中山 心太さんが自作サービスの背景にある思想を解説していた

veinで見たやつを、Twitterに書いたら、横流し 複数のコミュニティに所属していて、情報をブリッジするのは、とても良いことです。 人脈の価値と言い換えてもいい。 なので、そこで気後れしちゃダメです。

マルチポスト禁止は、インターネットがナードのもので一つだった時代の遺物です。 マルチコミュニティにはマルチポストが正義 https://twitter.com/tokoroten/status/1088088746946248710

この種の反響は僕もたまに目にする。 今回の中山さんの回答は、情報流通を良いことだと捉えている。 これは感情としては僕の価値観には近いけど、ロジックとしては自明ではない。面白い問題。

なぜ一部の人はこの種の行為に抵抗を感じるのか。 「この種の行為」が指す具体的な行為の範囲にだいぶズレがあるのでは。どうしてそれがズレてるのか。

  • 答えをコピーしても無益にも関連する話
    • この時には「情報を単に丸コピーで移転するのは価値を生まない。まず抽象化する必要があるし、抽象化したものだけで流通しても価値を生まない。」という考えに至った

その後少し考えた。 image

  • 多くの人に「知識は自分の外部から与えられて、それを忠実に習得する」という左のメンタルモデルがある
    • この状況では得た情報を周囲に共有することにメリットがない。
  • しかし現実には、この他にも「自分が外界との相互作用で獲得した知識」がある
    • これはシェアした方が周りの人にとって有益
    • この「周囲の人を助ける行動」によって、事後的に自分にもメリットが発生することがある
  • 「自分が得た情報を周囲にシェアすることで、自分にもメリットがある」という経験は、シェアした人にしか発生しない
    • 経験している人は、右のパターンが存在することを当たり前だと感じる
    • 左のメンタルモデルにとらわれている人は、経験しないので、シェアする行為に価値を感じない
      • 価値を感じないのでやらない
      • やらないので価値を感じる経験も訪れない

「横流し」とは何か

  • image
  • 多分こういうメンタルモデル

当初、後半はこう書いていた

  • しかし現実にはその他にも「自分が外界との相互作用で獲得した知識」があり、それはシェアした方が周りの人にとって有益。

  • しかし久池井 淳さんの指摘によって、これは感情が走りすぎて少しロジックを踏み外していると感じたので修正した
  • K> シェアが有益かどうかは自分の立ち位置と周辺のリテラシーによるけどね
  • N>
    • それを見分けられるようになるのは「シェアをして成功体験する」の次の段階だよね
    • 入ってきたものを取捨選択なしで全部ブロードキャストしても価値に繋がるのは「周りに劣った人しかいない」という状況だけ
      • なので、普通は自然に「取捨選択が必要」と変わっていくのだろう
    • アウトプットしないと「翻訳しないと伝わらない」とか「人を選ぶ必要がある」とかの体験を積むこともできない
  • K>
    • シェアは幼少期からみんなしてると思うよ。
    • その結果シェアが有益じゃない人の方が多いから、みんなしないんだよ。
    • 情報のシェアによって発信者のROIが成立する場面は、情報格差アビトラージ出来る場面と比較すると少ないと思うよ
  • N>
    • それが多いかどうかは状況次第で、君の経験するシチュエーションにおいてシェアするよりしない方が有益なケースがしばしばあって、だから「何も考えずにリークする人」をチームに入れたくないというのは理解できる。
    • 一方でプログラミング関連に関しては、しばしば知識の陳腐化速度が速いので、秘匿して利益機会を狙うより我先に公開してマスからのレピュテーションに変換してしまう方が得になるケースがある。
    • まあ、観測バイアスはあるわな。シェア戦略を取ってる人の方が観測しやすいから実態よりも多く見える。
    • 元々の文章に戻ると「シェアした方が有益」は言い過ぎで「シェアすることによって価値を生み出せるケースがしばしばある」くらいか
  • K>
    • 多分ロジックで比較できると思うけど、パラメータが増えれば増えるほどシェア側が不利だと思うけどね
    • 有益なケースはある
      • 僕も多分にそれに出くわすけど
      • 相手がシェアに足る相手だったり、価値の変換が出来る情報だったりっていくつか条件がつくよ
  • N>
    • 獲得した情報を「A:特定少数の人に伝えること」と「B:不特定多数に伝えること」の2つの戦略を区別して考えるべきで、前者Aのタイプで、その伝える相手は選ぶ必要があるのは同意。「価値の変換」が何を意味しているかはわからないが、他者がやったことをそのまま真似するのではなく、一旦抽象化して、構造だけを真似して、伝達先の持っている様々な制約に合わせてデプロイし直す必要がある、という意味ならそこも同意。
    • 一方でB:不特定多数に対して情報共有することに価値があるかどうかに関して意見が分かれているのだと思う。これに関しては、まずROI的には、A戦略がうまくはまった場合に比較するとRもIも小さいのだと思う。ではあるが、期待値プラスの行動ではある。なので現状期待値ゼロの人に対しては「B戦略をやれ」ということになるし、より生産性の高いA戦略を取れる状態の人がB戦略にとどまっていると「B戦略ばっかりやってんじゃないよ、A戦略をやれ」ってなるのだと思う。
    • Rの尺度が一次元ではないというのもポイントか。例えばTwitterで投稿しまくってフォロワーがたくさんついたとして、それはある文脈では価値として利用することができるが、別の文脈では全く価値として認識されない。逆に、例えば承認欲求に飢えているなどの理由でRの価値を過大評価する、ということも起こりうる。
    • 逆に言えば、自然科学の研究者は「自分が実験をすることで得た知識」を「周囲にシェア」することが主たる実績なので右のメンタルモデル。