エンジニアの知的生産術 p.11

ゴールは明確に」(10ページ)に関連して、目標設定をするときに気を付けるべきこととして1981年に提唱されたSMART criteriaを紹介します注1。SpecificMeasurableAssignableRealisticTime-relatedの頭文字を取って、SMART(スマート:賢いという意味の英単語)と呼ばれています。この5項目を簡単に解説すると以下のようになります注2。

・Specific:改善を行う具体的な領域が明確である ・Measurable:量、もしくは少なくとも進捗がわかる指標がある(計測可能) ・Assignable:誰が計画の実行をするのかが明確である ・Realistic:現実的に達成可能である、実現に必要なリソースが与えられる ・Time-related:いつ結果が得られるかが明確である

これは組織の目標設定を想定して作られた基準なので、個人が目標を立てるときには多少オーバースペックです。「これらの基準をクリアしていなければならない」と考えると、目標を立てること自体が心理的負担になってしまいます。ですが、悪い目標がなぜ悪いかを理解する助けにはなると思います。

注1 Doran, G. T. (1981). “There’s a S.M.A.R.T. way to write management’s goals and objectives”. Management Review, 70 (11), 35-36. 注2 Aを[Achievable]RをResponsible (誰が計画の実行に責任を持つのかが明確である)とする人もいます。ここで紹介したものとはAとRが入れ替わっていますが、内容はほぼ同じです。