まず「なんとなく」で集める。その後で「なぜ自分はこれを集めたのか」と自問する。そうすると大概の場合は理由の説明をすんなりと思いつく。その説明を短く圧縮したものを書くと良い。

この話は文脈としてはKJ法表札作りに関するものだが、KJ法に限らず広い範囲の知的生産術で有用なテクニックだと思う。

  • KJ法でグループ編成をする時に、なんとなく関係ありそうな紙片を集めてから、その後でなぜそれを集めたか考えて表札を作る
  • 例えばアウトライナーで箇条書きする時に、なんとなく関係ありそうな行を近くに集めてから、その後でなぜその行を集めたか考えて親要素を作る。
  • 例えばScrapbox日記ページなどに思いついたことを書き連ねてから、なんとなく関係ありそうな内容を集めて、その後でタイトルをつけてページに切り出す。

発想法 p.74-75

このようにして数多くの小チームがだんだん編成されてきたならば、かなり集まったあたりで、そのなかの一チームの紙片群を手にとってよくみる。たとえばここに五枚集まった紙片チームを手にとってみるとしよう。この五枚が一ヵ所に集められたのは、もともとその五枚の間になんとなく親近性が「感じられた」からであった。 しかし今や、もう一度手にとって検討するときには、こんどは「なんとなく親近感があった」というのではなく、はっきりと五枚の内容をよく読む のである。熟読する。 そして、「なぜ自分はここに五枚の紙片を集めたのか」ということを理性的に反問する。 このような場合に、たまには、一ヵ所に集めていた間違いに気づくことがある。ほんとうはあまり関係がないのに、間違ってその中の一枚をこのチームに加えていたのだったということが発見されることもある。けれども、たいがいは「なぜこの五枚をそこに集めなければならないか」という理由を、その五枚の紙片の内容がわれわれに語りかけてくるのである。 暗示だといってもよい。そこで、「この五枚の内容を、一行見出しに圧縮して表現するとすれば、どういうことになるか」ということを自分に問うてみるのである。このようにして、五枚の内容を包みつつ、圧縮化して表現しうる一行見出しを発見すれば、それを新しく別のメモ用紙一枚に書いて、その五枚一組のチームの紙片の上にのせるのである。いうなれば、これは表札みたいなものである。五枚一組のチームの表札である。この表札を、今まで黒鉛筆で記してきたメモ用紙の記録と区別しやすくするために、表札は違う色の鉛筆、たとえば青鉛筆で書く。 そして紙片五枚プラス表札をクリップで仮り止めする。

関連