられるだけの場になるわけです。

大量にスライド用意してきて僕がバーッと喋った場合何が起きるかと言うと、それが起きるわけなのです。なのでここの場で質問がもし出なかったとしてその時に何が必要かというと新しいボールを投げるのではなく新しいコンテンツを喋るのではなく。場がシーンとしているので大慌てでではこの話しますね。や新しいネタを出してきたりするのではなくただ落ち着いてじっくりと待つ時間が必要なのではないか。

image ボールを投げ返すための、質問を考えるための。そういうふうな時間を僕の側が落ち着いて慌てずに沈黙をどっしりと受け止めなければいけないのではないかと。今心臓バクバクしているのですが、大丈夫でしょうか。ボールを投げ返す時間というのが、どうして大事なのかと言うと人の話を聞きながらそれに対しての質問事項を整理して文章にするのは結構難しいわけです。特に慣れていなければ当然難しいわけです。ではキャッチボールでいうとこのボールを受け止めボールを投げ返すというこのアクティビティに慣れていない人はキャッチボールをするようになるにはどうすればいいのかと言うと。慌ててボールを投げつけたりしないでボールが返ってくるのを待つしかないという形です。

image 世の中でよくある質疑応の時間はどういう事が起きているかというと「誰か質問のある人〜」というわけです、手を挙げた人がいると「ではあなた!」という感じで当てて、そこで質問が流れ始める。となると質問を考えようかなと思っていた人は自分の中で頭の考えが整理されきる前に別の人の対話がスタートするわけです、コンテンツとして。それはやはり聞きたいですよね。それを聞かないで自分の質問したい事を整理するというのはなかなか出来ないわけで。それを聞いていたらまた考える時間がないから、では次の質問の人?と言った時にまだやはり手を挙げる事が出来ない。なぜかと言うと質問を整理する時間がなかったから。という事が起きてしまう。ずっとコンテンツが流れていたのでは聞くのに精一杯で考えをまとめる時間がないではないかと。

というわけで今回どのような事をしたいかと言いますと、この発表が終わったあとまず、シンキングタイムが1分間スタートします。

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これ今回の新しい実験です。シンキングタイムの間、質問のある人は手を挙げるのですが、ではあなた1番あなた2番あなた3番と番号をふっていくだけで会話がスタートしません。この1分間のシンキングタイムが終了した後、手を挙げていた人の順番にあてていって話をしていくのですが事前に手を挙げていた人が終わった後また1分間のシンキングタイムに戻ります。こうすると全員少なくともタイム毎に1分間の考える時間が与えられる事になるわけです。というわけで、そのような形の1分間のシンキングタイム制を今回実験的に試してみたいと思っています。以上でスライドは全部終了ですので。

というわけで今から1分間のタイマーがスタートします。何かご質問のある方は手を挙げていただいて番号をふっていきます。では1番。下ろしていただいていいですよ。終わったら1番の人と言いますので。2番ですね。自分が何番かだけ覚えておいていただいければ。では3番です。はい4番で。 最初の4人に聞いていきたいと思います。まず1番の方、質問は何でしょうか?

男性:このプレゼンをしようと思ったキッカケというか、アイデアが出たキッカケを教えていただければなと思います。

西尾:そうですね。実は成蹊大学に塩澤先生というめちゃくちゃITを使いこなす法学部の教授がいるのです。僕その人のイベントで1回だけその人の講演を聞いたらめちゃくちゃ面白かったので、その人の授業を聞きたいと言って聴講生になって半期分の丸ごと授業を受けに行ったのですけどその時の先生のやり方がすごく面白かった。それがキッカケです。まずこれこうやってしているのも全部先生の真似で動き回る事が出来ます。授業している時に学生がズラッと並んでいる時にこのように歩き回るわけなのです。それで、手書きするのです。ノートを。図を書いたりしながら。わーっと色々説明した後に、はい、では質問のある人と言う。質問のある人と言った時にすぐに手が挙がらなかったら次の話に進みますね。と言ってしまいたくなる所を本当にずっと…本当にずっとと言っても割とすぐに質問が出るのですけれども。長く構えているのです。今シンキングタイム1分間とったのですが1分ってすごく長く感じなかったですか?沈黙としては。普通このような勉強会などであの1分間の沈黙があると多分講演者側からすると1分経つ前に10秒や15秒で質問ないようなので次の話にいきたいと思いますと言っていたと思うのですが。1分って時間としては60分の中の1分はすごく短いわけですけれどそれくらいの考える時間を用意する事すら普段してないわけです。塩澤先生の法学部の先生の授業、民法を大学2年生の学生さんに教える授業だったのですが自分で考える場にしてほしいと。バーッと情報が降ってきて法律の情報がどっさりあるのをバーっと言われてひたすら覚えるみたいな感じの授業ではなくて、自分はこう思う。こう解釈するみたいな形の事を如何に引き出していくかをすごく考えられている先生で、これは面白いと。しかもその人、法学部の教授なのですよ。IT系のエンジニアの勉強会で発表しているとかではなく、我々IT系…我々と言って良いか知らないですがIT系の僕が見た事もないような方法でプレゼンをして授業をしていた。これは取り残されていないかという様な切迫感もあり、それを実際試してみたいと思ったのが1つのキッカケです。

男性:ありがとうございます。

西尾:はい。では2番目の質問の方。はいどうぞ。

男性:この本の内容を大学生の時にもう知っていたとなれば、どれくらいその後の効率は変わりますか?

