2019年度武蔵野市寄付講座「ITとルールの今・未来」 AI創作物と知的財産権: [/mkk/6. 10月24日 AI創作物と知的財産権](https://scrapbox.io/mkk/6. 10月24日 AI創作物と知的財産権)
法学は進歩しない
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18世紀「科学は進歩する」
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法学2000年以上の歴史
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ローマ時代の考え方を今の問題・現象に使う
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知的財産法
- 150年の歴史「しか」ない新参者
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ビッグデータ すばらしい新世界
- すばらしい新世界 - Wikipedia
- 「ビールを飲みたいのでは?」「近くの酒屋から配送しましょうか」
- データを握ることによって可能になる商売
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各人の効用関数が明らかであれば支払い能力のギリギリまで取れる
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Googleのサービスにアップロードした著作物の権利は?
- Google 利用規約 – ポリシーと規約 – Google
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本サービスの一部では、ユーザーがコンテンツをアップロード、提供、保存、送信、または受信することができます。ユーザーは、そのコンテンツに対して保有する知的財産権を引き続き保持します。つまり、ユーザーのものは、そのままユーザーが所有します。
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本サービスにユーザーがコンテンツをアップロード、提供、保存、送信、または受信すると、ユーザーは Google(および Google と協働する第三者)に対して、そのコンテンツについて、使用、ホスト、保存、複製、変更、派生物の作成(たとえば、Google が行う翻訳、変換、または、ユーザーのコンテンツが本サービスにおいてよりよく機能するような変更により生じる派生物などの作成)、(公衆)送信、出版、公演、上映、(公開)表示、および配布を行うための全世界的なライセンスを付与することになります。このライセンスでユーザーが付与する権利は、本サービスの運営、プロモーション、改善、および、新しいサービスの開発に目的が限定されます。このライセンスは、ユーザーが本サービス(たとえば、ユーザーが Google マップに追加したビジネス リスティング)の利用を停止した場合でも、有効に存続するものとします。本サービスの一部では、ユーザーがそのサービスに提供したコンテンツにアクセスし、それを削除する方法が提供されることがあります。さらに本サービスの一部には、そのサービスに提供されたコンテンツの Google による利用範囲を狭める規定または設定があります。本サービスに提供するコンテンツについて、このライセンスを Google に付与するのに必要な権利を保有していることを必ずご確認ください。
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FacebookとAmazonも同様にデータを徹底的に収集する戦略
- Googleと違う収集方法を持っている
- 2006年ぐらいにはGoogleの一人勝ちが予想されていたが、そうならなかった
- Facebook: 人のつながりの情報を掴む
- 検索結果より親しい友人の話を信じるよね
- Amazon: 購買行動の情報を掴む
- 口でどう言っているかではなく、実際に買っているものを知っている
- 他人に話さないような情報(アダルトコンテンツの購入とか)も知っている
- Googleと違う収集方法を持っている
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- 民放のモデルと同じ
- Googleは新たな時代の基本的資源(=データ)を独占
- ⇔中国「我が国の資源を渡してなるものか」
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ゼンリン住宅地図
- 「OSレベルの独占には勝てない…」
Googleが世界全体を独占する見込みは薄くなった
- Facebook、Amazonの台頭
- 中国のグレートファイヤーウォール政策 中国とGoogle、どっちにデータを見られるのがマシ?
欧州委員会
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欧州連合(EU)の欧州委員会は、7月18日米アルファベット傘下のグーグルに43億4000万ユーロ(約5700億円)の制裁金を払うよう命じた。グーグルが、基本ソフト(OS)「Android」を使う携帯端末に、自社の検索、閲覧、およびアプリストアのソフトの「抱き合わせ」搭載を求めるなどEU競争法(独占禁止法)における支配的地位を濫用していると判断した。
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EUの対Google戦略
- 独占禁止法
- 個人データ
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AppleとMicrosoft
- データを取らない戦略
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Google Mapsの類似サービスを出してももはやユーザがつかない
- 競争に負けた
- →個人データを取らない路線へ
- 逆張りの競争戦略
- MS「データを取らない、広告にも使わない」アピール
- 「Googleに仕事のメールを読まれたくないでしょ?」
- FUDっぽさがある
- 「Googleに仕事のメールを読まれたくないでしょ?」
- Apple Pay「取引履歴を保存しない」
- MS「データを取らない、広告にも使わない」アピール
- 逆張りの競争戦略
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ちなみにGAFAMの次は
- バークシャー・ハサウェイ - Wikipedia
- テンセント
- アリババ
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20年前のスパコン、今はスマホとして持ち歩いている
- ヒトゲノム計画 クリントン政権 1兆円10年協力して実現
- 今 3万円3時間でできる
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発想の転換
- 脳の中身を再現→困難
- →転換→外に出てくる反応がすべて
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電子メールの解析
- 会社のメールサーバを全調査
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顔認識警察
- 2年前の万引きで、コンサート会場で捕まる
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権利とは
- 勝手なことはさせないぞ
- 有体物に対して発展してきた権利の議論を無体物に適用
世界全体では有体物:無体物が2:8だと言われる
- 一方日本では5:5
- 物作りが中心
- 発展が遅い
AIは中身はわからないが人間の真似をできる
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法律論「似たケースはないか」
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自撮り猿事件(selfie monkie)
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写真家が猿にカメラを渡して取らせたら?
