- 「ある単語がどういう意味か」の解釈は人によって異なる
- 単語Xと単語Yがどれくらい近い意味なのかが人によって異なる
- 現象
- Aさん「Xだ」
- Bさん「なるほど、Yですね」
- Aさん「違う!」
- 解説
- Aさんの中では単語Xと単語Yは遠くに配置されている
- Bさんの中では近くに配置されている
- Bさんにとって「X」という単語よりも「Y」という単語の方が「自然」なのだろう
- 聞き慣れているなどの理由
- 人それぞれ「自然な単語」も異なる
- だからBさんはYを選ぶ
- 無意識に書き換えてしまっている場合
- 意図的に自然なわかりやすい説明にしようとしてYにしている場合
- AさんにとってはXとYは全然違うので「No」と返答する
- これをBさんは理解しにくい
- Bさんの中ではXとYが近い位置にあるから、違いを認知しにくい
- BさんがXとYの違いを認知していない場合
- Bさんが「XとYは違いはあるが大きな差ではない」と認知してる場合
- Bさんは「細かいことをいう人だな、どっちでもいいじゃん」と思う
- Bさんが意図的にわかりやすい説明にしようとして単語を選んでいる場合
- Bさんは「こっちの方がわかりやすい」と思う
- 「自分の思う通りの表現でないと許せない系の人だウゼー」とか思っている
- Aさんが「No」と伝えたことで、Bさんが「XとYは違うのか」と認知を改めたら改善される
- しかし認知を改めるのは難しい
- この解説ではXとYが単なる1単語の食い違いだが、しばしばもっと複雑な状況での食い違いが起きる
- XとYを同一視しているBさんが自力でXとYを区別するようになるのは難しい
- XとYを区別しているAさんが、Bさんの中での概念の分離を促進する必要がある
- 概念の分離
- BさんがXとYを同一視している事例を集める
- それを示してBさんに「この単語を同じような意味だと思ってるよね?」と確認
- その上で「XとYはこういう理由で別物として扱ってほしい」と伝える
- 理由を明確に示すことが大事
- 理由がAさんの気持ちだけでは、Bさんが歩み寄る理由がない
- 例えば「共通鍵暗号」と「公開鍵暗号」を混同している人がいたとしよう。
- 「共通鍵暗号じゃなくて公開鍵暗号だよ!」「何回間違えてるんだよ!」って言っても無益
- 共通鍵暗号は
- 公開鍵暗号は
-
暗号化と復号に別個の鍵(手順)を用い、暗号化の鍵を公開できるようにした暗号方式である。(Wikipedia)
- だから別物として扱ってほしい、と言う。
- ↑これは単語にフォーマルな定義がある場合なので比較的イージー
- 複雑なケース
- 単語が複数の意味を持っている
- 例: 「ハッシュ」と「連想配列」を同一視している
- 文脈によっては「ハッシュ=連想配列」でもいいのだが、今AさんはSHA-1ハッシュの話をしてるんだよ、と言う状況。
- 単語ではなく複数の語の組み合わせ、明確な用語に対応しない、YがXを包含している
- 例: 「破壊的イノベーション」を単一の専門用語ではなく「なんかすごいイノベーション」と同一視している
- 「破壊的イノベーション」を「性能の劣る製品が市場を奪うこと」の意味で使ってるAさんからするとBさんは時々正しいことを言い、時々前提から正しくないことを言う。
- 単語の定義がそもそも明確でない
- 例: 「視座」と「視野」を同一視している
- 例: 「知識」と「情報」を同一視している
- 専門用語と違って一般用語は明確に定義されていないので、区別するAさんと区別しないBさんのどちらかが正しいのではない
- Aさんが区別して使って、Bさんがその区別に気づいていないと、情報ロスが起きる
- 効率的なコミュニケーションのためには、区別する旨のコンセンサスを作る必要がある