西尾:そうですね。僕明確にこの本に書いている内容を言語化して理解し始めたのはせいぜい7年も経っていないのです。なので、単純にそれを知った後のこの期間は2倍、3倍にとかに伸びるわけですよね。これすごく〓00:18:18有益?〓だと思います。なんか宣伝みたいですが(笑)最近未踏ジュニアという若い17歳以下の学生さんのプログラミングなどのチャレンジしたい事のある人に支援するというプロジェクトをやっているですが彼らに僕自費で全員に1冊ずつ渡して僕はこれ5年とか10年とかもつ本だと思っているのでこれで彼らが5年後10年後にすごく化けてくれて、この本があって良かったですと言ってくれたら僕すごく嬉しいです。それを今後5年10年経ってどうなっていくかの実験なわけです。これが実際に5年10年もつかどうかというのは5年10年経たなければわからないのですが僕はそうなるだろうと思ってチャレンジをしているわけです。

男性:はい。

西尾:はい。では3番目質問の方。はいどうぞ。

男性:エンジニアの知的生産術の第二版を書くとすれば、どのような内容を追加したいですか?

西尾:増補版を書きたいという話を実は前々から考えていて入っていない内容としていくつかあるのですが少し待って下さいね。実は増補版と検索すればあるのです。どういう事を書きたいかという話。例えば何の話を書きたいかというと知的財産権法は…著作権法などの話は皆さんもっと知った方が良いのではないかと考えています。描く技術や知的財産権と契約。皆さん知的生産するわけです。プログラマーはプログラムを書く。それはある種の知的生産ですし、例えば執筆すると文章を書くってそれは知的生産なのですがその結果生まれてきた知的財産を守る法律の事を何も知らないまま言われた通りに出版社から出版契約書などが送られてきて、これにハンコを押して送り返して下さい。みたいな事を言われて「はい」と言ってハンコを押して送り返したら、それ何も自分の知的財産を守る事が出来ていないですよ。みたいな事を実は現在進行形でこのネタにしようと思ったら予想以上にネタが膨らんでしまったのですけれども。実はこの本まだ出版契約結んでいないのです。意見がまとまらなくて。どういう事かというと、この本の内容を公開する権利が欲しいと僕は。そうするとそれが公開されたら本が売れなくなるじゃないかと出版社側は言うわけです。そんな事ないですよ。公開している出版社はこの本とかこの本とか一杯ありますよと。なぜだめなのですかという議論が進んでいる状況です。ちなみに出版契約を結んでいないとどうなるかというと、厳密に言うならばこの出版社は著作者の許諾を得ずに複製して本を作って売っている事になるので疑似違法状態なわけです。僕訴えないですけれど。一方で出版契約を結んでいない状態なので印税を支払う義務があるかというとないわけです。これを僕は今年印税が入るか来年入るかは全然重要ではないのでじっくりやりましょうみたいな感じでしているのですが。今後どうなるかは面白い話であって増補版にそれを入れたら出版社が嫌がるかなと思いつつ。上手くぼやかして、出版契約書のやりとりの議論は全部ログをとっているのですけど日付つきで。ここで公開してない所ですけど。この話僕個人的には、まるっと公開したら今後技術書を書こうやプログラムを書こうと思っている人に参考になるのではないかと思うので是非公開したいなと思っています。1つ面白いポイントとしてサクッと決着した話はこの本に載っているすべての図は著作権が僕にあるので僕がこの図を使って英語版を勝手に出してもいいですよねと言うとサクッとOKが出ました。これは法的にはそうだからです。そうと誤解させるような例えば本に書いている図を著者が勝手に別の物に使ってはいけないと誤解させるような表現があれば謝罪しますという感じの。それは議論のかなり早い段階で終結したのですが。そのような事がありました。それも含めて色々と面白い話を…コラム案というのがあるのかな…加筆していきたいですね。今の段階で加筆していきたいと思っている事だけでなくて、今後5年間この本を出した後やっぱり情報をアウトプットした人の所には情報が集まってくると言いますから今後5年10年の間には僕の元には色々な物が集まってくるはずなので、それを見て新しく生まれた事は盛り込んでいけたら良いなと思います。なぜ手法に名前をつけないのかとか。手法は名前をつけると独り歩きし始めるからとか。そのような話です。マインドマップもKJ法もみんな独り歩きして出展の本を読まずに適当な説明をするネット記事がどっさりあるという話を。そんな感じの話を書いたりしたいですね。これで3番目のご質問には回答として大丈夫でしょうか?

男性:ありがとうございます。

西尾:4番目の方どうぞ。

女性:今質問する側が1分考えてもいいと言われたのですが、質問受けた時にちょっと待って1分考えさせてと思う時ないですか?

