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マーク・アンドリーセン(Marc Andreessen)ってどんな人?

Netscape と投資会社 a16z の共同創業者です。技術と市場による成長こそ進歩だと説く『技術楽観主義マニフェスト』(2023 年)を書きました。書籍『Plurality』は 2-0 章の冒頭にその一節を掲げています。

「技術は仕事を奪い、格差を広げる」という話と、「技術こそが世界を良くする」という話。どちらも耳にしたことがあるでしょう。後者の立場をはっきり打ち出してきた一人が、この投資家です。書籍『Plurality』は、技術と民主主義の関係を論じる章の冒頭で、アンドリーセンの言葉を引いています。

ひとことで言うと

マーク・アンドリーセン(Marc Andreessen)は、インターネットの初期に Netscape という会社を共同で創業し、のちにベンチャーキャピタル(新しい会社に投資する会社)の Andreessen Horowitz(通称 a16z)を共同で創業した人です[1]。

2023 年には『The Techno-Optimist Manifesto(技術楽観主義マニフェスト)』を書き、成長こそが進歩であり、技術と自由市場がその源だと説きました[2]。

Plurality とのかかわり

2-0 章の冒頭の言葉として。 本の 2-0 章「IT と民主主義 拡大する溝」は、章の冒頭に、ショシャナ・ズボフの言葉に続けてマニフェストの一節を掲げています。日本語版の訳では次のとおりです[3]。

「我々はウソを聞かされている(中略)ITが仕事を奪い、賃金を引き下げ、格差を拡大し、健康を脅かし、環境を破壊し、社会を劣化させ、子供たちをダメにして、人間性を阻害し、未来を脅かし、あらゆるものを台無しにする寸前だといつも言われている」─マーク・アンドリーセン、『技術楽観主義マニフェスト』、2023

繁体字版では別の言葉。 繁体字中国語版の同じ章は、エピグラフ(章の頭に置く引用)が違います。2021 年のノア・スミス(Noah Smith)によるインタビューから、西洋の技術の旗手であるアメリカが自らを責めるようになり、二大政党がアメリカの技術産業を傷つけるのに忙しい、というアンドリーセンの言葉を引いています[4][5]。

結論の章の問いの中で。 7-1 章は「ピーター・ティール、マーク・アンドリーセン、バラジ・スリニバサンのようなリバタリアンが望むように、個人を解放し、制約や責任から逃れたアトム的主体にすべきだろうか」と問います(日本語版の訳)[6]。本はこの問いを、技術者に未来を任せる道とともに、自分たちが選ばない道として置いています。→ 三つの道・一元論的アトム主義

ワイルによる位置づけ。 グレン・ワイル は 2022 年のエッセイで、21 世紀の政治思想の一つ「企業リバタリアニズム」の代表人物として、ピーター・ティール や バラジ・スリニバサン と並べてアンドリーセンを挙げました[7]。

主な考え

ここからは、アンドリーセン本人の文章にもとづいて紹介します。

ソフトウェアが世界を食べている(2011 年)。 The Wall Street Journal への寄稿で、アンドリーセンは、映画から農業、国防まで、ますます多くの大企業や産業がソフトウェアで動き、オンラインのサービスとして提供されるようになっている、と書きました。シリコンバレー型の新しい会社が、既存の業界の構造を覆しつつある、という見立てです[1]。

いまこそ作るとき(2020 年)。 新型コロナの流行の初期に書いた「It's Time to Build」で、アンドリーセンは、西洋のどの制度も感染症に備えられなかったと指摘しました。検査も、人工呼吸器も、マスクさえ足りない。それは想像力の失敗であると同時に、「作る」ことができないという行動の失敗だ、と論じます。原因として、望む気持ち・惰性・既存の業界に規制が取り込まれていること(規制のとりこ)を挙げ、住宅や製造などの分野でも作ることを呼びかけました。批判する人には、攻撃するより自分が作るべきだと思うものを構想してほしい、と求めています[8]。

AI は世界を救う(2023 年)。 「Why AI Will Save the World」で、アンドリーセンは、AI は私たちが大切にするあらゆるものを良くする方法になりうる、と書きました。AI の開発と普及は恐れるべきリスクではなく、自分たち、子どもたち、未来に対する道徳的な義務だ、と主張しています[9]。→ AI の未来をめぐる論争

