論文や特許をKPIにしてしまうと良くないという話は有名だが、それに加えて

  • 研究部門のマネジメントが難しいって問題、論文や特許をKPIにしてしまう落とし穴を避けたとしてもまだ難しさがあることに気づいた

  • うまいとこボードゲームにできないだろうか…→ 研究部門マネジメントゲーム案

    • ゲーム内リソースとしては、お金、時間、個人の知識、個人の知名度、会社の知名度、などがある。
  • 少なくとも、時間リソースが限定的な場合、短期的に見て個人の最適戦略は「時間を知識獲得に投資」になる傾向が強い。時間リソースが増えると「2倍時間があっても個人の知識獲得速度は2倍にならない」という理由で知識獲得以外に時間が割かれるようになる。

  • 個人の知名度と会社の知名度の比率においては、会社の知名度が高いと、個人の知名度を高めるより会社の名前で仕事をする方が効率が良いので、個人の知名度を高めることに対してネガティブなバイアスがかかる

    • そういう環境で、社員が社外に個人としてのアウトプットをしなくなってしまった場合に、論文本数ノルマなどが導入されてしまうのだろうなぁ
  • 知識獲得や知名度獲得が目的の場合、なるべく高度な方法で解いた方が良いし、なるべく難しい問題を解いた方が良い。一方で「自分以外が実装する」というようなケースでは、なるべくシンプルな方法で解いた方が良いし、難しい問題は避けれるなら避けた方がいい。ここに根本的なズレがあるので、前者のモードで動いている研究者が生み出した成果物を事後的に製品に取り込もうという戦略は「解法がやたら難しい」「解く対象として、大きいニーズではなく、小さくて難しいニーズが選ばれてる」などの発生を招く。

    • 難しいか難しくないかに関しては、難しくない問題を解いても競合に対する差別化につながらない、という考えもあるので一概にはいえない。これを踏まえて書きなおすと:
      • 知識獲得や知名度獲得が目的の場合、なるべく高度な方法で解いた方が良い。一方で「自分以外が実装する」というようなケースでは、なるべくシンプルな方法で解いた方が良い。ここに根本的なズレがあるので、前者のモードで動いている研究者が生み出した成果物を事後的に製品に取り込もうという戦略は「解法がやたら難しい」「メンテナンスコストが高い」などの問題発生を招く。
      • 難しさに関しては「難しい・難しくない軸」と「儲かる・儲からない軸」でトレードオフが起きて「難しくて儲からない」と「難しくない(解けることがわかりきっていてつまらない)が儲かる」の二択になった場合に、儲からないけどチャレンジしがいのある難しい方を選んでしまったりするというあたりが問題。
  • この種の問題が、研究部門に事業部門のニーズが伝わらないことによって起こると考えていたが、伝わったとしても研究者が知識獲得が目的のモードに入っている場合は動きにくいわな。

  • 知財戦略的な観点も。

    • 論文も特許も「知識を公開する」だし、それらがKPIになってなくても知識を公開することで個人や会社の知名度を高めるプレイがよく行われる。
    • 一方で、大きなニーズのある課題をシンプルな方法で解いた場合、それって「公開してもあまり知名度向上につながらない」「競合の模倣を招く」という理由から秘匿する方が合理的になる。
    • そういう場合「内部のアルゴリズムは秘匿し、実現した成果だけをプレスリリースして会社の知名度向上に使う」が合理的戦略になる。 https://www.facebook.com/nishiohirokazu/posts/10214061541229107

関連して