mizloq 主な国のジャーナリストの回答(自分の仕事の中での各項目の重要性を”extremely important” “very important” と答えたジャーナリストの比率)を並べて色つけしてみた。 それぞれのお国柄はあるけど、それにしても日本のジャーナリズムの異様さがいくつか際立ってる
mizloq: 「あなたの仕事で『事実をありのままに伝えること』はどのくらい重要ですか? 5段階で答えてください」 という問いに 「extremely important」「very important」 と答えたジャーナリストの比率
米国 98.3% フランス 96.5% 英国 93.0%
日本 65.1% Journalists in Japan (PDF)
mizloq 「事実をありのままに伝える」がトップでないのはこの中で(中露も含めて)日本だけ。 「政治的アジェンダを設定する」をジャーナリズムの重要な仕事と考えている率が異様に突出。 「客観的な観察者であること」「人々が意見を表明できるようにすること」に重要性を感じている率が低い。
- 関連: Audrey Tang: アジェンダ設定の権限を人々に開放する
mizloq こんなことになっている背景のひとつは日本の「ジャーナリスト」が事前に専門の教育を受けていないことかもしれない。 大学でジャーナリズムand/orコミュニケーションを専攻した比率(同調査より)
- 米国 80.1%
- 英国 44.1%
- フランス 79.2%
- ドイツ 35.1%
- 日本 12.5% とかなり低い
mizloq ジャーナリズムの歴史や存在意義や使命や危険性を学ばずいきなり現場に投げ込まれ先輩やデスクの指示で働くうちに「我々の仕事は政策アジェンダ設定だ」のような信念が醸成されたのかも。レポートでも「日本のメディア企業でOJTが確立されたのはごく最近」と報告されてる Journalists in Japan (PDF)
mizloq 「じゃあこれから大学での教育に力を入れたら良いのでは」と思いきや、もうそれも無理。その手の専攻はとっくに、「現場」からの叩き上げで間違った信念を持ったままの人や思想的に偏向した弟子たちが教員職を占めてしまってる
mizloq データ出所は The Worlds of Journalism Study https://worldsofjournalism.org の Country reports – WJS2 (2012–2016) です。年次によって少し質問項目が異なっているらしいけど大きな影響はないと見てそのまま並べています。worldsofjournalism.org Country Reports - Worlds of Journalism Study
mizloq 「残り35%は嘘吐いて良いと思ってる」と誤読してる人がいるので念の為補足。 選択肢は extremely important very important somewhat important little importance unimportant の5つで、表は上から2つの比率。 他の人は、事実をありのままに伝えるのを「重要でない」「不要」と答えてるわけじゃない
mizloq とはいえ、まともに(学校だろうがOJTだろうが)ジャーナリズムを勉強した人だったら 「ジャーナリズムの第一の使命は事実をありのままに伝えることだ」 と叩き込まれてない人はいないので、65.1%というのは呆れるには十分な数字。
mizloq なぜならそれは 「建前とか理念としてすら教わったことがない」 または 「教わってはいるけれど、現場の仕事の中でそれよりも重要なことがあると叩き込まれ身につけてしまった」 ことを示す数字だから。