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監修 山形浩生 (原著の翻訳者)
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ストーリー上必要でないのにつっこまれているところは監修者がどうしても入れたかったところだろう
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格差と分配についてこれまでの学者はデータに基づいて議論してこなかった、とピケティは主張し、20か国3世紀分のデータに基づいて議論
- 定説:
- 格差は自然に縮まる(市場メカニズムによって資本収益率r=経済成長率gになる)
- トリクルダウン
- データに基づく批判: 資本収益率rは経済成長率gより大きい
- 労働によって賃金を得る人の収入が増える速度よりも、資本家の資本が増える速度の方が速い
- 定説:
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国民所得:GDP-減価償却+外国からの収入
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国民資本:非金融資産+金融資産ー金融債務
- 不動産や工場設備、道路網などのインフラ、特許などを含む
- 人的資産(個人の技能など)は含まない
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資本所得比率:国民資本÷国民所得
- 今日の先進国では5~6
- 富裕国の一人当たりで換算すると国民資本が2090万円、所得が350万円
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資本収益率
- 資本によって得られた所得(資本所得)が資本の何%であるか
- 富裕国での資本収益率の平均は5%
- これは19世紀フランスでも同じ
- 資本所得は国民所得の30%
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格差修練の主要なメカニズムは知識の普及(21世紀の資本 p.76)
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労働に関する格差を減らす最良の方法は、労働力の平均生産性と経済全般の成長率を上げる方法と同じで、教育への投資(21世紀の資本 p.319)
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経済成長率gは人口増加と一人当たり産出の増加による
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人口が増加しているとき相続時に複数人への分配が起きるので富の再分配が起きる
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少子化が進むと財産が一子相伝され経済的地位が維持されやすくなる
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多くの人は経済成長率が年3~4%であるべきだと思っているが、これは幻想にすぎない(21世紀の資本 p.99)
- 一人当たり産出成長率の増加が長期にわたって1.5%を上回った事例はない
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産出成長率1.5%は小さいように見えるが、30年で50%以上。今日の仕事の1/3は30年前には存在しなかったということ。
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貯蓄率
- アメリカ・イギリス:7~8%
- 日本・イタリア:14~15%
- 貯蓄率が高い→所得のうち、資本に変わる量が多い→資本の影響力が高まる
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富裕国の資本のほとんどは民間資本であり、その半分は企業の内部留保である
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社会資本の活用
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19世紀からWW1まで、先進国の税収は国民所得の10%以下
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今では1/3~1/2
- 戦費を口実とする増税で租税国家への変化が起こった see ドラッカー
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増加分は保険医療・教育・代替所得・支払移転
- 社会国家へと進んできた
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累進課税
- 労働所得に対する累進課税は、実際には所得上位の人ほど労働所得率が低いので逆進的になる
- 世界的な資本税の導入がピケティの提案だが…
- 絶対参加しない国があってそこへの資本移転が行われるよな
- 無理だという批判は多いが、100年前には累進所得税もなかったので長期的にはあり得ない話ではない、ということらしい
- 世襲の資本蓄積が問題なのだから相続税を高めていくのがいいんじゃないかなぁ