「少数の頭のいい人と多数の頭の悪い人がいる」というメンタルモデルは誤りだと思う。

ということを「小学校の時に『多数決って多数を占める頭の悪い人の考えを採用することだからおかしいのでは』と先生に質問して絶句された」(src)という趣旨のTweetを見て思った。

このメンタルモデルって図で描くとこんな感じなのだと思う。 image

だけどもこれは「頭いい/悪い」軸が唯一明確に存在することを暗黙の前提としている考え方だ。

実際にはこうだ: image

で、この状況で一番頭がいいのは誰だろう?Aか?Cか?それともFか? image

これを識別する能力を大部分の人は持っていない。 世界有数の数学者を「意味不明なうわごとをつぶやいている人だ」と判断したり、権力を持つと暴走するタイプの人を「パワフルなリーダーシップを発揮してくれる人だ」と判断したりする。 こういう状況でどうすれば良いかについて、人類はまだ、解決策を見出していない。

ウィンストン・チャーチルは1947年にこう言った。

これまでも多くの政治体制が試みられてきたし、またこれからも過ちと悲哀にみちたこの世界中で試みられていくだろう。民主主義が完全で賢明であると見せかけることは誰にも出来ない。実際のところ、民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。 現状、人類は暫定的に民主主義を採用している。しかし、それは完全なものではなく、今後も新しい方法が試みられて改善されていくべきものだ。だから、そういう意味で、未来の政治形態と比較して「民主主義は最悪の政治形態」と表現した。一方で、過去に試みられてきた政治形態は、みな民主主義より悪いわけなので「現時点では民主主義が最良」という意味でもある。

というような流れで、「少数の頭のいい人と多数の頭の悪い人がいる」というメンタルモデルは誤りだよ、「頭がいい/悪い」を識別することが大部分の人間にはできないんだよ、だから民主主義を使っているのだよ、と小学校の先生が話せたら、冒頭の小学生も納得してくれたかもしれないのになぁ、と思ったのであった。

誤ったメンタルモデル 誤った二項対立