アンカンファレンス的な、アジェンダ設定の権限を人々に開放するイベント運営の手法
Open Space Technology Introduction - Speaker Deck by @TAKAKING22
4つの原則
- ここにやってきた人は誰もが適任者である
- 何が起ころうとそれが起こるべき唯一のことである
- いつ始まろうと始まった時が始まりである
- いつ終わろうと終わった時が終わりである
- うまい言語化だと思う
- 「ここにやってきた人は誰もが適任者である」の原則によって「私は発言する適任者じゃないから黙っとこう」というパターンを抑止してる
- ホストの立場からすると「参加者に均等に発言の機会を配るべきかな」と思ったりする、だけどテンションが上がって一人の人とのキャッチボールをしてしまったりする
- こういう時に、今までだと「あー、失敗した」という気持ちになっていた
- だが「何が起ころうとそれが起こるべき唯一のことである」の原則によって「それが起こるべきことだったのだ」となる
- 発生したことをとにかく肯定するわけだ
- 時間に関しては、きっちりしない
- 開始予定時刻にホストが遅れてきてもそれは起こるべきことだったし、待ってる間に雑談が始まったりするし、それも起こるべきことだった
- 話題が尽きたら早めに終わってもいい、話題が尽きるのも起こるべきことだったし、早めに終わることで長めの休憩時間ができてそこから雑談が発生したりするし、それも起こるべきことだった
自主的参加のルール
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セッションに参加していて、学んでいない・貢献できていない・楽しくないと感じたら自由に移動して下さい
- これは後の「チョウ」や「キリン」とも関連してくる話
- ルールとして「移動しろ」と言っている
- つまり「面白そうかなと思ってセッションに参加してみたけど、いまいち面白くなかったなー」という場合に「面白いセッションを提供しなかったホストが悪い」と他責する人がいる問題に対して「移動しろというルールなのに移動しなかったのはあなたですよね?」という責任の一端を背負わせている
- 「学べる・貢献できる・楽しい」場所を探して移動することは参加者の責任
- これはホストの精神的コストをとても下げる
- なぜなら「そこに人がいる」事実が「その人たちは『学べる・貢献できる・楽しい』と思っている」という信任投票だから
- 逆にこれがないと「そこにいる人」を「もてなさなければいけないお客さん」のように捉えてホストの心労が増えてしまったりする
4つの役割
- ホストと参加者だけではない!と明確に言語化されているのが面白いところ
- 特に文字通りオープンスペースで開催されている場合、椅子に座ってる人と、座らずに立って歩いている人とで明確に識別できる
- 「話を振ってほしいわけではない、ただ聞いてるだけ」を自然に表明できる
- それは役割の一つであって「話し合いに参加しないで聞いてるだけなんて!」と責められることはない
- これがZoomのブレイクアウトルームとの大きな違い
- ブレイクアウトルームは参加した時点で強制的に「参加者」の役割にされてしまう
- 「聞きたいだけ」と思っても、ルームに入っただけでその場の人から「参加者」とみなされて話を振られたり挨拶されたりしてしまう
- それに対してスピーディに音声で回答しないと自分のせいで場に気まずい空白ができてしまう
- ハチとチョウを分けているのも面白い
- これはつまり、途中からふらりと入ってきて、他のグループで話されていた話題(=花粉)を媒介して去っていくことを明示的に役割だと表現している
- 一方で、花粉を媒介しなくても良い、聞いているだけでもいい、と表現している
- なぜか?それは「チョウが滞在している」ということが「今そこで何か興味深いことが話されている」というシグナリングだから
- 「ここに花が咲いている」を伝える役割
- このシグナルが他のチョウやハチを呼び寄せ、その中から参加者に変わる人も出てくる
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- 「自主的参加のルール」をあらためてキリンに例えている
- 参加者のフォーカスを集める効果
2023-07-11体験記
- ama_chのオーガナイズで行われたものに参加した体験記
- 100人程度の参加者
- 30分×4の時間枠
テーマ出しをする
- A4の紙にマーカーで書いてみんなの前で説明してから壁に貼っていく
- 壁にはあらかじめ6箇所(+予備10箇所)×4時間枠のグリッドが作ってある
- テーマを出した人はその場のホストの役割になる
- 僕はてっきり最初の30分の枠のテーマを決めるのだと勘違いしていたが、全部最初に決めた
- 「最初からホストをやると行動が縛られて全体を観察できないからやめとこう」と思ってた
- たくさんテーマが出てきて順番に発表してる間に勘違いに気づいたので最後の方に滑り込んで「OSTをオンラインでやるには?」というテーマを最後の時間枠に入れた
- ここであっさり44テーマも出た
- かなり多い方だと思う
- https://twitter.com/ama_ch/status/1678392451248328706?s=46&t=gkSZtjGEtUZPO0JCzBxCBw
- いくつ出るのか読めないのが運営としてはつらそうだ
- たくさん出るのは嬉しいが、スペースは有限
- 自社オフィスでやってることもあってかイーゼルパッドや付箋やペンが十分にあったし、スペースも広がれたけど、事前に必要量が読めないところは悩ましいね
- まあ、現実的には物理的制約が壁のグリッドで表示されてて、そこに収まらないことが明らかになった時点で「これをくっつけましょう」とかの議論が発生することになるのだろう
- 44テーマの紹介だけでも結構時間が掛かったのでは?
