(定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。… 十の三 データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。

(データベースの著作物) 第十二条の二 データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する。 2 前項の規定は、同項のデータベースの部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。

データベースの著作物に求められる創作性の程度は?

  • 東京地裁平成12年3月17日「タウンページデータベース事件」判決

    • タウンページデータベースの職業分類体系は、検索の利便性の観点から、個々の職業を分類し、これらを階層的に積み重ねることによって、全職業を網羅するように構成されたものであり、原告独自の工夫が施されているものであって、これに類するものが存在するとは認められないから、そのような職業分類体系によって電話番号情報を職業別に分類したタウンページデータベースは、全体として、体系的な構成によって創作性を有するデータベースの著作物であるということができる。

  • 知財高裁平成28年1月19日判決・平成26年(ネ)第10038号著作権侵害差止請求控訴事件

  • 平成 12年 (ワ) 9426号 データベース使用差止等請求事件

    • データベースの創作性とは,ユーザーにどのような使い勝手のデータベースを提供するかを構想した上,(ⅰ)どういうテーブルをいくつ作るか,(ⅱ)各テーブルにどのようなフィールド項目を振り分けるか,(ⅲ)それらのテーブル間にどのような関連付けを行うか,を総合考慮して判断されるべきである。そして,生の情報として,新聞・パンフレットなどから何を採り上げ,相互にどのように関連付けるかによって,千差万別のデータベースが作成される。

    • http://tyosaku.hanrei.jp/hanrei/cr/2891.html
  • 自動車整備業務用データベース事件

    • 自動車整備業務用データベース事件(翼システム事件)
    • 本件データベースで収録している情報項目は,自動車検査証に記載する必要のある項目と自動車の車種であるが,自動車整備業者用のシステムに用いられる自動車車検証の作成を支援するデータベースにおいて,これらのデータ項目は通常選択されるべき項目であると認められ,実際に,他業者のデータベースにおいてもこれらのデータ項目が選択されていることからすると,本件データベースが,データ項目の選択につき創作性を有するとは認められない。

    • 本件データベースは,型式指定-類別区分番号の古い自動車から順に,自動車のデータ項目を別紙「データ項目の分類及びその属性等」のとおりの順序で並べたものであって,それ以上に何らの分類もされていないこと,他の業者の車両データベースにおいても,型式指定-類別区分番号の古い順に並べた構成を採用していることが認められるから,本件データベースの体系的な構成に創作性があるとは認められない。

    • https://www.jfpi.or.jp/files/user/pdf/data/Chizai_no16.pdf

データベースの著作物でなくても、複製して販売することが不法行為を構成するケース(不法行為による損害賠償の対象となる)

  • 東京地裁平成13年5月25日「自動車整備業務用データベース事件」判決
    • 人が費用や労力をかけて情報を収集、整理することで、データベースを作成し、そのデータベースを製造販売することで営業の活動を行っている場合において、そのデータベースのデータを複製して作成したデータベースを、その者の販売地域と競合する地域において販売する行為は、公正かつ自由な競争原理によって成り立つ取引社会において、著しく不公正な手段を用いて他人の法的保護に値する営業活動上の利益を侵害するものとして、不法行為を構成する場合があるというべきである。