西尾:何か聞かれた時に僕の方が何を答えればいいかわからないから1分考えさせていう時は、あるのではないかと思いますが。確かにそれで1分考えさせてと本当は言うべきなのだろうけど、この場に立っているこの雰囲気というか高揚感とかでつい思った事を口走ってしまうってあると思うのです。

女性:そういう時はどうする?西尾さん的にはとりあえず口走ってみる?

西尾:多分それも先程のテレビ型の習慣でとらわれていて良くないのかもしれませが何か口走ってしまいますよね。思いついた事を喋りながら、あ~なんか今の質問とちょっと違う話だったかもしれませんけどと言って修正するか、もしくは質問の内容がここだったのにこっちの方向に走っていってしまって質問者がもういいです。みたいな感じになってしまう事も結構あるのではないかと思うのですが。正直ここに立って喋っている状態はランナーズハイのような脳内状態になっているので自分で客観的に自分が今どういう状態にあるかというのはあまり把握していないわけなのです。なので、刺激が入ってきたらその刺激に対してワーっと脳内で回転した結果がこちらからワーっと出ていっている状態なわけです。

女性:すごくわかりやすい。ありがとうございます。

西尾:はい(笑)というわけでこれで1回目のセッションとして1分間の質問はつきましたので。4人であっていますよね?では次のシンキングタイム1分間に入りたいと思います。皆さん準備はよろしいでしょうか?盛り上がったあとにシーンと1分間の静寂があるわけです。こんな事喋っていてはいけない。黙っていましょう。

西尾:はい。1分経ちました。では質問のある方1人目。以上ですか?2、3、4。ではまず1人目から順番にいきましょう。

男性:さきほど名前をつけてはいけないというキーワードが出たと思うのですがパターン。例えばスクラップボックス行き系のキーワードで〓0:26:00〓という事は結構重要かなと思っていてうまい名前をつけられればそれだけで伝わるし自分の中の知識の整理もできると思っているのですが、それと先程の手法に名前をつけてはいけないというのは方向性が逆なのかなと。

西尾:なるほど。なるほど。

男性:矛盾する部分があるのかなと思ったのですが。それについて考え〓00:26:34〓

西尾:なるほど。それに関して言うと僕の伝え方がちょっとミスっていて、今1分くらい考えていいですか?(笑)僕のこの本の中でなんだかの手法を1個選んでそれに〇〇法のような名前をつけて出すと何が起こるかというと、その本を読まないで〇〇法という解説だけ世の中に流れると思ったのです。実際に例えばブレインストーミングと言った時に想像力を生かすというアレックス・オズボーンが書いた本の中で紹介されているのですが読みましたか?と言うと、それを読まないでブレインストーミングとはこういう物なのだという記事だけがネット上にあってそれを読んでそういう物なのかと思って使ってしまう人がどっさりいるという状況になるわけです。なので名前をつけないというより正確に言うと1つの手法、これが完成形の手法ですよという物を作ってそれに名前をつけてリリースするのではなくエンジニアの知的生産術という名前でこの本が言及されている状態にして、その本の内容について何か議論するとなった時にエンジニアの知的生産術という本のタイトルで言及される形にしたかったのです。例えばアレックス・オズボーンの想像力を生かすという想像力を生かす本のタイトルの方を忘れて、忘れてしまっているからこそそれを読もうと皆思わずブレインストーミングという名前だけが流通すると。例えば川喜多二郎の発想法という本の…発想法は割と有名なので名前も出ているかもしれないですけれどKJ法というのがそこで取り上げられていてというのを読まないで手法だけが流通してしまうという事が起こらないように、どうしてほしいかというと僕が起こって欲しかった事というのは教科書なのです。エンジニアの知的生産術は教科書であってこのような現象に関してはこういう手法がある…あれは手法のカタログなのです。1つの手法をこれが良い方法ですよと教える本ではなく、世の中にはこういう物があってこういう理由で生まれてきた。だからあなたが状況に合わせてあなたが作っていかなければいけないという事を強く主張したい本で、それって特定の手法を教えるわけではないし特定の手法に名前をつけてこれが良い手法ですよと広めたいわけではなく。その手法自体を作っていく。きちんと過去の色々な手法があるというのを踏まえた上ででもそれを墨守するのではなく、〓00:28:45〓でいう所の過去の方法をただ繰り返せばいいわけでもなく、過去の方法の事を無視していいわけでもなくそれを積み重ねて知識を改善していく。自分の状況に合わせて試してみて実際の自分の状況には上手くワークするかしないかフィードバックを回してサイクルを回していって学んでいく手法。メタ手法なのです。特定の手法を教えたいわけではなくて、どう立ち向かっていくか。知的生産の手法を皆さんが自分の状況に合わせて作らないといけないのだよという概念を表現した。その概念の塊に対するハンドルとしての名前というのはエンジニアの知的生産術だったわけです。これが僕の特定の手法に名前をつけない理由はそれで。実際に名前をどうつけているかというと、あの本に対して名前をつけるというやり方をしたというそういう事なのです。良いでしょうか?何か他に重ねて質問があれば言っていただいて良いのですが。

男性:改めて目次を見直してみると特に短い言葉でキーワード、タイトル的な手法名みたいな形ににせずに各目次のタイトルが何々をして何々をするという形になっているのが多いなと今聞いて改めて気づいたのですが。なかなかこの本のという狙った通りになっていると思うのですけど逆にこの辺りのここがっていう事を言いづらいのかなとちょっと…

西尾:この辺りのここというのは具体的にどういう事ですか?

