2007年のノーベル経済学賞は,レオニド・ハーヴィッツ,エリック・マスキン,ロジャー・マイヤーソンの三氏に,「メカニズムデザイン理論への基礎的貢献」を理由として授与された。 マスキンの定理
ゲーム理論との対応(→<対応元概念>)
- 各個人はメッセージの集合 (→選好空間)を持っている
- 各個人が戦略的にメッセージ(→選好)を選ぶ
- 帰結を与える関数によってゲームの帰結 が決まる
- 対戦略性とはこのゲームにおいて真の選好組自身が支配戦略均衡になること
- 直接ゲーム:
- 直接メカニズム:
実現したい理想(社会的選択関数)と、それを導くための方法(直接メカニズム)が区別されていない
メッセージの集合 メッセージの組 メッセージの組に対して帰結を選ぶ関数(帰結関数) メカニズム(間接メカニズム): #メカニズムの定義 直接メカニズム: 真の選好対 に対してゲーム メカニズムはそれぞれの真の選好に対しゲームを与える生成装置である メカニズム ゲームの解概念としてある対応Sを考える
- 出来杉の入れ知恵でジャイアンが「スネ夫のお年玉をみんなで平等に分配しよう!」と言い出した場合、のび太には反対する理由がない
- スネ夫が一人で反対しても拒否できない ベイジアン誘因両立性
目次 第1章 社会的選択とその遂行
- 1.1 はじめに
- 1.2 基礎概念
- 1.2.1 社会的選択対応と遂行メカニズム
- 1.2.2 メカニズムデザインという発想
- 1.3 ナッシュ遂行とマスキンの定理
- 1.3.1 定 義
- 1.3.2 マスキンの定理
- 1.3.3 マスキンメカニズムとナッシュ遂行への批判
- 1.3.4 一般的遂行可能性と個別のメカニズム設計
- 1.4 耐戦略性
第2章 公共的意思決定
- 2.1 はじめに
- 2.2 投票環境
- 2.2.1 ギバート=サタスウェイト定理
- 2.2.2 ドメインの拡大
- 2.2.3 ドメインの縮小
- 2.3 確率的環境
- 2.3.1 実質的遂行
- 2.3.2 無作為独裁制
- 2.4 準線形環境
II 応 用 第3章 交換経済
- 3.1 はじめに
- 3.2 基本設定
- 3.3 ワルラス配分の操作とハーヴィッツ定理
- 3.3.1 交換経済における戦略的操作
- 3.3.2 ハーヴィッツ定理の一般化
- 3.3.3 関連事項
- 3.4 ナッシュ遂行
- 3.4.1 ワルラス配分と制約ワルラス配分
- 3.4.2 制約ワルラス対応の遂行メカニズム
第4章 オークション
- 4.1 はじめに
- 4.2 基本設定
- 4.3 オークションルール,戦略,それらの合成
- 4.3.1 オークションルール
- 4.3.2 戦 略
- 4.3.3 オークションルールと戦略の合成
- 4.4 オークションの目標
- 4.5 効率的オークション
- 4.5.1 第二価格オークション セカンドプライスオークション
- 4.5.2 第一価格オークション
- 4.6 収入同値定理と最適オークション
- 4.6.1 セットアップ
- 4.6.2 収入同値定理
- 4.6.3 最適オークション
第5章 公平分担
- 5.1 はじめに
- 5.2 基本設定
- 5.2.1 モデル
- 5.2.2 資源配分の性質と公理
- 5.3 耐戦略性
- 5.3.1 不可能性定理
- 5.3.2 可能性定理
- 5.4 ナッシュ遂行可能性
第6章 非分割財交換
- 6.1 はじめに
- 6.2 基本設定
- 6.3 トップトレーディングサイクルアルゴリズム
- 6.4 強コアの遂行可能性 コア(ゲーム理論)
- 6.5 腎移植マッチングへの応用
第7章 マッチング
- 7.1 はじめに
- 7.2 基本設定
- 7.3 ゲール=シャプレーアルゴリズム
- 7.4 片側支配戦略
- 7.5 両側支配戦略
- 7.6 マスキン単調対応
- 7.7 多対一マッチングの基本設定
- 7.8 多対一マッチングにおける≿bの扱いと基本結果
- 7.8.1 拡張選好から導かれる順序としての≿b
- 7.8.2 優先順位としての≿b
- 7.9 ボストン方式