2019年度武蔵野市寄付講座「ITとルールの今・未来」 個人情報とマネタイズ 太田 康広 [/mkk/4. 10月10日 個人情報とマネタイズ](https://scrapbox.io/mkk/4. 10月10日 個人情報とマネタイズ)
潜水艦や鉄道は国が調達する時にいくらが適切かを市場価格で判断できない
- →原価を積み上げて決める
マネタイズ
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もともと「通貨の発行」「資源を金にする方法」などの意味
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「無料サービスをどうやって金にするか」は和製英語的な使い方
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- 「今までビジネススクールで学んだことは役に立たない」などという人もいる
- しかし、原理原則は変わっていない
- 適用条件が変わった
- まず原理原則を学び、それから条件がどのように変わったかを学ぶのが良い
- 条件は今後も変わっていくものだから
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原理原則
- 物販のビジネスモデル
- 広告のビジネスモデル
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- 財・サービス と 対価 の交換
- 問題:
- どうやって売り手・買い手を見つけるか?
- どうやって品質を確認・アピールするのか?
情報の非対称性の削減がビッグビジネス
- 非対称性削減ビジネスは儲かる
- グループウェアも会社内の情報の非対称性を削減しているのでは!
- その一例が広告
放射能汚染
- 技術的なコストは低いが
- 風評被害のコストが高い
- 「安全にするコスト」より「安全だと信じてもらうコスト」が高い
- 21兆円の費用の大部分
広告モデル
- 物理マッチング
- 手近
- →立地重要
- 手近
- ネット上マッチング
- 検索
- →SEO重要
- 検索
- Fedex フレッド・スミスのアイデア
- 物流においてメディエイターを置くデザイン
- 手形の決済を参考にした
ジェフ・ベゾス 証券会社社員
- Amazonを作る際に選んだ商品
- 品質の不確実が低い
- 小さくて高価(輸送量の価格に占める割合が低い)
- 種類がたくさんある(物理店舗より検索できるネット店舗が有利)
- 具体例: CDなど
データのマネタイズ
- 与信
- 広告
銀行
- 決済サービス
- 金の動きの情報がわかる
- その情報を活用するには?
- →融資をする
銀行員が通帳をコピーして名簿屋に売る事件が昔は起きていた
- 今はコンプライアンスが厳しい
- 情報を売って金にすることができない
- 情報を自分で使おう、という路線
- 売掛金も同じ原理
- 異種ビジネスを一緒にやることでコストが低くなる
購買行動情報→酒やタバコの購入→健康リスク→保険
不確実性が減りすぎると保険・融資が成立しなくなる
- 市場が海で、組織は陸地のイメージ
- 全部組織になった状態が共産主義
- 全部市場になると効率が悪い(?)
計画経済
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すべての情報を集めて計画を立てようとする
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しかしすべての情報を集め分析することは現実的ではない
- 暗黙の前提: 人間の情報処理能力が貧弱であるから
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ローカルな情報を集めることが困難
- ハイエク「時と場所の特定の状況に関する知識」が伝達困難
- 「今この瞬間にこの場所でニーズがあるから出店すれば儲かるぞ!」みたいなやつ
- 計画経済では司令部にその情報が伝わって、アクションが降りてくるのに時間がかかりすぎて、タイミングを逃す
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問い
- 人間の情報伝達能力が貧弱であることによって計画経済はうまくいかなった
- IT技術の発展によって情報伝達が強化された
- 計画経済が有利になるか?
- - 国レベルのことはよくわからないが、企業レベルの話では逆だという肌感 - グループウェアを活用して情報伝達しまくっているサイボウズにおいて - 上司の指揮命令が強くなるどころか「マネージャー職を廃止」という動き - [「管理職って別にいらなくない?」マネジャーを廃止した開発本部に、給与評価や異動の仕組みを聞いた | サイボウズ式](https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m005359.html) - [サイボウズの開発本部がマネジャーをなくしてみた「いないと無理なら、またつくればいい」 | サイボウズ式](https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m005343.html) - [[ティール組織]]で紹介されているように、色々な会社でピラミッド階層の解体が進んでいる - これはなぜか - ボトルネックは「人間の情報伝達能力」ではなく「人間の情報処理能力」だからだ - ![image](https://gyazo.com/8d82de47ee02dc6e0e53d6e28668dd65/thumb/1000) - 情報伝達手段が貧弱だった時代、人間が情報伝達を媒介していた - 人間の情報伝達能力が乏しいがゆえに階層が深くなった - 階層が深くなることによって遅延が大きくなった - グループウェア(や[[ラジオ]]やテレビ)などの技術によって情報伝達が効率化した - その時代において、大勢の社員が社長の考えを受信することは容易だ - 社長の生の声を日々受信することによって、ビジョンの共有が容易になった - 100人の社員が1人の社長の声を聞くことはできる、しかし、1人の社長が100人の社員の声を聞くことはできない - ![image](https://gyazo.com/8d244c287e29e32269b83074162de7fb/thumb/1000) - 通知が[[情報洪水]]をもたらす - 音声や紙で情報伝達していた時代に比べれば数倍程度の効率化はあったかもしれないが、 - 社員全員が情報発信をすることによって社内を流通する情報量が2〜3桁増加した - 現在の技術はまだこれを捌ける状態ではない - 意思決定者の情報処理能力がボトルネックである場合、どう組織は変化するか - 意思決定を移譲する - 情報を中央に集約せずに処理する - ビジョンと意思決定に必要な情報をあらかじめ共有しておくことによって可能になる - グループウェアが経営者と従業員の情報の非対称性を無くした - 「[[取引の円滑]]」 - 労使が対立しない - まとめ - 計画経済がうまくいかなかったのは原因は「人間の情報伝達能力」ではなく「人間の情報処理能力」 - IT技術の進歩によって「情報伝達能力」がとても強化され「情報処理能力」はまだそれほどではない - その結果、情報処理の負担が局所に集中することを避けるために権限の移譲が行われていく - この流れが逆転するのは、意思決定自体をコンピュータが行うようになった場合 - それはまだまだ先の話
分業
- 固定費を変動費に
- パラレルワークの文脈にはあんまりフィットしない肌感
- 会社の前に止めている間仕事をしていない車をカーシェアにすることで稼働時間を増やす
- という「稼働率向上」の側面は、車を所有している人の立場
- 「固定費を変動費に」は車を所有せずにカーシェアを利用する人の側の立場
- 例えば育児の合間に仕事をするのは、確かに稼働率の向上ではあるが、なんかしっくりこない
- パラレルワークの文脈にはあんまりフィットしない肌感