男性:これを読んでいる人達同士でこの本の何々を使う、ここに適用するとこうなるよね。みたいな会話をする時にキーワードとしてはキーワード制が…

西尾:なるほど。パターンランゲージとしてしての使い道がすごく限られる…

男性:パターンランゲージとしての会話の組み立ての中に使うキーワードとして少し弱いのかなと。

西尾:確かに、それは弱いですね。それはエンジニアの知的生産術の何ページにあってみたいな感じの…何とかというコラムにあったという感じになるので会話ではやりづらいですね。覚えやすい言葉になっていない。確かエンジニアの知的生産術の中で名前をつける事に関するコラムがありまして。例えばこれです。思考の道具を手にいれる。136ページですけれども。この本の中で他の人が作った概念に対するハンドルとしての言葉は、たなみやシントピックリーディングや〓00:31:53〓など短いキーワードが割り当たっている事が多いのですが自分が提唱している概念でどのような言葉をあてているかなと確認してみると【見つける読み方と組み立てる読み方】とか【全体像の把握と定義の理解】というような感じの開かれた、かみ砕かれた形の1つのキーワードになっていない物がとても多いなと僕自身もこのところ書いていて思ったのです。なのでパターンに名前がついていないのです。短いコンパクトな名前をつけていないのです。それはつくと言及しやすくなってとも良い事だなと思う反面…思うだけです(笑)次ついていたら良いですね。理由は1つあってここにも理由として書いてあるかもしれないですが…全くそこも今指摘された通りの事が書いています。そういう言葉で読むのか。言葉が割り当てらている事によってそれを言語化する事がしやすくなると色々書いてあるのですけれども、なぜ日本語で特有のキーワード作らなかったかというと、これ英訳をしたいと思っていて英語だけではなく各国語に翻訳したというのは実は野望でして。例えばたなみみたいな日本語ならばかっこよい、棚を見るからたなみなのだ。なるほどみたいな。良いのですが逆にシントピックリーディングと言った時に英語圏の人からすると意味がわかりやすいのです。なぜかというとこの本自体にも解説書いてあるのですがシンは共にという意味でトピックはトピックなので1つのトピックについて複数の本を読む事がシントピックリーディングなのですけれども日本語圏の人にとってこれ分かりやすいかというとそうではないのです。なのでそれも考えて各国語圏で分かりやすい為にはどうするかというと言葉はかみ砕いて開いていかないといけないかなというふうに…修辞的残像という言葉とか僕すごく好きなのですが残像ってここに改行の先に像という字があるのですが。修辞的残像って日本語で言われてもわからないという所があって名前つけるのは悩ましいなという所がありました。そういう所で今後のチャレンジですね。増補版では名前ついていると良いかもしれないです。この手法にこういうキーワードをあてましたと増補版で作るといいかもしれません(笑)何か良い名前を思いついたら是非教えて下さい。加筆していくので。脚注を足すことは出来ると思うので。これが何件目の質問でしたっけ?2件目でしたっけ?このセッションでの質問の次は2番目の人を聞けば良いですかね?では2番目の方どうぞ。

男性:さきほど相互方向で恐怖というフレーズがあったと思うのですが発表者の方は準備をしているので恐怖を克服すれば良いと思うのですが一方で受講者側も恐怖が出てくるかなと思った中でそこを軽減したり出やすくしたり方法とかありますか?

西尾:そうですね。恐怖ですね。僕も質問があまり得意ではないので恐怖あると思うのですが軽減する方法として早い者勝ちで手を挙げてあたって会話がスタートしてしまうと早く言わないといけない。質問したいなと思って手を挙げるけどあまりまとまっていない状態で手を挙げてしまってしどろもどろを経験すると、あまりうまくいかなかったという気持ちになって次から質問するのが怖くなると思います。でも1分間が長いか短いかはさて置き一旦静かに1人で考える時間があった上で質問出来るとなると質問の成功体験というのが積みやすくなってそうすると次以降も質問しやすくなって良いサイクルが回っていくのではないかと思うのです。そこの所が今回試してみたチャレンジの1つという感じです。

男性:要は次につないでいく〓00:35:48〓

西尾:そうですね。やはり成功体験が自信の源になると思うので。

男性:わかりました。ありがとうございます。

西尾:3番目の方は。

男性:今日のプレゼンテーション結構実験をするというような表現が多いと思うのですが普段から意識的に実験をしようというように考えているのか、あと実験をした場合にそれをどういう形でまとめていってらっしゃるのかについて…

西尾:その実験というのは勉強会での発表での場とか…日常的に?

