現象学では、あらゆる認識行為は「主体による生活世界の“主観的な確信”である」と考えます。その生活世界が自分に立ち現われてくるその「確信の成立の条件と構造」を問うて明らかにする行為を現象学的還元と呼びます。

現象学の基本的な考え方は、われわれのなかにどのように世界認識が成立するのか、その構造をはっきり確かめようということです。ある認識が正しいかどうかではなく、確信として成立している構造を確かめる。そうすることで、なぜそれぞれの認識に違いが出てくるのかということや、どういう条件があれば広く共通了解が生み出されていくのかということが分かる。それが基本的な発想です。