何のスプリントか

2026-10、kouchou-ai 本体ドキュメント(mkdocs サイト digitaldemocracy2030.github.io/kouchou-ai/ と README.md)を、散発的な改善でなく 一連のスプリントとしてまとめて改善した。起点は「docs 方針が kouchou-ai-docs-policy-history に系譜として集約されていたが、実装は追いついていなかった」こと。計画は kouchou-ai-docs-improvement-roadmap-2026-10-13 に、読者体験の監査は docs-persona-review-2026-10-13 にある。本ページはその 読み物としての総括(何を・なぜ・どうなったか・どう進めたか)。

結果として本体 repo に PR #998〜#1006 / #1008〜#1010(計 13 本) を投入・merge し、v4.1.0 を発行、issue #542 / #977 / #876 を決着させた。

出発点:なぜ docs を直したか

  • 入口が setup 起点:docs が getting-started/(=セットアップ手順)から始まり、「興味を持った人=自分でツールを建てる開発者」というバイアスを産んでいた。レポートの閲覧者・自治体担当・方法論に関心のある人が最初の数行で振り落とされていた。
  • 書いたのに届かない:docs/ にあるのに nav 未登録で公開サイトから辿れないページが 6 本。しかも nav 劣化を検知する仕組みがなかった。
  • content gap:閲覧者向けの「レポートの読み方」、自治体向けの「費用・個人情報・相談先」、実務者向けの「結果の信頼性・責任の所在」が存在しなかった。FAQ は実体が開発者トラブル 1 件だった。
  • 責任所在が未明文化:レポートの免責は「LLM バイアス注意」だけで、「誰が何に責任を負うのか」が書かれていなかった(issue #542)。
  • 壊れやすいリンク:レポート閲覧画面が README の見出しアンカーに外部直リンクしており、見出しの言い回し変更で静かに切れる構造だった(issue #977)。

背景の最上流には、2026-05 の気づき「kouchou-ai の docs は説明資料であると同時に、AI コーディングエージェントにとっての reusable prompt / template でもある」がある(auto-cluster-defaults)。docs の質は人間だけでなく AI の既定値も左右する。

どう進めたか(フェーズと PR)

フェーズ中身主な PR
Tier 0nav 未登録 6 ページ登録+validation.nav.omitted_files: warn の rot-gate(以後の orphan を CI が検知)、CLI の embedding モデル設定を明記#998、v4.1.0 発行
T1(入口の reader-facing)index.md を demo-first の「目的別ガイド」(読者像で分岐)に、how-to-use を最新 WebUI に追従、WebUI 変更時に how-to-use 更新を促す非ブロッキング reminder#999 / #1000 / #1001
content gap「レポートの読み方」「導入を検討する方へ(費用・PII・相談先)」「結果の信頼性・限界・責任の所在」を新設、FAQ を閲覧者向けに刷新#1002(quick fix)/ #1003
責任所在(#542)免責に 責任の 3 レイヤー(OSS 開発者/サービス運営者/レポート作成者)を明記(footer 2 コピー+README 日英韓)#1004 / #1008
Tier 3(構造の本丸)getting-started/ → self-hosting/ 改称+mkdocs-redirects で旧 URL 救済、README アンカー直リンクを安定 docs ページへ移行#1005(#876)/ #1006(#977)
仕上げ内部リンク/アンカー切れを CI で検知(mkdocs link validation + GitHub 互換 slugify)、起動モードの canonical「始め方の選び方」ページ#1009(#977)/ #1010(#876)

何が変わったか(現在 live)

  • 入口が demo-first:トップは「何をしたいか」で分岐する目的別ガイド。setup は「自分で建てる人」が辿り着く先に降格。getting-started/ は self-hosting/ に改称(旧 URL は redirect で温存)。
  • 読者の空白が埋まった:閲覧者(読み方)・自治体(導入判断)・実務者(信頼性・責任)・CLI 研究者(バグ修正と設定)に、それぞれ着地できるページがある。
  • 腐らない仕組み:nav 未登録・内部リンク/アンカー切れを CI(mkdocs build --strict)が検知。WebUI 変更が how-to-use を取り残すと reminder が出る。
  • 責任が明文化:レポートの責任所在が 3 レイヤーで日英韓の免責に明記。
  • 安定 URL 責務が docs 側へ:外部に張らせる stable link は README アンカーでなく docs ページに。

通底する設計原則

スプリント全体を貫く原則は kouchou-ai-docs-policy-history に系譜としてまとまっている。要点のみ:

  • docs は AI の default / template:具体例は「読者がコピペするか」だけでなく「AI が既定値と見なすか」で評価する。
  • setup 起点をやめ、読者像で分岐する(demo-first):入口はレポート閲覧。
  • 「開発者」を一括りにしない:読者像ごとに着地面を変える。
  • 安定 URL 責務は docs ページ、README は改訂可能な入口。
  • 公開境界:Azure デモの実 URL・resource・secret・手順は docs に書かない。免責・案内の粒度に留める。
  • 責任は 3 レイヤー:OSS 開発者(無保証提供)/サービス運営者(運用)/レポート作成者(内容)。

再利用できる進め方(方法論)

このスプリントで有効だった進め方は、他の改善にも転用できる。

  1. live 検証を前提にする:wiki の方針記述は stale しうるので、着手前に work/kouchou-ai の current main と GitHub の issue/PR 状態を照合してから動く。実際、着手前の照合で「audit が #450 を『記載あり』と誤記」「#876 は議論停止でなく umbrella 再スコープ」等の stale を複数発見した。
  2. ペルソナ監査で content gap を見つける:完成した docs を複数の読者ペルソナの視点で「トップから辿って詰まる点」を洗い出す(docs-persona-review-2026-10-13)。「書いた側の想定」でなく「読む側の経路」でギャップが出る。
  3. discover → fix → gate:構造的な劣化(nav orphan、リンク切れ)は、まず現状の違反を洗い出して直し、その上で CI ゲートを立てて再発を止める。gate だけ先に入れると main が赤くなり、fix だけだと再び腐る——両方を同じ PR に。
  4. content は起草 → レビュー → コードで裏取り:新規ページは下書きを作り、主張(費用・データ送信先・挙動)を実装(services/llm.py 等)で裏取りしてから出す。捏造しない(具体的な金額は「従量課金の考え方」まで)。
  5. 破壊的変更は救済とセット:ディレクトリ改称は mkdocs-redirects で旧 URL を温存してから。外部リンクを切らない。
  6. 多言語・法務文面は逆翻訳で検証:免責の en/ko 翻訳は、日本語への逆翻訳で原文と一致を確認してから反映。
  7. 大きな umbrella は de-bundle:#876 は複数 issue を束ねていたため、headline 達成で close する際に、独立課題(#496 Docker なし/#921 ブラウザ版本流化)を切り離し、残細目は小さな follow-up(#1012)へ引き継いだ。

残りと今後

  • #1012(OPEN・任意):README スリム化、起動モード別の落とし穴集約、Docker Desktop 代替・構造把握スタンス・Mode 4 データ量前提。#876 の残細目。
  • #496 / #921(OPEN・独立):Docker なし配布(エンジニアリング)/ブラウザ版を本流とするか(戦略)。docs 入口とは別テーマ。
  • 保守の持続:rot-gate・link-check・how-to-use reminder が入ったので、今後は「feature と一緒に docs が腐らない」かを運用で見ていく。

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