男性:日常的にそういう事を意識してやっていらっしゃるのか。

西尾:日常的に結構色々な物が実験ですね。例えば発表資料を付箋を使って作ってみようも実験でそれはうまくいったので、ずっと続けているのですけれども。最近実験した事はiPadで手書きしてプレゼンしてみよう実験してみたら意外とうまくいったので今回もうまくやっているわけですけども。BTSTUDYでApple TVを持ってきて繋ぐというのは今回初めてしました。あと、線が繋がっていない所でこのように歩き回る事が出来るというのも折角出来るようにしたのに使うのを忘れていたのですけど。発表者が歩きながら来て何か質問などした方良いのではないですかみたいに。後ろの方の人に話かけたりそういう事を出来るというこれが実験なわけです。これがうけのるかうけないのか、やってみないと分からないことで。何か変な事しているシーンみたいな感じになる可能性がある一方で何か面白い事をしているなと思っている方が顔を見ているとそんな感じの雰囲気があるので少し安心しているという実験的にはこれは割とうけるという事が分かったと。あとでこれをどうような構成しているかを自分のスクラップボックスに書いておいて誰かが真似してくれれば面白いなという事を考えています。なので、実験はすごく意識しています。エンジニアの知的生産術にも情報収集して自分の中で抽象化した後実際にしてみてその結果を見て新しく学ぶ、次のサイクルが回るという話をしていて。それはまさに実験検証のサイクルなのです。仮説をたてる、実験する、仮説が正しかったかを検証する、というサイクルを回す事によって仮説がより良いものに変わっていく。そのようなサイクルが重要ですとこの本にも書いている感じのすごく重視しているポイントの1つです。

男性:はい。ありがとうございます。

西尾:今回のセッションは3人でしたか?4人目。すみません。

男性:西尾さんはスクラップボックスを活用されているかと思うのですが、知的生産術のところでスクラップボックスを使う良さがあれば知りたいです。どういうのに役立つとか…

西尾:そうですね。このエンジニアの知的生産術の原稿を書いていたのは2017年で実はそのころ僕はまだスクラップボックスを使い始めたばかりでスクラップボックスの良さを実感する前だったのです。なので、一切スクラップボックスの事をこの本に書いていないのですがもし今執筆していたらスクラップボックスの事をいっぱい書いていたと思うのです。そういう意味でこれ少し勿体なかったなというところです。スクラップボックスの端的に言って一番良い所は何かというと過去の自分が書いた事がポッとサジェストされてきて過去の自分もこんな事を書いていたのだと思う。スクラップボックス。検索すれば自分の過去の文章からヒットするというのはEvernoteでも何でも世の中の電子的なツールにメモをとっていれば何でも適用する話です。スクラップボックスのサジェストが便利という話か。例えばなんだったけな?プロ理論…プロ理論と書けばプロスペクト理論、フロー理論、オプション価格理論どれですか?みたいな感じのこといって。この曖昧検索めちゃくちゃ強いのです。なので、あれ何だっけな?というのがすぐに出てくる。これが出てくるというのはどういう事かというと、例えばもう少し開いた形で。良い例が出てこないですけど、書いてある文章がポコッと予期しない物がサジェストされてくるのです。曖昧検索なので全くピッタリ一致するキーワードでなくても出てくるのです。スクラップボックスのどれかな。パッとすぐ出てこないですけれど。単語だけでなくて少し長めのフレーズとかも入れるのです。ではここで1個ページを作りましょう。スクラップボックスタグがついてしまったけど、まぁいいや。例えば実際に編集をしている所を見せるのが一番手っ取り早いのですが多分〓00:40:35〓見づらいと思いますが頑張って拡大してなんとかしますが。何々って不可能という話で不可能と入れた時に不可能が関係している事がズラリと出てくるのです。この時に例えば困難とは不可能であるけど工夫の余地があるという事であるという誰かの名言が多分どこかのページに書いてあると思うのでけれども。そうするとこのページの恐らく不可能の所にリンクを貼っていると思うのです。これをページを開きます。そうするとこれ自分が書いていた文章だった(笑)困難とは不可能ではなくて工夫の余地がある事だというタイトルを書いて何か書いてあった所の不可能というキーワードがリンクになっているとか。この文章に入っている曖昧検索とかで引っかかった結果がそこでサジェストされてくるのです。なので別の文章で不可能という事をこの不可能を鍵括弧で囲ったらそれがサジェストされてきて何か面白そうなタイトルのページがあるじゃないか。タイトルを面白そうにしておく事は重要で、そうするとサジェストに面白そうな話が出てくるのです。何だろうこれ?と開いたらこれは関係ある。これは3年前に自分が書いていたではないかみたいな感じの事が起きて、そうすると3年前の自分は今の自分と少し違うのです。似たような事を言っていても少し違う視点から物を見ているのでそれを併せて考えた時に過去の自分はこう言っているけど今の自分はこう思っていて、ここの所がこうだと思うのだと言ってそこで発展するのです。これがすごく知的生産をドライブするエンジンとして非常に重要なのでこれをどうすればもっと活躍していけるかで、ここにエンジニアの知的生産術のコンテンツ全部流し込みたいのだけど出版社が文句を言っている状態を今何とかしようとしている状態なわけです。だって絶対ここに節ごとや段落ごとに刻んで入れたら面白い。面白いのはここに作ったのが実際にあるのですが、そうするとこうなるわけです。各ページの画像がここに表示されるので。例えばこの本の中でなんちゃらという話書いたはずなのだけどなと検索しようと思えばここで検索すればヒットするわけです。これはまだスクラップボックスに入れたばかりでリンクは貼っていないのですが例えばこの主観的というこれリンクにします。例えば創造は主観的というこれはすごく重要なキーワードなのでここに置きます。今この創造は主観的という所をリンクしたのですが、そうするとこれ青リンクに今変わったのです。青リンクになったという事はこのキーワードはどこか別のページに繋がりがあるはずだと。これは何に繋がっているのかと主観的のページを押したら主観的とついているページがここに全部出るので。こことここで主観的の話をしていると見比べる事が出来る。これ主観的というただのキーワードを機械的に全部するのではなくて自分が文章を読んでいてこれ面白いなと思った物をタグにしておくと後からその事をすっかり忘れた上で別の文章を書いている時にこれ重要なキーワードだと思ってリンクにした瞬間に赤くならなくて青くなった。あれ、どこかに繋がったぞ。ワークポートタルがどこかに繋がった!みたいな感じになるのです。どこに繋がっているかわからないけど、どこかに繋がっているっぽいワークポータルがあれば飛び込んでみるじゃないですか。これ面白いのです。そうすると予想もしなかった3年前に自分が書いた文章とかがポッと出てきてここに繋がっているのか、なるほど!となってこれがすごく面白いのです。スクラップボックスの宣伝をいっぱいしましたけど僕スクラップボックスからバックマージンもらっていないので是非皆さん個人で使うのは無料なので無料でどんどん使ってあげて下さい。という様な感じで良いでしょうか?

