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「賢い人はわかりやすく説明できる」という言説は「賢い」の意味があいまい。
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「ある概念についてよくわかってる人」は、階段の段差を小さくした説明をできる。
- かみくだいた説明というやつ
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段差が小さくなるとつまづきにくくなる
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しかし段差のサイズと目的地にたどり着くまでの段差の個数は反比例する
- かみくだいた説明をすればするほど、必要な時間は増える
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「ある概念についてよくわかっている人」Aさんが、しばしば見落としていることがある
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Aさんは段差が小さければ誰でも登ってこれると思いがち
- 自分が登ってくることができたので、他人もそうだと思いがち
- しかし多くの人は、そこまでの根気を持たない
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これに気づいたA’さんは「根気がないなら登ってくるのは不可能だ」と発言しがち
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このA’さんもまた見落としていることがある
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A’さんは「Bさんが得たいのは旗Xだ」と思い込んでいる
- だから4段登るくらいじゃ手に入らない、不可能だ、と考える
- しかしそれは正しいだろうか
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XのことをよくわかっていないBさんが「Xが欲しい」と言ったとしても、それは文字通りの意味ではない
- 本当にBさんが欲しいものや欲しさには幅がある
- その幅の中でBさんが出すことのできる時間コストとの兼ね合いで最適な目標は変わる
- Yを目指したB’さんは、Bさんと同じ時間で「満足できる結果」にたどりつくことができた
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正しく教えるためには、Bさんが何をどの程度欲しいのか、どれくらいの時間を使えるのかを知る必要がある
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Bさんの側にも見落としていることがある
- 多くの場合、AさんはBさん個人のためにたくさん時間を割いて最適な教え方をする気はない
- Bさんの利益を最大化するためには、AさんはBさんのことをよく学んでYへの道を提示するのが最適
- そんな手間のかかること、よほどの関係でない限りやらない
- 「先生と生徒」という関係性の学校と違って、大人同士の関係性においては、Bさんはまず「教えることに時間を割く価値がある」とAさんに認識される必要がある
- 多くの場合、AさんはBさん個人のためにたくさん時間を割いて最適な教え方をする気はない