Hook model

Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す心理学×デザインの新ルール」を読んだ。

サービスが「使われ続ける」ためには、顧客の「習慣」をいかにして作るかが重要だ。そこで「習慣が作られる過程」を以下の4つのフェーズで考えている。

トリガー・アクション・リワードで行動が強化されるって話は心理学を学んだ人ならよく知っている話。スキナー箱の実験とかパブロフの犬とかを聞いたことがある人も多いのではないかな? #行動分析学

僕もそこまでは知っていたのだけども、この本を読んで盲点に気づいた。これらの実験には当たり前だけどビジネスの視点はない。

ビジネス視点、つまり、自分が作ったサービスをユーザーに使ってもらおうと考えた時には、トリガーのコストが問題になる。トリガーは無償ではない。広告を打つのにもお金がかかる。そこで、ユーザが自分自身をトリガーする状態(=習慣)に早く持って行きたい。どうすればユーザは自分自身をトリガーするようになるか?

その方法として付け加わえられた、4つ目のピースが「インベストメント」だ。

ユーザがサービスからリワードを得た直後、ユーザは何かお返しをしたい気持ちになる。「返報性の原理」だ。ユーザがこの状態なら、即座にリワードが与えられないような作業をさせることができる。

ここで将来のトリガーをユーザ自身に設定させる。それによって、即座にではないが、将来的に報酬が得られると思わせれば良い。それをやればあなたも得だしサービス側も嬉しい、と伝えることで、返報性の原理が働く。

そうして設定したトリガーで、またユーザは戻ってきて、サービスを使って、を繰り返すことに成る。ユーザが時間やお金をサービスに対して使えば使うほど、ユーザは「このサービスにはそれだけの価値があるものだ」と考えるようになる。

こういう心理操作は実際にユーザにとって価値があるかどうかと無関係に実行可能だ。悪用できない力はすごい力ではない、という表現にそれが現れている。著者らはこの倫理的な問題点への対処を第6章で書いている。一言で言えば「ユーザの生活を改善するようなサービスを、作り手自身も使いながら提供するのが一番いいよね」ということになるだろう。

この本は翔泳社さまからサイボウズ・ラボ宛に献本頂きました。また、明日出版記念イベントがあるそうです。こちらもご招待頂きました。ありがとうございます。