男性:はい。ありがとうございます。

西尾:ではこれで今回のセッションの質問がつきて残り15分くらいあるのでもう1回シンキングタイムがスタートするわけです。3回目となるとだいぶ手馴れてきました。では早速スタートします。スタート。では1人目。はい1分経ちました。他に質問のある方いらっしゃいますか?2人目。ではまず1人目から。

男性:はい。さきほど西尾さんから未踏という言葉が出てきて思い出して伺いたいのですけど、この間トレジャーデータの古橋さんにお話を伺って古橋さんがプログラミングを始めてエンジニアになったキッカケみたいな事があって、その中で重要だったのがスーパーサイエンスハイスクールと未踏だったという。

西尾:なるほど。

男性:そこに〓00:46:29〓が質問されて、では古橋さんの様な人を増やすにはどうすればいいでしょうと言うと古橋さんは「税金」とお答えになったのですが。

西尾:税金(笑)税金か。

男性:スーパーサイエンスハイスクールと未踏であると。きちんと税金によってバックアップされたシステムによって自分は先生として成長できたというお話だったのです。でもそれって出来る子をさらに出来るための施策であると。では〓00:46:53〓さんも最近お子さんが産まれたからこのような質問されたと思うのですが出来る子を出来るようにするのはそういう仕組みがあるけれど、そうではなくて今出来るかどうか分からない子たちを例えばソフトウェア開発であるとかプログラミング的な思考などに興味を持たせたり能力を伸ばしたりするにはどうすればいいですか?と言うと古橋さんは、わからないとお答えになったのです。

西尾:なるほど。

男性:ですので西尾さんがそういう所でお答えというかご意見があれば伺いたいなと思いました。

西尾:なるほど。まずプログラミング的思考でいいのかという所でいいのかという所が問題点で、

男性:はい。

西尾:今この時点でプログラミング思考の話がすごく盛り上がっているわけですけども今産まれた子供が大人になるのが20年後なわけです。20年後の世界で一体何が重要な力なのかというのはこれは分野を絞る事できなと思ってプログラミングなのかコミュニケーション能力なのかプロジェクトマネージメント能力なのか色々な世の中に能力がある中でその中で僕が一番大事だと思うのは試行錯誤して改善していく力だと思っていてそれがエンジニアの知的生産術ですごくアピールしたかったポイントです。

男性:そうか。そうするとプログラミングに限った話ではなくて?

西尾:限った話ではなくて。ただやっぱり自分がプログラミングを学んでいくプロセスで実際にプログラムを書いてみて走らせてうまくいかなかった何故だろうと言ってここを直して、そしたらうまくいったというこのサイクルを回してプログラミングを学んできたと僕は思うのです。この学び方のコツ、試行錯誤を繰り返して実験を繰り返して改善していくというのはプログラミングに限らず広い範囲で有効な学び方のコツだと思っていてこれが一番重要なポイントではないかと僕は思っています。

