「できるかできないか」なら、まあできなくはないと思うけど、「向いているかどうか」だと、向いていないと思います。 僕がそう思う理由は上記ページで倉下 忠憲さんがすでに書かれている通り:

最大の問題は、Scrapboxは階層構造を作るためのツールではない、という点です。しかし、書籍はバリバリの階層構造です。 というところ。Scrapboxは階層構造を作ることをなにも支援しないし、階層構造を表現することに向いているわけでもない。

ある程度執筆にもScrapboxにも慣れていれば、UserScriptを作ったりして無理やり突破することもできるかもしれないが、そうでない「初めて本を書きます」的な人にはまったくおすすめできないので素直に階層構造づくりを支援してくれるツールや方法論を使うのがよいと思います。僕の場合はそれがKJ法だったわけです。エンジニアの知的生産術に詳しく書いたのでそちらを参照。

ところでScrapboxが階層構造を支援する方向に進むべきかに関してはNoだと思っています。 階層構造にしなければいけないのはそもそも書籍というレガシーなフォーマットの制約であり、知識を伝達する手段としての「書籍」が顧客に与える価値を考えると、将来的にはScrapbox的な知識のネットワークのリンクにメタ情報が付いたようなものになり、が執筆チームから提供されて、読者の知識水準を理解しているクライアントソフトが読者に適切な順番で提示するような仕組みになる方向が正しい。

2001年にWikipediaが生まれてまだ17年、Wikibooks的なアプローチもされているけども、まだまだ過渡期であって、電子書籍も大部分が紙の書籍のフォーマットを引きずってるわけです。人間に知識をインストールする技術は、紙の本のフォーマットではなく、もっとデジタルを前提とした効率の良いものにいずれ置き換わるわけです。Scrapboxはその方向に一歩踏み出しているツールなのでレガシーフォーマットは無視しててよいと思います。