ピーターの法則の知識に基づく解釈
- 1: 昇進するほど、職務に必要とされる知識範囲が広くなる
- 2: しかしそれの習得にかけられる時間は範囲拡大に比例して増えない
- 3: その結果、昇進するほど知識が浅くなる
という話を見かけたが、このロジックは2と3の間にギャップがある。 人間が単位時間内に使える時間は限られているので「2: 習得にかけられる時間は範囲拡大に比例して増えない」は正しい。 知識が「習得にかける時間」に比例して得られる場合、知識は線形のオーダーでしか成長しない。
しかし、知識獲得の速度自体を向上する方向に舵を切ると、時間比例よりも速い速度での知識獲得が起きる。 例えば、社外に相談相手を持ち、知識交換によって学ぶ。 例えば、専門知識を持った部下に相談して教えてもらう。
- 関連: 知識社会は上司と部下の社会ではない
- 「わからない」と言うことが怖いという心理状態になってしまうと、部下に教えを請うことができなくなるので、昇進に伴って「教えてくれる人」が減少していく。
昇進に伴って知識の獲得速度の向上が必要であることにあらかじめ気づいて準備した人には、昇進による無能化が起きないが、そうでない人には必然的な無能化が起きる。 そう考えると、結局のところ「それに気づくかどうか」というメタな意味での有能/無能によってパフォーマンスが決まるのではないか。