Twitterでの議論を転載しておく。

きっかけ

なぜビジネスコンテストからビジネスが生まれないのか? – ところてん – Medium 中山 心太

Willは「自分がやりたいこと」で、これはそのままです。 Canも言葉通りで「自分ができること」です。 Mustだけ少し難しくて、これは「会社や社会から求められていること」というようになります。

世の中いろいろとみていると、WillとCanとMustが分離できない人は非常に多く、勿体ないなぁと思うことがしばしばあります。 ある程度の年齢であれば、この問題についてディスカッションを行い、その過程で理解してくれることを期待することはできる。しかし、若い子が相手だと、どうしてもマウンティングになってしまい、押し付けでWill,Can,Mustをへし折る結果になってしまいそうで、そういう機会があるたびに毎回頭を悩ませている。

自分の発言をTwitterから転載

https://twitter.com/nishio/status/859003877223419904

  • will、can、mustの話、まだ働いてない年齢の人に対してはcanもmustも無視してひたすらwillを聞き出してあげるのが良いと思っている。willを言語化させて内発的動機が高まれば、勝手に勉強してcanが広がるから。社会人はmustも考えないといけないから難しい…。

  • 「社会人はmustも考えないといけない」(これもmust)は本当に真なのか、もし偽だと主張する人がいた時に、論破できる根拠が思いつかないので不安になってきたぞ。

  • willやcanの話をする時にはデフォルトで個人に属する情報で、「生きたい」とか「荷物が持てる」のような大部分の人に当てはまるもののことは考えないのに、mustだけ「その人に社会が求めること」ではなく「誰でもいいからやってと社会が求めること」なのアンバランスじゃない?

    • willとcanに希少度の低いものと高いものがあるように、mustにも希少度の低い「社会問題」と希少度の高い「この人でなきゃ!」とがあって、資本主義社会の仕組みとして希少度の高いものを持ってた方が利潤は高いのではないか。希少度の高いwillが希少度の高いcanを生み出し、それが希少度の高いmustにつながって、最終的に高い利潤の源泉となる。
  • 想定される反論として「社会問題は希少度は低いが市場は大きいのだから利益も大きいのでは」があるが、いくら市場が大きくてもシェアが取れなければ利益につながらないし、シェアを取るためには「この人でなきゃ!/この製品でなきゃ!」が必要だから、やはり希少度が大事では。

  • どうして大人がmustの希少度の話をしないかというと、大部分の大人は希少なmustを持っておらず、いつか社会から「あなたは必要ない」と言われるのではないかと不安で、その不都合な事実を直視したくないからなのでは。だから必要とされてることが広く知られた社会問題を安心の拠り所にする。

    • 「売れるかどうかわからないソフトウェアを開発する」とか「顧客がいるかどうかわからないビジネスで起業する」とかと同じで、かなり強い自己肯定感がないと、mustがないことを直視したら不安が肯定感を上回って精神がすり減りそう。
  • willとcanのサイクルで計算機科学的な領域の能力を高めてきたけど、must(社会のニーズ)を知って自分のcan(技術)とマッチングする能力は、また別の分野のcanであった。それを学ぶwillがないと「canとmustのマッチング能力」は身につかないよな。

    • 僕は社会人になって何年も経ってからようやく気づいたし、それが冒頭の「社会人はmustも考えないといけないから難しい」の本体だし、willとcanとmustのベン図を書いて新社会人に説明をしたりするのもこれに気づいて欲しい人が多いからなのだろうな。

質疑

mustの希少度とはどういう意味でしょうか。さきほどの記事をよんで、willとcanが個人の能力という意味で、mustというのは社会からの要求という意味かなと思ったんですが。 https://twitter.com/shunichi_arai/status/859055552244047872 A: 個人の意志willに多くの人が持つ「生きたい」と少しの人だけが持つ「OSを自作したい」があり、個人の能力canに多くの人が持つ「5キロの荷物を運べる」と少しの人だけが持つ「OSを書ける」があるように、社会の要求mustにも多くの人が対象のものと少しの人だけが対象の物があります。

血統、親族関係、株式の相続、門戸、身体(身体障碍)というのが浮かんだ。稀少度の高いMustって、こんな感じなのかねー。 https://twitter.com/tokoroten/status/859054093796425729 A: 僕が思い浮かべた例は「大人気アイドルに握手してもらうために1万円払う人はいるけど、僕の握手に1万円払う人はいない」だった。「握手ができる」というcanと「握手したい」というwillが(ないけど)あったとしても僕には握手で稼ぐ機会はない 親族関係って意味では「有名政治家の息子であることによる地元からのデフォルトの期待」とか。身体的特性は障碍もそうだけど「女性だと本人が相撲が好きで、強くても、力士になれない」とか(事実かどうかは知らない)

補足:

  • 大前提として「社会からの要求、そしてそれを満たすことでお金を得る機会は、平等には与えられない」を仮定しています。僕はこれは観測事実だと思っています。

その他のフィードバック

#希少

2017-09-20 時間を置いて読み直してみて「希少度が高い」と言うよりも「[個人特異性]が高い」と言う方が適切な気がした。