男性:では子供や若い子を教えるならこの知的生産術を読ますか噛み砕いて教えるという事ですね。

西尾:あ~読ませるのは難しいと思うので、例えばプログラミングって実際にこの学び方を体験するチャンスなわけです。試行錯誤を繰り返して学んでいく事が出来るものとそうではないものと世の中にはあるわけですけども、それの試行錯誤をやる様に背中を押す。例えば絵を書こうと思っているけど最初から上手い綺麗な絵が書けないと嫌だから書かないという子供がいたら、失敗してもいいからまず書いてみよう。と、書いてみてそれが上手く出来なかったとしても良い事であって次どう書こうかと改善していけばいいのだよって教える。これって同じコンセプトなのです。子供が興味を持つ事をやればいいのです。プログラミングに限らず。ただそこで改善のサイクルを回していくという所は共通して有益なエッセンスではないかなと思っています。

男性:ありがとうございます。

西尾:ありがとうございます。というわけで一応すっかり忘れていたので後ろに行ってみるというのをもう1度やってみたのですけど(笑)2人目の質問はどなたでした?はい。ではそこに行きましょう。

男性:はい。今試行錯誤という話が出ましたがインプットとアウトプットのバランスが知りたい。色々な人を読むと知識ばかり仕入れていないで行動しろよ!みたいに書いている人もいるし、やはり知的生産だから知識みたいなものが必要だしみたいな所で西尾さんはその辺りのバランスをどのように考えているのかなと。

西尾:なるほどですね。それはこれのサイクルの最初の方かな…バランスというと決まった量がありそうな気持ちになるじゃないですか。でも特定の良いサイクルが存在するのではなく、何かを学ぼうと思った時にまずが情報収集。これってインプットなわけです。情報収集したら情報収集してまた情報収集しようとなるのではなくて情報収集したらなるべく早くそれを実際にやってみて実行してみてその結果、情報収集した結果自分の中にたまっているこの作られた概念が正しいのかどうか検証してそれを踏まえた上で次の情報収集だと。このサイクルを早く回す事が大事。例えばこの情報収集に3年間かけますなどはしてはいけないと思うのです僕は。そうではなくて例えば今から機械学習勉強しますと言ったら、どうすればこのサイクルを早く回せるか…1日のうちに情報収集して試してみて情報収取して試してみてというのをなるべく多くたくさんの回数回す方がより良いだろうと僕は思っています。なのでバランスというのは比率ではなくて仮に回数だとするならば1:1ですね。インプット即アウトプット、インプット即アウトプット、インプット即アウトプットというのをやっていく。インプットばかりしてはいけないし、アウトプットばかりしてもいけないというふうに思っています。

男性:ありがとうございます。

西尾:では、もう1セッションしても大丈夫でしょうか?1分間タイマーをスタートします。 はい1人目。2人目。3人目。まだ質問していない人いいですか?4人目。5人目。6人目。ではタイムアウトです。では1人目から順番に短めに答えていきましょう。

男性:まず実験というか1回質問を考えてそれに対して西尾さんが回答するというセッションなのですが最初にお題って出されなかったじゃないですか。

西尾:お題?

男性:お題。こういうテーマで質問考えてくださいとかを一切なさらずにまず始めたじゃないですか。それはなぜですか?

西尾:お題を決めようという発想はなかったですが、皆さんに質問を考えてみるテストを課しているわけではなくて僕は単純に僕の講演自体か若しくは本を事前に読んできているのであればその本の内容かどちらでも良かったのですが何らかの質問をするという機会をなるべく多くしたかったというのが目的です。なので、お題は全部の集合の中から一部分に絞ってしまう事になってしまうじゃないですか、そうすると質問する難易度がもっと上がりますし全般に関して質問するのに比べて。なので単純に絞ろうという発想がなかったです。

男性:なるほど。私的に何を質問したらいいかという所の範囲を逆に狭めていただいた方が質問を出しやすかったのかなと僕は感じたのですけれども、そうではなくて自由な発想で質問する事で別の知的生産という所に結びつけられたいいなというような感じですか?

西尾:自由な発想が大事だと思います。自分が何を疑問と思っているかというのを言語化するというのはお題が与えられてそのお題に対して何かするというのは反応的ではないですか。誰かが命じたテストに対して答えますというのではなく主体的に自分はこの情報が知りたいというのを言語化していくというのが大事だと思うのでお題はやはり絞らない方が良いのかなと思います。例えそのお題が絞られた方が優しいとしてもお題は絞らないでそれにチャレンジをするという訓練をした方が良いのではないかと思います。

男性:はい。ありがとうございます。

西尾:2人目の方はどなたでしたか?はい。2人目。

男性:今日メインでスクラップボックスをメインに使っていらっしゃるという話が多かったのですがスクラップボックス以外のツールは比較検討などされましたか?

西尾:スクラップボックスの前はEvernoteを使っていたのですがあまり活用されていなかったです。Evernoteの前は一人お手軽〓00:54:58〓モードという〓00:54:59 MAX?〓の拡張のウィキのやつを使っていたのですけれども、そちらの方が大差なかったというかEvernoteにうつって良かったと思った事は特になかったみたいな感じです。比較検討しているツールとして言うならば、情報を蓄える電子的なツールとしてでもなく枠を外して考えた時にはKJ法がとても僕はしっくりきていて付箋に書いて講演するという。今手元になく、そこにあるのですが今回の発表も事前に書いた付箋があってそれをまとめてこれにしているという感じです。こんな感じでよろしいでしょうか?

