AIによる生産性の向上は、世界中のビジネスを加速します。このテクノロジーへのアクセスが不均等であれば、社会的な格差が広がります。AIへのアクセスが既存の通貨で購入できる場合、既存の「金持ち」が競い合ってAIを購入し、限られたリソースが枯渇してしまい、結果として「貧乏人」には入手不可能になります。
AIへのアクセスを提供する企業が独自の通貨を発行し、その通貨でのみAIのアクセス権を買うことができるようにする可能性があります。その企業がこの”AI利用通貨“をユニバーサルベーシックインカム(UBI)として全員に配布すれば、誰もがAIへのアクセス権を得ることができます。万人のAIアクセス権が保証されるわけです。
UBIでAI利用通貨を受け取った個々の人々が、自分の割り当て量を全て使い切らなかった場合、残ったAI利用通貨を市場で交換することができます。AIへのアクセス権を使って多くの既存通貨を生み出すことができる主体(例えば企業)は、この市場でAI利用通貨を買うインセンティブがあります。
ここで競争市場が生まれます。各購入者は自分が生み出すことのできる既存通貨に応じた金額までAI利用通貨に支払うことができます。その結果、最も効率的にAIを利用できる主体が優先的にアクセス権を獲得することになります。一方、売り手の個々の人々は、最も効率的にAIを利用できる主体から利益分配を受ける形になるでしょう。
これは既存の経済システムに例えるなら、高収益企業の利益に対して課税し、人々に対してユニバーサルベーシックインカムを提供するようなものです。違いは、国家の権力によって実現されるのではなく、一私企業が独自通貨の発行と提供サービスに対する既存通貨での支払いの拒否を行うことによって実現されるところです。この力の源泉はサービスの提供に対する独占です。
2023-07-28
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