- 猿=モノ
- モノを使って写真を撮った、猿は道具→写真家に著作権あり
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写真家から猿がカメラを奪った
- 写真家に著作の意図はなし→写真家に著作権なし
- 猿にもない
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- 物は権利の対象
- 物は権利の主体ではない
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Naruto v.s. Slater 訴訟
- 動物愛護団体が写真家を訴えた
- 地裁・控訴審「人間以外の者が著作者となることを認めない」
- →写真家が訴訟の負担に耐えかねて和解
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AI著作権
- 「まずは慎重に考えていく」
- 霞ヶ関文学における「やらない」の表現
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創作の主体は誰か
- 所有者ではない
- 使った人
- 例: カメラの所有者と使用者が異なっているケース
- ボタンを押すだけの人は?
- ボタンを押しただけで「思想又は感情を創作的に表現」してるか?
- ボタンを押した程度ではそうとは言えないよね
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技術の進歩によって、どの程度の行動が「創作」であるかの認識が変わる
- 「創作」とみなされるための要求水準が変わる
- PCR法
- 初期は温度管理が人手で、実験だけで大変だった
- →実験してその結果を報告する論文が成果として評価された
- 今はボタンを押せば機械が温度管理する
- →実験した程度では成果にならない
- 同じことが他の分野でも起こるのでは
- パラリーガル(弁護士の補佐的業務)
- 20年前、アメリカのパラリーガルが減っていった
- 通信技術の発展によってインドへのアウトソースが可能になった
- インドのパラリーガルはアメリカのパラリーガルよりも質が劣っていた
- しかし給与水準が1/10
- 時差があるので夜の間に作業が進む
- インドの人間によるパラリーガルが、AIによって置き換わる
- AIが低コストになれば必然的に起こる
- 20年前、アメリカのパラリーガルが減っていった
- パラリーガル(弁護士の補佐的業務)
- 初期は温度管理が人手で、実験だけで大変だった
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そもそも創作である必要がないもの
- 運転は創作的でなくても良い
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AIの自己発展
- 経験から学ぶAI
- 羽生さんと戦って強くなったAI
- 経済的な価値がある
- その経済的な価値は誰のものか?
- 羽生さんの創作ではない
- この価値は何?何の権利で保護される?
- 新たな知的財産権を立法する必要がある?必要ない?
- の考え
- AIがどこで動いているかわけて考える
- AIがサーバサイドで動く場合
- AIの学習済みモデルは公開されない=公然と知られていない
- なので不正競争防止法の営業秘密の定義に当てはまる
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秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの
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- 別の権利を作るまでもなく現状の法律で保護されている
- AIがクライアントサイドで動く場合
- AIの学習済みモデルが、ソフトウェアの一部としてユーザの計算機にインストールされる
- この場合だと頒布開始時点で公知になってしまい、営業秘密とできないのではないか
- 案
- AIの学習済みモデルデータは、それ単独では利用できず、必ずモデル構造を記述したソースコードと組み合わせて使われる
- つまりモデルデータとモデル記述コードは不可分に一体なのであって、単独で権利の有無を議論するのがおかしい
- うーん、ただこれだと、クライアントサイドでの利用によってデータが更新された時にその「混ざり合ったデータ」の権利が誰のものなのかよくわからないことになりそうだ
- AIがサーバサイドで動く場合
- AIがどこで動いているかわけて考える
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人をサポートする機械が問題を起こした場合誰の責任か?
- 操作した人間の責任?
- 設計した人間の責任?
- 製造物責任法
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この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
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- 製造物責任法