男性:ありがとうございます。

西尾:では3番目の方。はいどうぞ。

男性:さきほど3年前とかリンク貼っていた話があったと思うのですが多分自分の中の予想外の体験を目的に作る感じにしているのかと思ったのですが、その他にどんな事をされたりするか聞いてみたいと思いまして。

西尾:スクラップボックスはリンクが共通のキーワードのサジェストがされてきて繋がる感じですが、例えばFacebookに投稿しているのが実は良かったなと今思っているのは過去のこの日といって2014年の今日に投稿した記事などが通知されてくるのです。それを見ると3年前にこんな事を考えていたんだみたいな事があって割と面白いので僕は最近よく見ています。やはりFacebookに…時事ニュースに対して盛り上がったとかではなく考えた結果を投稿していたから3年経った今見ても有益な事を書いていたりする事があるからだと思うのです。逆にいうと3年前の記事振り返ってみると…例えばもしブログを書かれているとしたら3年前に今自分が書いた記事を見てみるとした時に、その時に書いた事は3年後陳腐化しているのかしていないのか判断ができるわけです。これ書いた記事が軒並み陳腐化していたとするならば、何をしていたのだろうという気持ちになるわけで。これは陳腐化していないこれは陳腐化しているというのがあると、より陳腐化しにくい方に舵をきっていこうかなというサイクルが回るわけです。実際ブログ僕も何年か忘れましたが長い事書いて、それがTwitterなどでたまにリンク上がってくるのをエゴサーチしているから目にするわけですけれど、そうするとこの前7年前の記事が上がってきて見てみたら良い事が書いてあって(笑)自分のブログなのですが(笑)7年前の自分良い事書いているじゃんみたいな感じの。時間が経っても価値を保ち続けるような事の方に徐々に軸足をうつしていかないといけないのかなと思っています。

男性:ありがとうございます。

西尾:はい。次4番目の方。

男性:今回実験を実際にされてみて最初思っていたのと今もう終わり頃になってきて何を一番感じますか?

西尾:そうですね。最初の1回の1分間の沈黙はすごく怖かったですけど4回目になってくると怖くなくなってきたというのと、なんだかんだ言って1分間僕本当5分間にしようかと思っていたのですが1分間にして誰も手を挙げなかったら1分延長するつもりでいたのですが延長しましょうには一度もならなかったですよね。なので、きちんと時間が与えられて1分間のシンキングタイムが終わったら次回答の時間がスタートしますというコンセプトを伝えおいたらきちんと回るんだというのが今回分かったのが1つの安心ポイント。実際1分シンキングタイムがあって質問だれもいない、ではもう1分延長しますというのを5回とか10回すると僕の心がボロボロになっていくのです。目の前でボロボロになってくるのを心配した運営者の人が手を挙げるようになると思うのですが。そこの所が意外と上手くいったというのが1つの今回の僕の学びでした。もう1つのポイントは字が小さいなという。これが失敗だったなと思っていて。タイマーのこの字が見えないですね、この辺に来てみると。これ今回大失敗だったと思っているポイントで。次回同じ事をするのであれば字が大きく見えるアプリを探してこようかと思っています。という感じですね。

男性:ありがとうございます。

西尾:もう1件くらいあったような気がするのですが5人目の方。

男性:実験を意識されていたという話だったと思うのですが実験するための最初に出てくるのが仮説だと思って、その仮説を立てるコツみたいなのがあれば教えていただきたい。

西尾:仮説を立てるコツ。仮説を立てなければといってすごくキッチリした物を立てようと思っていると、どのように立てたら良いのだろうとなると思うのですが。例えばこんな事をすれば面白いのはない?と、これ仮説なのです。実際やってみて面白かったや意外と盛り上がらなかったなど。例えば前に立っているのではなく、この辺り来てみたらもう少し会話しやすかったりするのではないかと思ったらそれを試してみる。これを堅苦しい言葉で呼ぶと仮説と呼ばれているのですが、それは文章で仮説としてこうであるというレポートを書くのではなく、もっと気軽に作って。こうかな?と思った瞬間それが仮説なのです。それを試してみようとなるサイクルを素早く回していくというのをしていくと仮説を思いつく能力も数をこなせばこなす程ポンポン出やすくなると思うので、それで思いついた事を試して試してを繰り返していくとどんどん出やすくなる。あとそれをする事によってすごく効果がある、すごくメリットがある、学びがあるという事が実感されてくるのでこれもっとしなければという気持ちが高まってくると思います。最初の仮説をしっかりした物を作らなければいけないという気持ちをまず捨てる事が大事かと思います。これで質問全部で時間もちょうど尽きた感じという理解でよろしいでしょうか?皆さんご清聴ありがとうございました。

司会:2~3分休憩して、もう質問ないですよね?

会場:(笑)

司会:2~3分休憩して2部で。

西尾:終わったあとに質問思いついたらTwitterでもFacebookでももしくはメールでも何らかの方法で連絡いただければ見るかもです。