技術楽観主義マニフェスト(2023 年)。 マニフェストは「私たちは信じる」という形で主張を並べます。成長は進歩であり、良いものはすべて成長から生まれる。成長しないことは停滞で、ゼロサムの考えや内輪もめ、衰えを招く。技術は世界を動かすてこで、より少ないものでより多くを作る方法だ。自然が生んだものでも技術が生んだものでも、さらなる技術で解けない物質的な問題はない。自由市場は技術の経済を組み立てる最も効果的な方法だ。そして、自分たちの敵は停滞だ、と宣言しています[2]。

Little Tech の政策課題(2024 年)。 アンドリーセンと a16z は、大手テック企業に対するスタートアップを「Little Tech」と呼びます。2024 年にベン・ホロウィッツ(Ben Horowitz)と連名で書いた文章では、悪い政府の政策がいまや Little Tech にとって最大の脅威だとし、Little Tech に直接かかわる問題に限って、党派を問わず政治家を支持したり反対したりすると表明しました。規制当局がブロックチェーンや AI のような新しい産業を妨げている、とも書いています[10]。

どこが議論になっているか

もっと知りたい人へ

  1. Marc Andreessen「The Techno-Optimist Manifesto」(英語・マニフェスト、2023)— https://a16z.com/the-techno-optimist-manifesto/
  2. 『Plurality』2-0「IT と民主主義 拡大する溝」(日本語・本)— https://www.plurality.net/v/chapters/2-0/jpn/
  3. Marc Andreessen「Why AI Will Save the World」(英語・エッセイ、2023)— https://a16z.com/ai-will-save-the-world/
  4. Marc Andreessen「It's Time to Build」(英語・エッセイ、2020)— https://a16z.com/its-time-to-build/
  5. Vitalik Buterin「My techno-optimism」(英語・ブログ、2023)— https://vitalik.eth.limo/general/2023/11/27/techno_optimism.html

出典

  1. Marc Andreessen「Why Software Is Eating the World」(2011-08-20)— https://a16z.com/why-software-is-eating-the-world/
  2. Marc Andreessen「The Techno-Optimist Manifesto」(2023-10-16)— https://a16z.com/the-techno-optimist-manifesto/
  3. 『Plurality』2-0「Information Technology and Democracy: A Widening Gulf」(日本語版「IT と民主主義 拡大する溝」)— https://www.plurality.net/v/chapters/2-0/eng/ [CC0]
  4. 『Plurality』繁体字中国語版 2-0「資訊技術與民主:日益擴大的鴻溝」— https://www.plurality.net/v/chapters/2-0/zh-tw/ [CC0]
  5. Noah Smith「Interview: Marc Andreessen, VC and tech pioneer」(Noahpinion、2021-06-22)— https://www.noahpinion.blog/p/interview-marc-andreessen-vc-and
  6. 『Plurality』7-1「Conclusion」(日本語版「結論」)— https://www.plurality.net/v/chapters/7-1/eng/ [CC0]
  7. E. Glen Weyl「Political Ideologies for the 21st Century」(2022-02-17)— https://www.radicalxchange.org/updates/blog/political-ideologies-for-the-21st-century/
  8. Marc Andreessen「It's Time to Build」(2020-04-18)— https://a16z.com/its-time-to-build/
  9. Marc Andreessen「Why AI Will Save the World」(2023-06-06)— https://a16z.com/ai-will-save-the-world/
  10. Marc Andreessen, Ben Horowitz「The Little Tech Agenda」(2024-07-05)— https://pmarca.substack.com/p/the-little-tech-agenda
  11. Vitalik Buterin「My techno-optimism」(2023-11-27)— https://vitalik.eth.limo/general/2023/11/27/techno_optimism.html
  12. Yuval Noah Harari「'Never summon a power you can't control'」(The Guardian、『NEXUS』の抜粋、2024-08-24)— https://www.theguardian.com/technology/article/2024/aug/24/yuval-noah-harari-ai-book-extract-nexus

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