稲盛さん逝去にあたり、牛丼接待の話とかがバズっているけど、稲盛像には、リアルビジネスパースン、食えないオヤジ、と言う側面(私はこちらが好きで評価していたので、JALのトップを頼みに行った)と、やや作られた(ご自分も演出に協力した!?)偶像的なものとがあります。浅いジャーナリストは後者に飛び付くし、世の中受けもいいので、今回の一連の報道もほとんどが後者に寄っていました。 しかし、とても銭かね勘定に厳しくてしたたかでエグい経営者像と敬天愛人とか利他の精神とか見た目きれいごとを語る神様像とは、私の中ではむしろ前者が目的で、それを実現するための経営者としての自己コントロールや社員のマインドマネジメントツールとして後者があったと言うのが観察事実だし、それがぐるっと回り回って後者に還って来る循環的経営論の人でした。そこに松下幸之助とあい通ずる稲盛さんの真の凄みがあると尊敬していた。同時に自分にはあの二面性、矛盾を抱え込む経営者スタイルは無理、特に自分を神格化するのも、周りに神格化されてしまうのも絶対に無理なので、真似しようと思ったことはありません。だからこそJAL再建をお願いしに行ったわけです。 牛丼の話も近い理解で、私も2万円の懐石料理と吉野家の500円の牛丼にそもそも40倍の味と満足度の差はないと思っているし、稲盛さん個人にとってはこの金額差は誤差ですから、接待の演出効果と、ビジネスを語るネタとしてはあの値段でちゃんと持続的に利益を出している吉野家、それも倒産を乗り越えた吉野家の方が色々語れるので、あの場所は使えたはずです。私が評価している稲盛さんは、そう言う計算をする超プラグマティストです。
牛丼接待とはこれのことかな