- 時間変動があるのも運営は辛いかもね
- 聞いてる側としては長かったという印象はない
- 「どのセッションを聞きに行こう」と思考が回転してたからかな
一つ目のセッション: 社外発信に関して
- はみ出して個別の部屋になった
- 個別の部屋なのは「チョウ」をやりづらくするのであんまり良くなかったかもな
- 各場所にイーゼルパッドがある
- ホストが自己紹介を始めたのでそのまま全員自己紹介をした
- ホストの感じてる課題を質問で引き出して付箋に書いて貼るプレイで貢献
- 課題が明確になっていくと、各参加者が自分の経験や事例を話し始めていい感じになった
- 概念の詳細化が起きた
- 「ハードルが高く感じる」が「会社が課しているハードル」と「個人が感じているハードル」に
- 「ルールが必要?」が「縛るルール」と「解き放つルール」に
- 色々な部署での具体例や知見が紹介されて共有された
- 「Xでなければならない」という思い込みに対して「この部署ではXではなくYしてる」という具体例
- 「Aでなければならない」という思い込みに対して「A/BテストをしたけどBの方が良かった」という具体例
- 「Pというチャンネル」を想定した発言に対して「Qをやってる」「こっちはRをやってる」という具体例
- イーゼルパッドに貼った付箋は、剥がしてメイン会場の壁に貼った
2つ目のセッション: カンファレンス参加について
- ホストが多分カンファレンス講演や教職で慣れている人だったので手慣れた感じ
- 喋る方をホストがほとんどやってくれてたのでまずは付箋に書き留めて貼っていく形で貢献
- 3人目の参加者からの付箋で良い化学反応が起きた
- 「なじめない」「「なじまなくていい」」
- 具体的な課題が言語化されて、それの具体的な解決策が提案された
- あとは当事者が実行するかどうかだね、これに関しては僕は当事者ではないので傍観
3つ目のセッション: 部署間のつながりづくり
- 15分休憩、開始前になんとなく雑談が行われて良かった
- 2部署が関与する課題に関する当事者2人と3人の会話
- ホストのデマンドを具体的に掘り下げ
- 2種類のデマンドがあることがわかり、その片方に関しては2部署間の話ではないことがわかった
- 究極的にはチームが小さくなったことや出社しなくなったことによってチーム外の人と知り合う機会が減ったことが問題
- 解決方法の案がでた: 自動勉強会
- 今行われてるOST自体も解決策の一つだね
- 過去に類似の問題の解決策としてLT会が行われていたことがシェアされた
- なぜ今行われていないのかをこの場の参加者は誰も知らないことが明らかになった
- かつてLT会をしていた人に現状を確認するのが僕のネクストアクションだと考えた
- 複数の解決策を比較した結果「話したいことがある人がそれを表明する」(シーズドリブン)と「聞きたいことがある人がそれを表明する」(ニーズドリブン)の違いがあることが言語化された
4つ目のセッション: OSTをオンラインでやるには
- 僕がホストのやつ
- 考える花火的にテーマを真ん中に書いたんだが、イーゼルパッドの上端って付箋がくっつかないのね、知らなかったw
- タイトルを上に書くことがアフォードされてる
- まずは参加者から、ここまでOSTに参加してみてどのように思ったかをヒアリング
- テーマが並列であることによって、どれを聞こうかと頭を使うところが良かった
- 発表会を一方的に聞くのと違って、自分で選択をするという意思決定・主体的参加が要求されてるから「頭を使う」わけだ
- Zoomと比較して「参加者とチョウの区別」があるのが良いと言語化された
- テーマが並列であることによって、どれを聞こうかと頭を使うところが良かった
- オンラインでOSTをやっている事例がシェアされた
- MiroやDiscordを使う
- ギャラリーウォークのしやすさが課題
- Zoomではやりにくい
- Gather.townを試した事例
- 「新しいことを試す楽しさ」と「続ける楽しさ」は別であると言語化された
- 継続運用に飽きてやめたとしても、イベントとして開催するならアリ
- セッション3で出た課題意識やニーズドリブンの話をシェアした
- OSTではニーズドリブンでも盛り上がることがあるという話を聞いた
- LT会だと「話す人」と「聞く人」という役割になる
- 「話す人」に事前準備のコストが掛かる
- 「話す人」が情報のソースになる
- 負担が「話す人」に集中する
- OSTで「これに困ってる、助けて」的なテーマを書く
- 助けられそうな人が集まって情報を提供する
- これならホストの準備の負担は少ないし、ホストが第一の受益者なのでテーマを提出するインセンティブが生まれる
- 今回の事例だとセッション1がまさにそれ
- ホストは「課題」を持っていて「解決策」はもっていなかった
- 各部署の事例を各部署からの参加者が共有した
- セッション2も途中からそうなった
- ホストが色々話している中で、聞いていた参加者から「こういうことに課題を感じている」と表明されて、それの解決のために意見を出し合うモードに移行した
- 助けられそうな人が集まって情報を提供する
全体で4時間の枠が取ってあって、余裕を持って終わった
- 上記のまとめがかなり端折っててこの分量なので、ものすごく充実した時間だったと言えるだろう