• 比較優位の考え方=自分の一番得意な分野だけをやり、他のことは他人と交換した方が効率が良い

  • π型人材=複数の分野の専門性を持つべき

  • この二つの意見は対立するように見える

  • 何がおかしいのか?

  • 比較優位は需要が十分ある消費財についての議論である

    • ワインを10生産するのと、100生産するのは、100の方が好ましい、と考える
    • これが成立するのは、十分な需要がある場合だけ
    • わかりやすくするために極端な例
      • 世の中で10しか需要がないものを、あなた一人が週1日で10生産しているとしよう。
      • あなたが週5日それに専念して50生産しても意味がない。
    • リカードが比較優位を主張したのは1819年
      • 物は基本的に不足している時代で、需要が頭打ちになることを考えていない
  • 比較優位は流通コストを無視している

    • ポルトガルはワインを1人で1リットル、毛織物を2人で1メートル生産できる
      • 今3人でそれぞれ1単位生産しているとする
    • イギリスはワインを5人で1リットル、毛織物を4人で1メートル生産できる
      • 今9人でそれぞれ1単位生産しているとする
    • ポルトガルはどちらの生産性においてもイギリスを上回っている
    • しかしより生産性の高いワインに集中することで3単位のワインを作る。
    • イギリスはより生産性の高い毛織物に集中することで2.25単位の毛織物を作る。
    • 元々は世界全体でそれぞれ2単位生産されていたが、集中した後は3単位と2.25単位に増えている。
    • 世界全体で見ればそりゃ増えているわけなのだが、集中前と比べると2単位の品物の輸送が必要になっている。
    • わかりやすくするために極端な例として、品物1単位の流通にはワイン100単位のコストが掛かるとしよう。
      • 当然貿易は行われない。
    • 知識の流通に関して、1人の人が2つの分野の知識を持っている場合と、2人の人がそれぞれの分野の知識を持っている場合とで、流通コストにどれくらいの差があるか?
      • 具体的な例として「ソフトウェアのことがわかる弁理士」と「ソフトウェアのことが全然わからない弁理士と知財のことが全然わからないソフトウェアエンジニアの2人チーム」とを比較した時に後者には2人の間のコミュニケーションコストが前者に比べて結構かかるよね。
    • 流通コストではなく取引コスト
      • 具体例2、無印良品で買ってきた棚を組み立てていて思ったのだけど、僕は棚を組み立てるスキルが高いわけではないので、比較優位の考え方からすると外注すべきということになる。
      • もし無印良品が「組み立てて配送します」というサービスを提供していたなら使ったかもしれない。でも提供されてないので、外注するためにはそれを引き受けてくれる他の人を自分で探すコストがかかる。(=取引コスト)
      • 組み立て自体は30分かからない。30分以内に外注先を見つけて依頼することができる気がしないので自分で作った。どうするのが正しかったのか?これでも外注が正しいのか?
  • 知識は「量をたくさん生産すること」にあまり意味がない

    • 言語化された知識は簡単に複製できる
    • 確率的に発生する「知識の結合」の確率を上げることが狙い
    • 一つのことに専念することは、一人の人の中に流れ込む情報の多様性を下げるので、結合の確率が下がる#多様性
  • 物の生産知識の生産は性質が大きく違う

  • 物の生産において有益だった戦略をそのまま知識の生産に持ってくるのは危険